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2021年2月の記事一覧

意匠法23条 意匠権の効力

意匠法23条 意匠権の効力

 意匠権者は、業として、登録意匠及び登録意匠に類似した意匠の実施する権利を専有します。

 登録意匠に類似した意匠の権利範囲は、他人の意匠権と重複するケースもあり得ます。この場合、意匠法26条により独占権の重複を調整します。

 部分意匠の意匠権の効力は、部分意匠を含む全体意匠に及びます。

 組物意匠の意匠権の効力は、その組物意匠全体として権利行使できるのみです。組物を構成する個々の物品ごとに権

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意匠法22条 関連意匠の意匠権の移転

意匠法22条 関連意匠の意匠権の移転

 本条は、関連意匠を移転する際の制限について規定しています。

1.意匠法22条1項 基礎意匠と、その関連意匠の意匠権は一緒に移転しなくてはなりません(意匠法22条1項)。つまり、分離移転の禁止です。また、質権についても、基礎意匠、関連意匠について同時に設定する必要があります。
 これは、基礎意匠と関連意匠は類似する意匠なので、基礎意匠と関連意匠の意匠権の範囲には重複部分が存在します。このため、基

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意匠法21条 存続期間

意匠法21条 存続期間

 意匠権(関連意匠以外)の存続期間は、出願日から25年で終了します。また、関連意匠の意匠権の存続期間は、基礎意匠の出願日から25年で終了します。
 つまり、関連意匠の意匠権の終期は、基礎意匠の意匠権の終期と同じです。これは、権利重複部分に関して、権利期間の不当な延長を防止するためです。

 基礎意匠の意匠権が「存続期間の満了、又は、相続人不存在」以外の理由で消滅した場合、関連意匠の意匠権は消滅しま

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意匠法20条 意匠権の設定の登録

意匠法20条 意匠権の設定の登録

 
 意匠権は、1年分の登録料納付がなされると、職権で登録されます。この登録料には、猶予、軽減、免除がありません。

 秘密意匠の意匠権が登録されたときには「願書及び願書に添付した図面、写真、ひな形又は見本の内容」は秘密とされます。また、この内容は、秘密にすることを請求した期間が経過したときは遅滞なく意匠公報に掲載されます。

 秘密期間満了前に意匠権が消滅した場合には、意匠公報に意20条3項に規

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意匠法19条 特許法の準用

意匠法19条 特許法の準用

 特許法の準用のみです。

・意匠法19条

(特許法の準用)
第十九条 特許法第四十七条第二項(審査官の資格)、第四十八条(審査官の除斥)、第五十条(拒絶理由の通知)、第五十二条(査定の方式)及び第五十四条(訴訟との関係)の規定は、意匠登録出願の審査に準用する。
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意匠法18条 意匠登録の査定

意匠法18条 意匠登録の査定

 拒絶理由が発見されない場合には本条によってただちに意匠登録をすべき旨の査定が行われます。

・意匠法18条

(意匠登録の査定)
第十八条 審査官は、意匠登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、意匠登録をすべき旨の査定をしなければならない。
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意匠法17条の4 補正後の意匠についての新出願

意匠法17条の4 補正後の意匠についての新出願

 特許庁長官が延長できるのは「通常の」補正却下後の新出願の期間です。一方、審判長が延長できるのは、「拒絶査定不服審判で補正却下された場合」における補正却下後の新出願の期間です。

・意匠法17条の4

第十七条の四 特許庁長官は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又は職権で、前条第一項に規定する期間を延長することができる。
2 審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、請求により又

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意匠法17条の3 補正後の意匠についての新出願

 本条では、補正却下後の新出願について規定されています。補正却下後の新出願の規定は、意匠法と商標法にだけあります。

 要旨変更か否かの判断が補正直後になされるのであれば、本条のような規定は不要と思われます。しかし、要旨変更か否かの判断が補正から1年後になされる場合もあり、その場合に補正を含む新たな意匠登録出願の時点が1年後であるのは酷です(出願時が1年繰り下がることになる)。このため、本条の規定

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意匠法17条の2 補正の却下

 意匠法では、補正が要旨変更補正と判断されると、本条の規定に基づいて、補正却下となります。

趣旨 特許法では、要旨変更補正に相当する補正がなされると、拒絶理由通知がなされます。しかし、意匠法においては、特許法のような広範な補正は認められておらず、権利付与の遅延が生じていませんでした。また、補正がなされても要旨変更か否かの判断を行うにあたり、解釈が入り込む余地が比較的少なく、客観的な判断が可能です

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意匠法17条 拒絶の査定

意匠法17条 拒絶の査定

 所定の拒絶理由に該当する場合、意匠登録出願は拒絶されます。

1. 意3条違反 出願に係る意匠が「工業上利用することができる意匠」ではない場合、3条1項柱書で拒絶されます。「工業上利用することができる意匠」であるためには、(i)意匠を構成するものであること、(ii)意匠が具体的であること、(iii)工業上利用可能であること、が必要です。

 図面の不備(図面不一致など)によって意匠を特定できない

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意匠法16条 審査官による審査

意匠法16条 審査官による審査

 本条は、特許法47条に対応する規定です。

 特許庁長官は、出願の実体審査を行う審査官を特定し、特定した審査官に出願の実態審査を行わせます。

 審査官の除斥原因の有無を判断するためにも、審査官の特定が必要です。

・意匠法16条

(審査官による審査)
第十六条 特許庁長官は、審査官に意匠登録出願を審査させなければならない。
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意匠法15条 特許法の準用

意匠法15条 特許法の準用

 優先期間は最初の出願から6月であり、優先権証明書の提出は現実の意匠登録出願の日から3月です。

 なお、意匠の各部分を第一国出願し、その第一国出願の意匠を組み合わせて一意匠とする出願をした場合、複数のパリ優先権等の主張を伴っていても、優先権の効果は認められません。

 意匠法でも、職務創作は規定されています。

・意匠法15条

(特許法の準用)
第十五条 特許法第三十八条(共同出願)、第四十三

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意匠法14条 秘密意匠

意匠法14条 秘密意匠

 秘密意匠制度は、登録された意匠の内容を、一定期間秘密にできる制度です。

 登録意匠は意匠公報に掲載されて公開されるのが原則です。しかし、登録意匠が公開されると、出願人の将来の製品開発動向等を競業者に知られるおそれがあります。
 ここで、技術の累積的進歩を前提とする発明を保護する特許法では、特許権の内容を秘密にすることは許されません。しかし、しかし、意匠法の保護対象は物品の美的外観であり、累積的

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意匠法13条の2 特許協力条約に基づく国際出願に係る出願の変更の特例

意匠法13条の2 特許協力条約に基づく国際出願に係る出願の変更の特例

 本条では、国際出願から国内出願(意匠登録出願)への変更が規定されています。具体的には、国際特許出願から意匠登録出願への変更と、国際実用新案登録出願から意匠登録出願への変更です。

 国際特許出願が意匠登録出願に変更できるようになるのは(始期)、(i)日本語特許出願の場合は国内書面提出後、(ii)外国語特許出願の場合は国内書面、翻訳文、手数料の提出後、(iii)みなし国際出願の場合は国内決定の後、

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