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タイガの読書日記

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ラノベ・小説・学術書など様々な本を読んできたタイガが本棚の整理ついでに本の感想を書いていくマガジン。 割と最近は真面目な本を読むことが多いですが一応多種多様な本やたまに論文を紹… もっと読む
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2021年8月の記事一覧

「カール・シュミット」蔭山宏(著)

「カール・シュミット」蔭山宏(著)

 名前は聞いたことはあるけど「どんな人かは知らない」という人なんかたくさんいると思うが、私にとって本書で取り上げている「カール・シュミット」もその一人だった。

私が知っていたのはドイツ人で思想家だったということだけ。しかし、本書を通して紡がれるカール・シュミットという学者は難解だが大変興味深い。

帝政、WW1、ワイマール、WW2、戦後共和政、激しく移ろった20世紀ドイツの多くを体験した思想家が

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「寛容についての手紙」ジョン・ロック(著)

「寛容についての手紙」ジョン・ロック(著)

 著者であるロックは本書の中で3つのことを読者に説いている。「落ち着け(寛容)」「自由」「自発」である。今でも学ぶことの多い古典はいくつもあるが本書もその一つだ。

・何であれまず落ち着け 本書は題名の通り寛容について書かれているわけだが、この内容は今日においても十分に考えるべきものだ。本書は短い文章であるが、その中で終始、寛容という言葉を通して読者に「落ち着け」と説いているように感じられる。

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「英文法再入門」澤井康佑(著)

「英文法再入門」澤井康佑(著)

 私は日本人が英語に弱いという認識をしている。英語を利用できる日本人というのが少なく感じるからだ。かくいう私も英語が得意な方ではない。ただ、国際化が進む社会の中でいつまでも英語が苦手というのはいかがなものかという気持ちになり、書店をふらついていたところ本書に出会った。

学校で教わって以降、久々に「英語」という言語についてのみ書かれている本書を読んだ。本書は学生時代に出会えればもう少し英語の成績が

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「クラウゼヴィッツ『戦争論』の思想」マイケル・ハワード(著)

「クラウゼヴィッツ『戦争論』の思想」マイケル・ハワード(著)

 私は軍事に関しての本を読むことは少ないのだが、だからこそ新鮮味を感じた一冊であったことは間違いない。クラウゼヴィッツという一軍人について書かれた本書はクラウゼヴィッツに興味を持つ人にとっては最高の一冊だと思う。

この本は最初から最後まで一貫してクラウゼヴィッツについてしか書かれていない。クラウゼヴィッツは「何者で」「何を考え」「何を残したのか」。これをわずか約150ページにまとめている。ゆえに

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「戦後民主主義」山本昭宏(著)

「戦後民主主義」山本昭宏(著)

・戦後史は個人の印象が先行して語られているのではないか 敗戦後の日本の歴史を「戦後」として日本は現在に至るまで引きずっている。この言葉を使用する人の頭の中にはどこか歴史の区切りとして先の戦争を意識していることは間違いない。

日本には元号という歴史区分が存在するが、その区分を一貫しているのも「戦後」というものである。本書はまさにその戦後を概観し、政治・文化など多様な側面から日本戦後社会の歴史を学べ

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