マガジンのカバー画像

「損切丸」-「日銀」編

530
「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
運営しているクリエイター

2021年10月の記事一覧

米国債市場で繰り広げられる「仁義なき戦い」。ー「高金利国」でも続く ”小噴火” 。

米国債市場で繰り広げられる「仁義なき戦い」。ー「高金利国」でも続く ”小噴火” 。

 英国人の同僚に ”お勧めの日本映画” を聞かれて迷わず答えたのが深作欣二監督の「仁義なき戦い」。理由は日本社会の特異な企業文化を知るのに最適だから。金子信夫氏が演ずる ”とぼけた親分” はその象徴であり、JGB(日本国債)を理解するのにも役立つはず。 ”ドス” を ”ペン” に置き換えればまさに日本の銀行そのもの。別に暴力映画が好きな訳ではない(笑)。

 さて米国債市場が荒っぽい。特に2年債を

もっとみる
激変する「インフレ見通し」。 ー BEI(予想物価変動率)の急上昇が示唆するFRBによる「利上げ」の ”前倒し” 。

激変する「インフレ見通し」。 ー BEI(予想物価変動率)の急上昇が示唆するFRBによる「利上げ」の ”前倒し” 。

 FXや株をやっている人でも、最近は米国債金利をウォッチしている人も大分増えている。ただ代表的な10年米国債だけを見ていると、昨日(10/22)の引け@1.69では@1.70%台の直近高値を超えていない。

 だが実際は2つ大きな変化が起きている。

 1つは最近の「損切丸」で繰り返し書いてきた2~5年の金利急騰。遂に2年債が@0.44%、5年債が@1.22%まで上がってきた(前稿で2年債@0.4

もっとみる
サヨナラ ?「マイナス金利」  ー 減っていく「お金」の奪い合いが始まる。

サヨナラ ?「マイナス金利」 ー 減っていく「お金」の奪い合いが始まる。

 「金利が低くて "円安" で言い訳ない!」

 筆者が22年間円金利や日銀と関わってきてずっと抱いていた素直な感情。実際「バズーカ」以降の金融政策は常軌を逸していた。仕事を止める決断の "ダメ押し" になったのが「マイナス金利」発動だった。

  ”個人的恨み” はさておき(苦笑)、金利上昇は新しいステージ入り。「超低金利」の象徴とも言える「マイナス金利国債」が徐々に消えつつある。代表格はヨーロ

もっとみる
"不気味" な中国国債Ⅵ。ー 「信用リスク」による金利上昇は中央銀行も ”お手上げ” 。

"不気味" な中国国債Ⅵ。ー 「信用リスク」による金利上昇は中央銀行も ”お手上げ” 。

 5月以降追ってきたやっぱり "不気味" な中国国債。↓ の最新版。

 「お金がない!!」

 確かこういうタイトルの日本映画があったように記憶するが、今の「中国」にピッタリ当てはまりそう。また国債金利が上がり始めている。

 「不動産価格の高騰を抑制する」

 表向き中国政府や中国人民銀行(=中国の中央銀行)はこう言い続けてきたが、これは「建前」。中国国債金利の推移を見ると「本音」は違う。20

もっとみる
縮小し始めた「日銀バランスシート」。

縮小し始めた「日銀バランスシート」。

 「あれっ、TONAR上がってきたなぁ...」 ↑ 

 普段余り興味を持たれない円のTONAR(無担保コールO/N=今日~明日の1営業日の金利)。まさに筆者の "専門" だったので今もちょくちょくチェックしている。ドルのFF(Fed Fund)も同じだが、銀行の "最終尻" を調整する市場で誤魔化しが効かないため、「資金繰り」状況をストレートに反映する。だからこそ*中央銀行はここを「政策金利」と

もっとみる
イールドカーブ研究。ー 「インフレ」と「金融政策」の行く末。ブラジルとトルコの対比から。

イールドカーブ研究。ー 「インフレ」と「金融政策」の行く末。ブラジルとトルコの対比から。

 「インフレ、インフレとしつこいなぁ」

 2019年4月13日「お金のマニュアル」を書き始めてから約2年半。「損切丸」でこれだけ "しつこく" 書いてきたのは、「デフレ」が日本人の「現金信仰」を深めてしまい、「お金」の価値が減る事への意識が希薄化していたから。*最近「インフレ」への言及が増えた事には "隔世の感" がある。

 *ちなみに(何度も言い訳しているが)筆者は「インフレ信奉者」ではない

もっとみる
最後は「金利」が ”とどめ” を刺す ー 「インフレ」と「中国」の綱引き。

最後は「金利」が ”とどめ” を刺す ー 「インフレ」と「中国」の綱引き。

"前門の「インフレ」、後門の「中国」"

 今のマーケットの状況をこう書いた事があったが、株式市場がまさにそんな感じ。昨日(10/5)は株価が反発してファンドも投資家もほっと一息だが、今度は "前門の「インフレ」" 「金利上昇」が迫ってきた。

  "後門の「中国」" も「需要減少・景気後退」 → 「インフレ懸念後退」「金利低下」に役立てば株価にも幾分かの追い風にもなるが、昨日のように自立反

もっとみる
「中国」から聞こえてくる "足音" Ⅲ。ー 我々の尺度では計れない国。

「中国」から聞こえてくる "足音" Ⅲ。ー 我々の尺度では計れない国。

 「あれっ、日経平均マイナスになってる」

 10/1(金)のNYダウは "メルク社がコロナの飲み薬を申請" との報を受け+482.54急反発。今日(10/4)の日経平均はどこまで戻るか注目していたが、+200円程度で上値が重くなり「やっぱり」。それが午前10時半過ぎから下げ足を速め、*前場で▼300円を超える下げに転じた。

 いくら新政府の人事に失望したとは言え、先週も▼1,000円近く下げて

もっとみる
"値上げの秋" 2021 ー 「@+2%物価目標」は既に達成?

"値上げの秋" 2021 ー 「@+2%物価目標」は既に達成?

 ”値上げまた値上げの10月、野菜・マーガリン・牛丼…”( ↑ 10/1読売)

 「またか...💨 給料も上がらないのに」

 多くの消費者の溜息が聞こえてきそうだが、この ”また” がミソ。そう、ここ数年「値上げ」は断続的に続いている。

 例えば値段据え置きで中身だけ減らす「スティルス値上げ」↓ 。

 だが物価指標だけ見ると遂に「マイナスCPI国家」として "取り残された国” 日本。↓ 

もっとみる