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妄想 短編小説 ショートショート

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頭の中で妄想した少しだけぶっ飛んだ事を描いております。
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#物語

短編小説ショートショート 『ミステリーショッパー』

短編小説ショートショート 『ミステリーショッパー』

はじめに

 私の名前はヒロミ。今年からホテルの宿泊部としてフロントに立ち、お客様との接客に毎日勤しんでいる。

このホテルの評価は、某インターネットサイトでは☆4.2だ。近隣のホテルに比べるとやや高い方だけど、支配人は今年中にさらなる評価のアップを目論んでいる。

ある日、朝礼での事だ

「おはようございます。9月に入り、今月は先月やった研修会での成果を発揮してもらいたく、ミステリーショッパーを

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★フォロワー300人到達記念作品★ 300文字ショートショート『虚構の船』

★フォロワー300人到達記念作品★ 300文字ショートショート『虚構の船』

それは突然の事だった。

地元民は勿論、造船所の従業員でさえ知らされていない。

造船所岸壁より約300メートル先、回遊する青物を狙う海鳥達もびくりと一斉に舞い上がった。

次の瞬間「海が割れる」と表現するには荒々しく、対岸に向かって巨大な一筋の滝の道が出来た。

そこから姿を現した船は、何ともメカメカしいSF映画などで見る宇宙船のようだった。

この船が、いつ何処で、何の為に、建造されたのかは謎

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妄想 短編小説 『集中線』

妄想 短編小説 『集中線』

世の中には、幾つもの情報が溢れている。

その幾つもある情報を個人がアンテナを張り巡らせて、必要な情報のみを取り入れる。

パラボナアンテナの様なでっかい利き耳を立て、何でも情報を取り入れる人。

はたまた、か細いラジオアンテナを立て必要最小限の情報のみを取り入れる人。

勿論、アンテナを張張らずとも生活をしていれば自ずと情報は入ってくる。

・・・しかし、それは取るに足りない情報だったりもする。

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妄想 短編小説 『配膳ロボット』

妄想 短編小説 『配膳ロボット』

様々な職業が人手不足に悩まされている昨今、職種により理由は様々だが、飲食業も例外ではない。

コロナウイルスという未知のウイルスがもたらした未曾有の事態に外出自粛を余儀なくされた。

人々が外に出歩かなくなると勿論、レストランにはお客が入らない。お客が入らないと、仕事が減る。仕事が減ると従業員は、生活をしないとならない為、他業種へ転職する。

いちど他業種へ移った人手は、中々戻ってくる筈もなく飲食

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妄想 短編小説  『理休(りっきゅうさん)』

妄想 短編小説 『理休(りっきゅうさん)』

「りっきゅーさーん!」

「はぁーい」

BGM
♪好き好き好き好き スキッ好き〜。愛してる♪

あるところに、理屈っぽい少年がいました。彼の名前は理休さんといいます。

小学生の理休さんは、仲良しの男女5人グループで仲良く下校をしていました。

電信柱から次の電信柱までを、かけっこで走り出したと思えば、道路沿いに駆け抜ける自動車の影を皆でジャンプしたりと楽しそうです。

「ジャンケンぽん!」

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妄想 短編小説 『便利な世の中』

時は西暦2085年

個人がテレポートを自由自在に行えるようになって間もない。

観光業は、右肩上がりの好景気だがそれと同時に「乗り物に乗って移動する」という概念が無くなった。
飛行機、新幹線、バスやタクシーなどあらゆる乗り物が見かけなくなった。

メリットの分だけデメリットも発生する。

まぁ、世の中そんなもんだ。

サトシは平凡なサラリーマンで、今日は休日である。

実家暮らしの二階の部屋では

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妄想 短編小説 『降り続ける雨』

妄想 短編小説 『降り続ける雨』

 仕舞われないままのシオれた鯉のぼりが滑稽である。これじゃあ、まるで煮干しじゃないか。

傘をさしながら晴男(ハルオ)は近所の戸建ての雨に打たれる鯉のぼりを見上げた。

雨の日だろうと散歩は欠かせない。

次に河川敷を沿うよにいつもの散歩コースを歩いた。

「だんだん水位が上がってきたなぁ」

前方にまたがる橋の、危険水位の目印より少し下を濁った水が流れる。

 近所を一周した晴男は、傘を畳みバタ

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妄想 短編小説 『運命の突起物』

妄想 短編小説 『運命の突起物』

いま俺は生死の狭間にいる。

時間にして僅か1秒、しかし体感では5秒程度。毛穴の一つ一つさえも鮮明に見えて、コマ送りのように再生される。

これが走馬灯というやつなのか?

状況を俯瞰し、慌てつつも冷静。しかし確実にその二者択一を迫られている・・・!

(遡ること、1時間前)

「おい、ここのペグしっかり打てよ〜」

「そっちしっかり持ってて」

「せーの」

「後はその穴にロープ通してしっかり張

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