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多様性〜人と森のサスティナブルな関係

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2021年出版『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』に関する記事や書評を集めています。
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#森林業

書評   「多様性」   by  藤森隆郎さん

書評 「多様性」 by 藤森隆郎さん

藤森隆郎さんは、1938年生まれ、日本を代表する森林生態学者で、国際的にも活躍をされた方です。「気候変動枠組み条約政府間パネル(IPCC)」が2007年にノーベル平和賞を受賞したことに貢献したとして、IPCC議長から表彰を受けられています。
2010年の日本森林再生プラン実践事業の際に、私は藤森さんと数回に渡って交流させていただきました。
藤森さんは、現役引退後も熱心な活動をされており、2015年

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基調講演「道を基点とした森林業」

基調講演「道を基点とした森林業」


岡山県津山市で開催されるDesign the Forest ミニカンファレンスで、フランウッドの小原会長と一緒に登壇します。講演会の部分をオンラインで提供できることになりました。

https://michi-shinringyo.peatix.com

2024年7月1日(月)13:30-15:30

13:30- 15:00
基調講演「森林基幹道を基点とした多機能な森林業」 池田 憲昭(

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ドイツ視察セミナー 「世界最大の林業展KWFと南西ドイツの森林業・建築・グリーンインフラ・エコワイン」 2024年6月19日〜25日 (ツアー概要書)

ドイツ視察セミナー 「世界最大の林業展KWFと南西ドイツの森林業・建築・グリーンインフラ・エコワイン」 2024年6月19日〜25日 (ツアー概要書)

ドイツ視察セミナー 「世界最大の林業展KWFと南西ドイツの森林業と木材産業」
期間:2024年6月19日〜25日 (現地6泊7日)
開催場所:中部・南西ドイツ
主催者:Arch Joint Vision 社 代表:池田憲昭 https://www.arch-joint-vision.com
現地コーディネート・専門通訳・ガイド:池田憲昭
参加人数:5〜12名
セミナー料金:2450ユーロ(1人部屋

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皆伐はもう怖くてやれないんです。

皆伐はもう怖くてやれないんです。

先週、林業から製材業、木造建築までトータルで行なっている会社の社長と従業員2名、ならびにそのパートナー会社の社長1人の計4名で日本から来独され、私がアレンジした南ドイツの森と木材クラスターの視察に参加されました。

その会社の社長は、現状の「一斉に伐って、植えて、育てて、また伐る」という畑作的な林業から、自然の力とプロセスを活用した近自然的な森林業へ転換することを考えられていて、森の視察では、特に

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『多様性』から生まれた波紋

『多様性』から生まれた波紋

2年半前にいきなり世界中を襲ったパンデミックによって、動き回れない、人ともあまり直接交流できない、サナギのような生活を強いられて書いた本『多様性〜人と森のサステイナブルな関係』。突然訪れた静寂のなかで、過去と現在、未来を見つめ、自分を見つめ、これまで得た知識や経験を整理して、未来へ歩んでいくための心のかたちを整える、自己セラピーにもなりました。前書きにも書きましたが、まず自分のために書いた本です。

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シリーズ企画「広葉樹は雑木ではない」の12名の多彩な講師陣

シリーズ企画「広葉樹は雑木ではない」の12名の多彩な講師陣

4月11日から5月31日まで開催するセミナーシリーズ「広葉樹は雑木ではない」では、森づくりから、伐採、加工、流通、モノづくり、手工業、レジャー、ハンティング、教育に至るまで、第一線で活躍されている多彩な12名のゲスト講師を招きました。科学的な知見から経験論まで、実務・実用的な話から哲学・人生論まで、皆さんの意識の中に、多彩な未来の明かりを灯します。

講師の紹介をします。私が直接会ったことがあるの

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『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』がPOD出版コンテストで賞をもらいました

『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』がPOD出版コンテストで賞をもらいました

『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B091F75KD3

POD(プリントオンデマンド)出版のコンテストで優秀賞をいただきました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004456.000005875.html

PODとは、普通の出版社を通さない自己出版の方法で、注文が来てから印

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セミナーシリーズ「広葉樹は雑木ではない」 2022年4〜5月 12人のゲスト講師と14回開催!

セミナーシリーズ「広葉樹は雑木ではない」 2022年4〜5月 12人のゲスト講師と14回開催!

日本で林業と言えばスギ・ヒノキ(北海道ではカラマツとトドマツ)。日本の林業界は、とりわけ戦後、産学官ともに、針葉樹に極度に偏重し、日本の豊かな自然環境が育む、多様な広葉樹を軽視、もしくは対象外として来ました。多様な広葉樹類を一括りにした「雑木」という敬意のない呼び方は、そのことを象徴しています。広葉樹はしかし、保水、洪水や地滑り防止、生物多様性、美観など、多面的な公益機能を発揮し、国土を守り、私た

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セミナー: シリーズ企画 「広葉樹は雑木ではない!」

セミナー: シリーズ企画 「広葉樹は雑木ではない!」

2022年4月と5月、第一線で活躍される10名+の多彩なゲスト講師と共に、全てオンラインで開催します。

日本で林業と言えばスギ・ヒノキ(北海道ではカラマツとトドマツ)。日本の林業界は、とりわけ戦後、産学官ともに、針葉樹に極度に偏重し、日本の豊かな自然環境が育む、多様な広葉樹を軽視、もしくは対象外として来ました。多様な広葉樹類を一括りにした「雑木」という敬意のない呼び方は、そのことを象徴しています

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書評 「多様性」 by 友田 啓二郎さん

友田さんは廃棄物関係で日本有数のエキスパートで、広島に本社がある環境コンサルティング会社「(株)東和テクノロジー」の代表取締役を務められています。

私がフライブルク大学森林学部に入学したばかりの1998年に、お仲間の方々と一緒にフライブルク市に環境視察に来られ、その時私が1日、通訳と案内を担当しました。廃棄物の視察を午前中1時間くらいでさっと終え、その後シュヴァルツヴァルトの森林散策に連れて行っ

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権威ある林業経済学会誌で書評

権威ある林業経済学会誌で書評

昨年春に出版した拙著『多様性-人と森のサスティナブルな関係』は、業界関係者や専門家だけでなく、広く一般の人々に読んでもらえるように配慮して、エッセイ風に書いた本ですが、大変嬉しいことに、権威ある「林業経済学会」学会誌の書評で取り上げてもらえました。
https://www.jstage.jst.go.jp/.../8/74_26/_article/-char/ja/
書評の最初のページだけ、サンプ

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慶應大学の全労済協会寄付講座でオンラインレクチャー

慶應大学の全労済協会寄付講座でオンラインレクチャー

先週、慶應大学の経済学部の約250名の学生向けに、オンラインで森林業の話をしました。全労済協会の寄付講座でした。

参加者の数では、私のオンラインセミナーの最高記録です。

拙著『多様性−人と森のサスティナブルな関係』を読まれた駒村康平教授から、昨年夏に依頼を受け、最終講義の回に当ててもらいました。

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B091F75KD3

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ベーシックが大切

ベーシックが大切

フォレストジャーナルに頼まれて、ドイツの森林業で、川上と川下を繋ぐキーマンであるフォレスターの記事を書きました。
https://forest-journal.jp/market/31805/

1)質の高い森林調査と整理されたデータ、
2)持続的な素材生産計画、そして、
3)現場や所有者の状況を隅々まで把握する異動が基本ないフォレスターの「頭脳コンピューター」の大切さを、
とりわけ強調しました。

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宮脇メソッドの「密植」と天然更新の「密生」の背後にある原理と、人の手の必要性の考察

宮脇メソッドの「密植」と天然更新の「密生」の背後にある原理と、人の手の必要性の考察

世界で急速に広がっている、荒地やちょっとした空き地に「ミニ森林」を造成する宮脇メソッドに私が好感を持っているのは、近自然的森林業における天然更新と類似点があるからだ。それは、どちらも「密」で「多様」だということ。前者は、土を施して多様な樹種の「密植」をする。後者は、不均質な間伐で多様な光環境を土壌に与え、多様な樹種の更新を促す。狩猟でシカの食害を抑え、控えめな間伐で光の量を調整して草の繁殖を抑える

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