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意匠法17条 拒絶の査定

 所定の拒絶理由に該当する場合、意匠登録出願は拒絶されます。

1. 意3条違反

 出願に係る意匠が「工業上利用することができる意匠」ではない場合、3条1項柱書で拒絶されます。「工業上利用することができる意匠」であるためには、(i)意匠を構成するものであること、(ii)意匠が具体的であること、(iii)工業上利用可能であること、が必要です。

 図面の不備(図面不一致など)によって意匠を特定できない場合も、3条1項柱書で拒絶されます。

 また、意3条1項では新規性が規定され、意3条2項では創作非容易性が規定されています。

2. 意3条の2違反

 拡大先願の規定(意3条の2)に違反した場合も、拒絶されます。

3. 意5条違反

 意5条1号は公序良俗に反するおそれがある場合、意5条2号は出所混同のおそれがある場合、意5条3号は機能確保に不可欠な形状のみである場合です。

4. 意7条違反

 一意匠一出願の規定に違反した場合、例えば、複数の物品が図面に記載されている場合には、拒絶されます。

5. 意8条違反

 組物の出願が「組物ではない」場合、意8条違反で拒絶されます(意7条違反ではありません)。

6. 意8条の2違反

 内装の出願に係る意匠が、内装全体として統一的な美感を有さない場合、意8条の2違反で拒絶されます。

7. 意9条1項、2項違反

 先願主義の規定(意9条1項、2項)に違反した場合、拒絶されます。

8. 意10条1項、4項、6項違反

 関連意匠の規定に違反した場合も拒絶されます。

9.その他

 補正要件違反や、補正における新規事項追加は拒絶理由ではありません。
 創作者が出願人でも、意匠登録を受ける権利を有していない場合には冒認出願となります。

・意匠法17条

(拒絶の査定)
第十七条 審査官は、意匠登録出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。
一 その意匠登録出願に係る意匠が第三条、第三条の二、第五条、第八条、第八条の二、第九条第一項若しくは第二項、第十条第一項、第四項若しくは第六項、第十五条第一項において準用する特許法第三十八条又は第六十八条第三項において準用する同法第二十五条の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
二 その意匠登録出願に係る意匠が条約の規定により意匠登録をすることができないものであるとき。
三 その意匠登録出願が第七条に規定する要件を満たしていないとき。
四 その意匠登録出願人がその意匠について意匠登録を受ける権利を有していないとき。


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