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妄想 短編小説 『理休(りっきゅうさん)』

「りっきゅーさーん!」

「はぁーい」

BGM
♪好き好き好き好き スキッ好き〜。愛してる♪


あるところに、理屈っぽい少年がいました。彼の名前は理休さんといいます。

小学生の理休さんは、仲良しの男女5人グループで仲良く下校をしていました。

電信柱から次の電信柱までを、かけっこで走り出したと思えば、道路沿いに駆け抜ける自動車の影を皆でジャンプしたりと楽しそうです。

「ジャンケンぽん!」

おやおや?今度はランドセル持ちが始まったみたいですよ。

「待ってよぉ〜」

皆のランドセルを担がされた陳念くんは、五メートル程後方をヒーヒーいいながら追いかけます。

すると、普段渡っている短い橋に看板が建てられている事に気が付きました。

【このはしわたるべからず】

どうやら耐震工事の為、通行止めみたいです。

迂回してまわり道をしていたら、時間が掛かってしまいます。

「面倒くさいけど仕方ないよね〜」

皆は、ため息をつきながら肩を落とします。

(ポクポクポク・・・チーン)

「そうだ!」

理休さんは、何か閃いた様子です。

なんと、理休さんは橋のど真ん中を堂々と歩き始めたではないですか。

「端は通らず、真ん中を渡ればいいんだよ!」

理休さんは、ドヤ顔で肩で風を切りながら歩きます。

その時です

「コラー!クソガキ!あぶねーだろ。看板が見えねぇのか!」

建設現場のおじさんの怒鳴り声が聞こえてきました。

「事故でも起きたらどうすんだ!橋を渡んじゃねーよ」

しかし、理休さんはこう返します。

「えへへ。はしが駄目なら、ど真ん中を渡ればいいんですよ。何か問題でもありますかぁ?」

理休さんお得意の『理屈っぽく』論理的におじさんをまくし立てます。

「あ?」

おじさんは、カンカンです。

「聞こえました?もう一度言いますね。僕は、はしが駄目な・・・」

バシッ!

「ら」

バシッ!

「ま」

バシッ!

「ん」

バシッ!

「な」

バシッ!

「か」

バシッ!

「を」

おじさんの、往復ビンタが続きます。

「うるせぇクソガキが!おめぇがいっているのはだだの屁理屈だバカタレ。全く、最近のガキときたら」

おじさんは、そう吐き捨てるとハウスへと戻って行きました。

往復ビンタでおたふく顔になった理休さんは頭をかきながら「えへへ」という表情をしました。

大人には、理屈だけではどうにもならな時があるのですね。

頑張れ理休さん

ーーーおわり


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