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ゆめがかわった

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文章で吐き出すことで整理したいことがある気がします。 今までに見たゆめの話を書きました。
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かわったゆめ/あとがき

かわったゆめ/あとがき

 昭和のゆめ、musicianのゆめ、三者面談で語ったゆめ、阿弥陀でゆめ破れて、花の都を夢みて、空を飛ぶ人のゆめ、一度ゆめがなくなってからの働かないゆめ、小説を書くゆめ。書きながらいろんな仕事をして、34歳のおれは職業訓練校の調理科にいた。書く仕事もしたけれど、今はごはんを作る仕事をしている。まさか!

「焼鳥屋さんにならせるためにここまで育ててきたわけじゃない!」
三者面談の後、あんな厳しい顔の

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小説を書くゆめ

小説を書くゆめ

 沢山のゆめを見てきたけれど、何をみている時にでも常にあるゆめが書いて生きていくことだった。新しいようで、実はずっと前から思い描いていたゆめ。

 文章を書いて生きていきたい。そう口にする時、おれの中では実は小説家と決めているのだけれど、いやおいそれはでっけぇ夢だなぁ、いつ叶う、いつからそれが仕事になる、と言われると一生の仕事な気がしていた。ので、心の中で決めてはいても、小説を書きながら何かしら他

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働かないゆめ

働かないゆめ

 その時はゆめとは気が付かず、ただどこかに吐き出したくて、弱りきったおれの救いとなったのが書くことだった。

 お母さんお父さんがいないことに慣れたくなくてずっと悲しみの中にいたかったおれは、書くことで悲しみ続け、書くことで思いを吐き出し整理しながら毎日をどうにか過ごしていた。部屋には沢山の空缶、敷いたままの布団、ヒノ(彼氏)に編んでみているマフラーには床に落ちた髪の毛まで一緒に編み込まれる始末。

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ゆめがなくなる

ゆめがなくなる

 学校の先生になりたい、アイドルになりたい、詩を書く人になりたい、アルフィーの近くに行きたい、東京で働きたい、水族館、映画関係、小説家、客室乗務員。いろいろなりたいものがあったし、おれは勉強するのが好きだった。そのための学校に行くことも学校のことを調べることも好きだった。

 大好きな母がいなくなってもうダメだーと泣き暮らしながらも新しいゆめを見て変なメイクをして前髪も固めて就職活動をしていたけれ

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空を飛ぶ人のゆめ②

空を飛ぶ人のゆめ②

 大学に通いながらWスクールで英会話とパソコンの専門学校に通っていたおれは(学費はバイト代で稼いだ。スゴイ!)新しいゆめを見つけてまた学校に通うことを決める。航空会社への就職は自力ではどうやら難しいらしい。

 元客室乗務員(CA)の方々が講師で、メイクの仕方や立ち居振る舞い、航空業界についての座学、英会話、履歴書の添削、プロのカメラマンによる写真撮影などなど多岐に渡って航空会社への就職をサポート

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空を飛ぶ人のゆめ①

空を飛ぶ人のゆめ①

 好きになった人とうまくいったことはそれまでなかったような気がする。手紙を書いたり電話で伝えたこともあったけれど、気持ちを伝えることができないまま終わった恋がほとんどだった。

 19歳で好きになった人は26歳社会人。スーツなんて着てるから大学生とバイト先のラフな社員さんしか見てないおれにとってはすごく大人に思えたし、北海道から来たその人の顔立ちと喋り方が他の誰とも違っていて、とても好きになった。

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阿弥陀で破れたゆめ

阿弥陀で破れたゆめ

 高校、大学の進路をおれの家ではなぜか阿弥陀で決めた。公務員の父と真面目で控えめな母、博打うちではない。なのになぜそんなことになったのだったか。そして、なぜおれはその決定を受け入れることができたのか。

 高校の場合でいうと、父母おれ3人の希望する高校が違った。父はより高みを目指してほしいようで進学コースのある私立高校2校を推薦。母は家からバスで通える公立高校、おれは家を出て寮から通う私立大学附属

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三者面談でゆめを語る

三者面談でゆめを語る

 中3の3者面談、もちろんお母さんが来てくれてビートルズが大好きな担任のK子先生とこの先の生き方を語る会。

「ニコさんはどんな人になりたいですか?」
150センチ位の小柄な感じそしてめちゃシュッとしてて、イギリス愛が感じられる常に襟付きにいいベルトでシャツイン。johnを思わせる丸メガネ。さすが英語の先生! 髪型も女性には珍しくツーブロ七三分け。キリッとした話し方もまた女女してなくてむしろジェン

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花の都へのゆめ

花の都へのゆめ

 ちょっとだけ時は戻って、アルフィー と出会ったおれは、ビートルズにはじまりS&G、CSN&Yなんてのを聞く日々を送り、周りとのずれはもちろん感じていたので音楽の話はあまり人にするもんじゃない! の考えを固めていった。

 詩を書き、友達に言えない音楽をダビングしたカセットテープで延々と聞き、休み時間には映画雑誌をじっくり読みする中学生だったおれの次のゆめは東京で暮らす人、例えばアイドル。

 そ

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musicianのゆめ

musicianのゆめ

 音感があるから絶対習った方がいい! と保育園の先生に言われて4歳からピアノを習い、でもなんとなく楽しく弾けなくなってきて週1回のピアノ教室に行くのが苦痛になってきた中学生の頃。
 部活で帰り時間が遅くなっているにも関わらず、ピアノを弾いていいのは21:00までというお父さんルールと、湿気でやられて戻りが悪くなった鍵盤を理由になんだか練習しなくなるも、音楽は別方向からゆめとなる。

 ニコこれ好き

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昭和のゆめ

昭和のゆめ

 保育園の頃、月毎に誕生会があってその月のバースデーボーイバースデーガールたちがみんなの前に出て将来の夢を発表するイベントがあった。お花が好きだからお花屋さん、ケーキ屋さん、お母さんが看護師だから私も看護師、、など職業を言うものだと思っていたおれは、なかによく混ざってくる、ゾウさん! ひまわり! なんていう夢にビックリしたものだ。

 そんなおれの夢は学校の先生。みんなよりちょっとできる感じがカッ

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ゆめがかわった

ゆめがかわった

ゆめの始まり、途中、おわり
何を書くのかという話

 なんだか思い返すと、いつも焦っていた気がするんだよ。大学に入るまでは良かった、きっとすぐ目の前に分かりやすい目標があったから。
 人並みに悩んだりつまづいたりしながら大学生になってすぐに焦りは始まった。教職も図書館司書も絶対じゃないけどせっかくだから資格が取れるように単位を取って。でもそれだけじゃ足りない気がして、就職に直結しそうなことを身に付

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