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【書評】 『一瞬を生きる君を、僕は永遠に忘れない。』

たまたまKindle Unlimitedのおすすめに出てきたので、予備知識なしで読んでみた。

内容は『君の膵臓をたべたい』や『君は夜空に光り輝く』の流れをくむ難病ヒロインもので、予期された結末に向かう過程で起きる出来事も大きく変わらない。

本書は、主人公がカメラを操ることが大きな特色なのに、シャッターを切るまでの描写や、どういう意志をこめてファインダーを覗くのかといった、写真にかけるドラマを文字に起こそうとしないのはとても残念な気がしてしまった。

僕自身の乏しい経験から言っても、人の死ってそんなに美しいものじゃないし、別れというのはありふれた日常に突然そのページをめくられるからこそ別れなんだと思う。

その一方で、フィクションだからこそ描けるものといえばいいんだろうか、生のあるうちに感じ取らねばならないものを、共有してくれる人が一緒にいるというのは美しいし、死という究極の孤独が訪れても、彼女はひとりではないということが伝われば、読者一人ひとりのその後の生き方、他者への接し方にも影響を与えることになるのではないかと思えた。

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