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453.人事を尽くして天命を待つ、んじゃあなくて、天命によって人事を尽くすんだよ

(14)人生を好転させる方法
how to turn your life around⑭


1. 天命って、なに?


「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があるよね。
coucouさんも、若い頃に先輩たちにこんな風に教わったことを覚えている。

この意味って、一生懸命になって努力すれば、その後は静かに天命に任せるということで、事の成否は人知を越えたところにあるのだから、そんな結果になろうとも悔いはないという心境のたとえとして使われているものだという意味らしい。
※南宋初期の中国の儒学者である胡寅の『読史管見』に「人事を尽くして天命に聴(まか)す」とあるのに基づく。
 
※英語では、Do the likeliest, and God will do the best.(最も適切な行為をなせ、そうすれば神が最善の結果をもたらしてくれる)と訳す。
 
確かに『人事を尽くして天命を待つ』という意味って、
「やれるだけのことをやって、後は運を天に任せる」
"Do what you can and leave the rest to fate"

「一所懸命頑張ったから、結果が悪くても仕方が無い」
"I did my best, so it doesn't matter if the results are bad."

というような、自分に言い聞かせる(言い訳)諦めの境地に近いものを感じるようになったcoucouさん。

だってね、人事を尽くしまくったんだもの。

©NPО japan copyright association Hiroaki



でも、『天命に従い人事を尽くす』」というと、
「やるべきことを正しく理解して、最大限の努力をする」
“Understand what you need to do correctly and do your best”

「実現できることを確信して、最大限の能力を発揮する」
 “Believe in what you can achieve and demonstrate your full potential.”

という解釈の方が現実味を帯びているように感じるようになった。

また、聖書の教えの中にも次の文があります。
 
マルコによる福音書の第11章24節に、
「祈り求めるものはすべて既に得られたものと信じて祈りなさい」
「そうすれば、そのとおりになる」
“Pray, believing that you have already obtained whatever you ask for.” “And it will be done.”

と書かれていた。
 
カトリック的には、
『天命を聞き人事を尽くす』
"Listen to destiny and do your best"

という表現になるという。
このように似たような言葉が世界中に存在している。
 
だからといって、自分の思い込みや自分の都合でやりたいようにやって後は神まかせではなく、自分が望み、神からいただいたミッションを正しく理解し、神のご計画に確信を持って力を尽くせば必ずや実現できる、という意味だと思う。
 
また、天命(てんめい)意味だけど、天から与えられた命令のことで、天から人間に与えられた、一生をかけてやり遂げなければならない命令のことをいう。また、人がこの世に生を授けられること自体も、天からの命令によってという意味合いがあるようだね。


coucouさんはね、この言葉を信じて、人事を尽くして、天命を俟ち続けた…。でも、どれが天命なのか、天命でないのか、わからないまま時が膨大に過ぎ去っていった。

©NPО japan copyright association Hiroaki


 


2. 天命を待って人事を尽くす

wait for destiny and devote oneself to personnel

幾度、幾年、俟てども天命なんて来ない~
待てど暮らせど、何も、命令もない~
ただ、ひたすら、人事を尽くし続けた…。

でも、なんにもない~

 全頁の「人事を尽くして天命を待つ」というと、一生懸命にしたことなのだから、あとは天にお任せする、という考え方になるのだけれど、ある時、別の先輩に、逆さまに考えて見たらどうか?と言われた。
素直なoucouさんはね、逆さまに考えるようになった。
そしてね、逆に「天命を待って人事を尽くす」という考え方を学んだ。
 
そう、人間って、与えられた時間(寿命)を全うすることこそが本当の天命としての意味があって、この世に生を受け誕生したことに何かしら意味がありような気がしたんだ。
 
つまり、生まれてからこの世を去るまでが天命、使命だともいえるからです。
 
だから、日々の時間を大切に、与えられた時間(命)を大切にすることはもちろん、この世に生を与えてくれた父や母、また祖父母、曾祖父母と数百年、数千年以上のDNA(歴史)を持つわけなのだから、それだけでも尊い天命のような気がしてきたんだ。

そう、人事を尽くさなくとも、生まれたときから天命をいただいていたんだ、と思うようになった。
 
するとね、兄弟、姉妹、そして自分の周りにいる人々なども自然と自動的な繋がりが生まれ、それが社会となるわけなのだから、その日々の目的や使命が存在しているような気がしてきたのさ。
 
そう、すでに天命を待つのではなく天命は与えられているんだもの。
「人事を尽くして天命を待つ」ではなくって、

「天命によって人事を尽くす」
wait for destiny and devote oneself to personnel

という風にcoucouさんは納得したんだ。
 
そう、まずはすでに与えられている天命に人と事を一生懸命に行う、という意味合いがある。
 
私たちの人間社会において、日々の生活や仕事がありそれ自体がすでに与えられている天命といえる。
 
そのように考えると「人事を尽くして天命を待たなくとも」、
すでに「天命を待って人事を尽くすように」
なっているということがわかるはずですね。

coucouさんはね、随分と遠回りをしたけれど、毎日目の前に起こることがすべて天命だと思って、人事を尽くすようになったんだ。するとね、その天命ってやつは無限に舞い降りてくるんだ。

なんか、忙しくなってきたような気もする…。

©NPО japan copyright association Hiroaki



©NPО japan copyright association 

3.とっても、嬉しい天命


coucouさんです~

みなさん、ごきげんよう~

coucouさんは、14年前のある日、coucou一族350年祭ということで、父の本家があるという山形県へ出向くことになった。
(片道8時間、往復16時間以上の車の旅となった)

考えてみたら、父との旅は生まれて初めて、そして最後の旅となった…。

車中の父は饒舌で話しまくっていた。多分、自分の人生とcoucou一族の歴史をcoucouさんに伝えたかったのだろうね。

もともと、父は樺太生まれの樺太育ち。
子どもの頃、幼いcoucouさんに自分は樺太人だと自慢していた。
そう、不毛の極寒の地、樺太開拓団として家族は移住した。
(当時の住民票や戸籍抄本なども存在していた、樺太は日本の国土だった)

休憩をしつつ約8時間かけて山形に到着した。

そして、そのまま晩餐会となる。
coucou一族の生き残り親族が全員集まった。
父は儀式に従い上座に座りcoucouさんは離れた末席だった。

親族の中では最長老94歳の父、唯一の生き残りで誰も知らない話を語り続けた。しかし、あまりにも過酷な樺太開拓団の話と、祖父が若くして樺太で亡くなったため、coucouさんの祖母は満州開拓団として樺太から移植したという。(現在も、樺太に祖父のお墓、満州のどこかに祖母は眠っている)

まるで、壮絶な話ばかりの語り部と化した。

coucouさんにしてみれば、ここにいる親族など誰も知らない。
もちろんみんなもcoucouさんのことなど誰も知らない、お互い様。

でも、coucouさんは段々と不機嫌になったんだ…。

それは、父がとても我儘で、coucouさんに色々指図するんだ。
ビールを継いだり、必要なものを届けたり、すべての指図をする。
父は身体が不自由なためやむ得ないことと思っていたら、さらに激しくなる。トイレの移動から荷物とまるで丁稚奉公の小僧さんのように動きまくる。もちろん、父の話など聞いていられない忙しさ。

さらに口の言い方も粗雑となり、命令調となった。
coucouさんはいくら年老いた親とは言え、だんだんと腹が立ってきたんだ…。
まわりの親族たちは、そのcoucopuさんを見ながら「いい息子さんだね~」「立派だね~」「何でもしてあげるなんて、幸せだね~」などとのんきに言われているが、coucouさんにしてみればとても忙しい。

みんなのお酒の注ぎ係の従業員のようなんだもの。
そして、翌日、無事にcoucouさん一族の350年祭を終えた。もう誰もこの歴史を知るものもいないため、この350年祭が最後の儀式。村中の子どもたちやお年寄りが集まったようだった。

帰り道、頭に来ていたcoucouさんは父に向かって質問したんだ。
「どうして、あんなに威張ったのか?威張る必要なんてないんじゃあない!」

すると、父はしばらく黙り続け、口を開いた…。
それは、意外な言葉だったんだ。

「みんなの前で威張りたかったんだ。もう最後だし…」
「だけど、あんな言い方はないよ!」

「自慢したかったんだ…」
「なんで自慢なんかしたかったのか、そんなこと意味がない!」

「甘えたかったんだ…」
「何、その甘えって?」

coucouさんにはね、まったく意味不明?いつもの温厚な父がどうしてこんなに我儘で、威張ったり、自慢などしたことがないし、見たこともない。

それからしばらく無言…。

「悪かったな…。今回は、一族に会うのは最後。もう二度とあえないだろう。だから長男のcocuouを連れてきた。死ぬ前に、わしの後継者を見せたかったんだよ。coucouを自慢したかった、見せびらかしたかったんだ…。

「……」
 
「でも、そんなに威張らなくても…」

「悪かったな…。みんなの前で威張りたかったんだよ!こんなに素晴らしい息子がいることを…」

確かに、一族の人たちはcoucouさんを褒めていた…。
立派な息子だと…。

「そしてな、お前に甘えたかったんだ。わしは人に甘えたことがない。覚えがない。11歳で父が亡くなり、病気の兄と、幼い妹と、母を支えることだけで生きてきた。そうなんだ、一度でいいから、誰でもいいから甘えて見たかったんだ。人生で1度くらい、そんくらい許してほしい…」

「……」

もう、coucouさんはね、何も言えない…。
いう言葉が見つかんない…。

そうなんだね、甘えたことがないんだね。
coucouさんにはそんなことわからなかったんだ。

どうしてって?

だって、coucouさんは父や母に甘えっぱなしだった
からさ。だから、甘えない、甘えられないって気持ちがわからないんだ。
そう、甘えるってことは、当たり前だと思ってきたんだ。人って、お互いに甘え合う、許し合うものだとも思ってきたからね。
(coucouさん場合、我儘だったから、甘えっぱなしだったんだ)

でも、この父の言葉で初めて知ったんだよ。

甘えたくとも、甘えられない人もいる。
甘えられる立場でも、甘えない人もいる。

そう、甘えることは悪いこと、決して、甘えられたとしても、人には甘えてはならない。

そんな厳しい昭和の時代だった。

あれから、coucouさんは父の人生の後半は、父を徹底として甘やかすことにした。父の考え、父の意思、父の望むこと。

そして最後の94歳まで弟と二人で全力でお世話をさせてもらった。あの日が人生の最初で最後の甘えではなく、あの日から甘えっぱなしで生き続けてほしいと願ったんだ。

子どもたちは親に甘えて当たり前。
親だって、子どもたちに甘えても当たり前。
そうやって、親子で支え合ういのちなんだものね。

でも、子どもに頼みごとのできない、親たち。
親に頼むことのできない、子どもたちがいる。

そう、親子なんだもの、遠慮や気兼ねなんていらないんだよ~

そう、子どもたち、散々甘えてきたじゃあないか~

そう、年老いた親は子どもと同じ、甘えさせてもいいじゃあないか~

人生って、1回きり。

今、両親がいる人たちは幸せさ。
だから、今、甘え合わなくて、いつ甘えるの~


coucouさんはね、天命をもらったのさ~
その天命をいただいて人事を尽くしたんだ。

その人事はね、父や母に優しく、甘えてもらう仕事だったのさ。

とっても嬉しい、天命だったんだよ。



山形県の帰り道、6月の月山の山々はまだ雪で真っ白だった。
山道を走り続けていると、父が急に車を止めてほしいというので突然止めることになった。
外は晴れていたけれど、吐く息は白い。
一体何をするのかと思っていたら、雪の中に顔を出していたフキノトウを採り出した。

父は、夢中になって採りまくる。
coucouさんにも手伝ってくれと言うので車の後部席がいっぱいになるほど積み上げた。
どうするんだろう?
こんなに沢山採って?

いつも意味不明な父の行動だったけれど、この寒さの中でとても楽しそうな笑顔の父の顔だった。
後で聞いたら樺太にもフキノトウがあったという。

わずか1泊2日の往復16時間の旅だったけれど、数十年分と濃縮した生涯のcoucouさんにとって最高の想い出として心に残っている。

一生懸命に、子どものように夢中で、
楽しそうな笑顔の父の顔が今でも忘れられない。

天命に、感謝~


※coucouさんの一元論は明日の454に続く~



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