見出し画像

「英文法再入門」澤井康佑(著)

 私は日本人が英語に弱いという認識をしている。英語を利用できる日本人というのが少なく感じるからだ。かくいう私も英語が得意な方ではない。ただ、国際化が進む社会の中でいつまでも英語が苦手というのはいかがなものかという気持ちになり、書店をふらついていたところ本書に出会った。

学校で教わって以降、久々に「英語」という言語についてのみ書かれている本書を読んだ。本書は学生時代に出会えればもう少し英語の成績が良かったかもしれないという感覚を私に与える一方で、やはり簡単にはいかない言語の習得という難しさも教えてくれる。

英語という言語のマナーを単元ごとに分けて解説してくれる本書は絶えず「辞書を引く」「英語を経験する」「英語と向き合う」という言語習得の基礎の重要性を説きつつ、平易な文章で著者の英語感を交えながら日本人に合うと思われる形で英語との向き合いからについて教えてくれた。

・数多、参考書はあるけども、、

 英語学習というと教科書や参考書を買って取り組んだり、単語帳を買って頭に叩き込むといった勉強法ばかりを学校で推奨された記憶があるが、馴染みがなく日常生活において実用性に欠ける言語に関する勉強をし続けるということは難しいことだろう。参考書もたくさんありどれを買ったらいいかとか、結果が出ずにさらに別の参考書を手にしてしまうこともあるように思う。

 しかし、重要なのは一冊を深く理解することである。本書のあとがきもあるが、一冊の参考書に書かれていることを何度も読んで理解することが一番大事なことだ。苦手な分野の参考書は一読しただけでは理解できてるとは言えない。苦手な分野だからこそ根気強く一冊を何度も読み返し、著者の伝えたいことを浅くではなく、深く掬い取って読み込んでいくべきなのだ。

英語を学びたいものはどんな参考書でも何度も読み、そしてその知識を活用することで定着させていくことが重要である。活用は別に問題集に取り組むことではなく、話してみるとか、日本語文を自分で作ってそれを英語にしてみるとか。本書は新書という媒体で持ち運びやすく、値段も安い方だと思う。さらには日本語活用者に向けた英語の本であるから読んだうえで活用できる方法は幅広くあるように思える。

・他言語に関心を持つこと

 日本人は英語を活用しなくても生きていけるほどに恵まれた環境にあるが、やはり国際共通語が英語である以上、グローバル化していく社会では英語は活用できた方がいい。流暢に話せなくても日常会話程度はできた方が自分たちの行動範囲が広がる。異文化とは日本にはない独特な芸術を持ち、それに触れることは自分の視野や考え方の幅を広げてくれるのは明白だ。

 また英語を知ることで日本語では知ることのできない知識に触れることもできる。例えば日本人は未だノーベル経済学賞を受賞したことがないが、それは海外での経済学と差があるからだ。日本語だけの理解だとこの世界との差を理解できない。ただ理解できるようになれば日本に何が足りないのかがわかってくる。

 言語は自己投資の一環だ。一つ利用できる言語を増やすだけで、触れることができる知識は大幅に増える。日本語だけしか使えない人は翻訳を待たなければ欲しい知識に触れられないが、言語を習得すれば習得するほどに自分から率先してほかの日本人よりも先に海外の先進知識に触れられる。これはメリットしかない。ただ、一時の苦難を嫌うばかりにその後の幅広い新たな景色を手放すのは惜しいように私は感じる。

 言語は継続することで身についていく。だからこそ、毎日ほんの数分でもいいから少しずつ慣れていってほしい。私も本書から日本人が英語を理解するためのエッセンスを学んだが、基本に忠実に継続して英語に触れ続けることで段々と読める単語の数が増え、文章を理解する速さも向上し英語への苦手意識もなくなることだろう。重要なことは諦めずに継続することだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?