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冬に咲く花


12月。木々が光りだす。
しかし、街路樹に蛍光を巻き付ける作業員の姿を見た者はどこにもいない。
それもそのはず、植物は自ら発光しているのだ。
学名ヘデラ・ランテルナと呼ばれるその蔦は
冬になると自生し、辺り一面にランプの光を咲かせる。
あまり知られていないが、光の正体は胞子である。
だから正確に言うと、この蔦は植物ではない。
ヘデラ・ランテルナは菌類であり、
茸の仲間と言えば分かりやすいだろう。
毒性は緩慢。
近寄る人に一種のせん妄状態をつくり出す。
雪の降る夜、うっかりと外に出て
恋に落ちた人の数は知れない。





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