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あんなに笑っていた君は、今はもういない
愛犬が突然、逝ってしまった。
ペットを飼いたいと娘にねだられたとき、私はこう伝えた。
「ペットを飼うのは、そのペットのすべてに責任を持つということだ。そして、ペットは必ず、あなたより先に死んでしまう。そのときに、ちゃんと世話をして、幸せにしてあげられたと言い切れる自信がないのなら、飼ってはいけない」
と。
娘はわかったとうなずき、最初にハムスターを飼った。その子は1年半とわりあい長生きし
怪物を憶えているか?
註:文中、拙作「極刑」の内容に触れているところがあります。特にネタバレと呼べるようなものではありませんが、未読の方はご注意ください。
小倉日向のデビュー作である「極刑」も、2作目の「いっそこの手で殺せたら」も、双葉社のCOLORFULとWebマガジンでそれぞれ連載されたものです(初出時のタイトルは『憐れみの詩』と『妻が逮捕された日』)。
以前にも書きましたが、どちらも最後まで展開が決まってい
「小倉日向」という名前
先日、仙台に住む叔母に、「いっそこの手で殺せたら」と「極刑」の2冊を送りました。特に連絡もせず、いきなりです。
叔母は、私が「小倉日向」であることを知りません。2作目が出たので、そろそろいいかなと、幼い頃からお世話になってきたお礼も込めて、送らせていただいたのです。
その翌日、さっそく電話がありました。なんと叔母は、「小倉日向」を以前から知っていたというのです。なんでも、1作目の「極刑」が
他人を信用できない理由
自分以外の人間はすべて虚構の存在であり、自分は常に外の何者かから監視されている──。そんな妄想を抱いたのは、小学生の頃だったと思う。いつも考えていたわけではないけれど、その思いは幾度か頭を巡り、あらゆることに対して疑いを抱いたものだ。
後年、藤子・F・不二雄氏の短編集を読み、タイトルは忘れたが、かような感情は多くの人間が抱くものだと書かれた作品に、なるほどとうなずいた。自分だけではないのだと