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【感想】世界地図の下書き

今日もお疲れ様です。未来に希望はあると思いますか、あると思ってもいいのでしょうか。

今回は、浅井リョウさんの『世界地図の下書き』の感想を書きます。感想といっても、いつも通り自分の心動かされた部分だけを取り上げるので、自分勝手な感想になっています。

あとは、感動作と謳われているようですが、私にとっては悲しい小説だったので、感想も暗めになっています。

※この記事はネタバレがあるのでご注意ください。

久し振りの浅井リョウさんの小説でした。単行本で読了。

久し振りだと思っていたけれど、今月既に他の本も読んでnoteにも感想を書いていました。朝井リョウさんの本が合うのかな。

この本は、自分の過去に重なる部分もあり、読んでいて辛く悲しくなりました。

この物語の主人公は子どもたちです。小学生から高校生までの。

だから、読んでいて自分も自然に小学校から高校までのことを思い出しました。

どうして子どもって酷なんだろう、と思いました。だけれど、それは大人の世界でも変わらないかもしれない、とも思いました。

大人でも意地悪な人はいるし、理不尽な出来事だってまだまだあります。

歳を重ねればある程度のことが分かってきて、物事が見えるようになってきて、そして落ち着くようにはなるとは思います。

それは、経験や時間を重ねることでしか分からなくて、だから子どものうちは仕方のないことなのかもしれません。

でも、それでも、どうしてって思ってしまうのは私だけでしょうか。


※以降ネタバレがあるのでご注意ください。


本書には、いじめの描写があります。自分もいじめられていた時のことを思い出して辛くなりました。同じだと思いました。

私は幼稚園、小学校、中学校、高校、これら全てでいじめを経験してきました。

いじめの描写は小学校を舞台に描かれています。私は小学校では何しろ6年もあるので数回いじめを受けました。

その中での私の態度に麻利と重なる部分がありました。小学生の時の自分はいじめだといじめを自分で認識できていないものもありました。

私たちは仲が良くて、じゃれあいというかそれで私に絡んできているだけなんだと、そう思っていました。そう思い込みたかったのかもしれません。

だから、麻利と同じだったときの私は笑っていました。ブスだとかバカだとか何を言われても、笑っていました。むしろ、そう言われたら私の方から、私ってブスだよね!と言ってその友達を笑わせていました。

もう自分でもこの状況に傷ついているのか、楽しんでいるのかよく分かりませんでした。

いじめが発覚して、先生に事情聴取をされたことも何度もあります。その度に先生は私を可哀想にとでもいうような目で見て、優しくしてくれました。

その子達と関わらなくて済むようにと配慮をしようとしてくれた時もありました。だけれど、私はそれを拒みました。その時の私は、彼女らは私と仲良くしてくれてるだけで、友達のままでいたい、きっと友達になれると思っていたからです。

その時の先生の困惑したような表情を今でもよく覚えています。普通はもう友達になりたいって思わないんだけどね、と言われました。これを言われたのは小学校4年生の時で、ちょうど麻利と同じ歳でした。

小学4年生にもなればいじめられているかどうかなんて分かると思っている人もいらっしゃるかもしれません。

でも、もしもどこかでおかしいかもって自分で気が付いていたとしても、友達だから、友達になれるって当時の自分はまだそう思ってしまうんです。

今では、当時困惑されていた先生の気持ちも考えもよく分かります。今では私も自分を否定してくるような人達と関係を持とうとは思いません。

本当に自分を大事にしてくれる人、お互いに大事にしあえる人とだけ関わりを持つようになりました。


本書で麻利は、女の子が好きでそれが気持ち悪いと周りから非難されます。

そんなに気持ち悪いことなのでしょうか。

何を小説に対して本気になっているんだと、思われるかもしれません。

でも、好きな人がたまたま同性だったというだけでどうして、嫌な目で見られないといけないのでしょうか。

私も、私はレズだ、やだ、きもいという言葉を投げかけられたときもあります。その時は高校生の時でした。

自分ではそんなつもりはありませんでした。

中学までは、男子とよく関わっていたこともあり、それが原因なのかいじめもあり、そして男好きだよね、とまで言われました。私としては、普通に仲がいいから男子と話しているだけでした。

だから、高校では大人しくしようと思い、男の子とはほとんど関わりを持ちませんでした。私はADHDのせいなのか分かりませんが、あまり言わない方がいいことを素直に言ってしまうことがありました。

そのため、高校でも自分が素敵だなと思った女の子には、可愛いね、好きだよというような言葉をかけていました。そのことが気持ち悪いと思われたのかもしれません、「え、なに、レズなの?」と言われ笑われました。

高校生にもなれば、明らかにいじめと分かるいじめをされることはあまりなくなり、彼女らは私のことをクラスメイトとして接してはくれたけれど、どこか遠回しに接されているように感じました。

自分でもどうしたらいいか分からなくて、居場所もありませんでした。家族には言わなかったけれど、お昼でざわついている教室の中で、一人で母の作ってくれたお弁当を食べていた時期もあります。

何回か、食べながら泣きそうになってしまい、ぐっと耐えてお弁当だけを見て食べていました。すぐに食べ終わると、できるだけ周りの音を聴かないように気をつけて、読書をしていました。本に頼って、逃げていました。


本書に出てくるメインの子どもたちは、家族とは離れて施設で育っています。彼らには、ふつうの家庭と呼べるものはない。

それでも、私には、帰る居場所のある彼らがとても羨ましく思いました。

私は学校も嫌で、さらに家も自分の居場所を感じることができなくて帰りたくありませんでした。家では、何度も自分はここにいない方が良かったのだと思っては辛くなりました。居心地も悪く、心が休まることはありませんでした。


高校生の佐緒里に関しては、やりたいことがあることがとても羨ましく思いました。そして、好きなものがあることも。

一見したら、高校を卒業して進学するという希望が叶わず、不幸な立場にあると思うかもしれません。

確かに私はこうして大学に入学していますし、私から佐緒里のことを羨ましいと言うのは違うのかもしれない。

だけれど、今まで支えとなるものもなければ好きなものもない私にとっては、ひとつのものを好きでそれを支えにして生きている佐緒里が少し輝いて見えた。もしこの先また辛いことがあっても彼女は彼女の居場所に戻れるのだなと思ったから。

確かに私は本に逃げていたけれど、それは休み時間を潰すために読んでいたから、時には周りから変な目で見られているのではないかと気になって本を開いてはいるものの、読書に集中できない時もあった。

それに、自分が好きな本はこれといえるものもなかった。ただただ毎日を本を読んで過ごすことに潰していた。


本書では誰も彼もが一緒にいてくれる人を求めて不安になっている。それは私もそう。根っから1人が好きな人もいるかもしれない。だけれど、ほとんどの人は誰かそっと隣にいてくれるようなそんな相手を求めているのだと思う。

もし、その相手がいたとしても不安は消えることはない。私がかつて親から捨てられるのではないか、とびくびくしていたように。

そして今ならば、彼氏という恋人の存在がありながらも、その繋がりがいつまで続いてくれるのかと不安になっている。また、私はひとりを繰り返すのではないか、と。

信じたいと思っても、自分を守るためか脳は色々なことを考えては私を心配や不安にさせたり、相手を疑うということをさせる。そうすれば、もしも何かあったときに、やっぱりと自分へのダメージを少しでも抑えることができるから。


本書の最後で、これから先には色々な出会いがあるはずで、そして希望もそこにはあるはずだと話して終わる。

未来に希望はあるのだろうか。それは誰にも確証できるものではない。

佐緒里が言っているように、そう思っていないと生きていけないからだろう。

未来は予測もできず不安だらけだ。今から私たちが進む道に希望があると思わなければ、ずっと暗闇を漂うことになってしまいそうだ。


私が読んだ本には「こころ震える感動作」という謳い文句が書かれていました。なので、もしかすると多くの人は本書を読んで、どこかで感動を味わっているのかもしれない。

でも私には、どうしたって本書は悲しい小説なのです。

彼らの未来のことも、自分の未来のことも考えたくないと思いました。

ただ辛い部分だけなくなって、今の状態が続いてくれたらいいのに、と思います。

人や環境に恵まれていることは、本当にラッキーなことで、もし自分がそうだと思うならば本当にそれらを大事にした方がいいと思います。


私の暗い過去を書いてしまいましたが、私の過去全てが暗い記憶で覆われているわけではないのでそこは承知下さい。

暗い記憶に押されて、かすんで消えてしまいそうだけれど、楽しいことだって多分ありました。そう思いたいです。


長くなってしまいましたが、今回はここまで。あまり希望のないような内容でごめんなさい。

ただただ想いを連ねたくて、書いてしまいました。

また覗きに来て下さると嬉しいです。

他の本の感想はこちらから。



ここまで読んで下さりありがとうございました
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