マガジンのカバー画像

詩集

26
たまに詩を書きます。
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

存在|詩

存在|詩

食べたいから生きる
生きたいから食べる
食べるよろこびは
身体がよく知っている

笑わないと
心が死んでしまうから笑う
死にたくはないけど
死ぬほど笑いたい

聴くから音楽になるし
音に浸りたくて
溺れたくて
心を洗いたくて聴く

時折
自分でも驚くほど
静かに
心を救うように泣く

いつもの自分を保つため
なくてはならないものだから

美味しく幸せに食べて
笑えるだけ笑って
音楽を聴いて
しとし

もっとみる
夏のあさ|詩

夏のあさ|詩

デーデーホーホー
鳴き声がきこえる
気だるい朝

目覚めると
ここぞとばかりに張り合う
扇風機と蝉と工事の音

デーデーホーホー
あれはどうやら夢のなかで
鳴っていたようだ

名をキジバトというらしい
群れない孤高のハト
なんだか妙に親近感が湧く

いつの間にか
夢のそとでは鳴らなくなった
都会は窮屈なのだろう

デーデーホーホー
鳴きたいときに鳴ける
あいつがうらやましい

眩しいひと|詩

眩しいひと|詩

涼やかなのに眩しくて
同じ地球にいるはずなのに
違う世界にいるような
そういう素敵な人

可愛らしくて
それでいて甘くない
選ぶものも洒落ていて
自分の似合うを知っている

見た目だけじゃない
内面の素敵も見え隠れする
飾らない言葉
気さくな空気

うっかり意味もなく
自分の内側の暗い部分と
比べちゃうから
近寄れなかった人

今でも思い出せる
そうなりたいところと
そうなれないところの
重なった

もっとみる
うたと感情|詩

うたと感情|詩

ふと歌いたくなるうた
一体どこからやってくるのだろう
メロディやリズム
耳に残るものもある

悲しいときは悲しいうたを
真剣に正直に
今の気持ちに寄り添えるのは
これしかないという気持ちで

悲しい感情は
メロディーに乗って
流れ出ていく
なんだか救われる心地がする

嬉しいときは嬉しいうたを
機嫌良くいきいきと
今にもスキップしそうな気持ちで

嬉しい感情は
メロディーに乗って
染みこんでくる

もっとみる
こもれび|詩

こもれび|詩

今月も山へ足を運んだ
木漏れ日に包まれながら
歩く心地よさを知っている

立ち止まって見上げるたび
深呼吸をしたくなる

風がそよいで表情を変える
やわらかさ

そういうさりげない
やさしさのようなものに
同じ星にいる生き物として
惹かれてしまう

ぐったりと夜|詩

ぐったりと夜|詩

こんな日もある
気を酷使したときだ
気を張りすぎたり
気を遣いすぎたりして

残るはぐつぐつと悶々と
考えすぎる身体だけ

どこまでいっても
変えられるのは自分だけ
ぐつぐつぐるぐる悩んで
結局そこへ着地する

自分のためのやさしい余白を
残しておくコツが
いまいちつかめないまま

使い果てた身を
ぐずぐずと家へ運ぶ

辛うじて残った気持ちで
いつもあまり買わない
お気に入りの葡萄ジュースを買った

もっとみる
たがため|詩

たがため|詩

自身のエネルギーを
ほかの誰かに
すべて捧げられるほど
つよくはない

してあげてるのだから
有り難がれよと
思うのも思われるのも
かなしい

自分のためが同時に
誰かのためになる
そういう塩梅を求めて
彷徨いながら地に足をつける
ちからづよく

光のなか|詩

光のなか|詩

暗がりに差し込む光
空間をつかむための光
どこまで届くのだろう

見えるということは
遥か彼方からの贈りものを
受け取るということ

眩しすぎれば見えなくなるから
決して欲張らないこと
受け取る喜びを分かち合う幸せ

----------

美術館へ向かう間に感じとったことを思い出しながら書いてみた。誰かの想像や創造に触れる時間はとても好きだ。

別の人の目を通して見えている世界を垣間見させてもら

もっとみる