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月と私とゆれるカーテン

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月が満ち欠けするように、ゆらいで詩と自然と生きる日々を綴ります。
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2021年3月の記事一覧

実家卒業、みんなおめでとう

実家卒業、みんなおめでとう

明日から新年度ですね!

私は詩集のこともあり、営業や献本などのため、今日まで少し、ストックイラストの仕事をお休みさせていただいていました。

詩集の感想メッセージ、本当にありがたく拝読しています! 本当にありがとうございます。

詩のご意見を伺いながら詩を書くことは難しいながらも結構楽しく、前より本格的に詩人としての活動を始めさせていただいています。

図書館もまわり、私の詩集が小さな図書館で4

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髙樹のぶ子『私が愛したトマト』を読んで

髙樹のぶ子『私が愛したトマト』を読んで

少し不思議な短編集。

でも、最後の一行が心に残って忘れられないんですよね。

表題作、「私が愛したトマト」の最終行、

台風なんて、ちっともこわくありません。

にはこの短編の全てが入っているように思えました。いや、実際台風は本当はほんとうに怖いものなんですけど、この短編を読むとこの一行の真意がわかります。読んでみてください。

人と人が暮らすこと。

食べること。

生きること。

これは本当

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G・ガルシア=マルケス 木村榮一訳『コレラの時代の愛』を読んで

G・ガルシア=マルケス 木村榮一訳『コレラの時代の愛』を読んで

一人の男が、待って、待って、待って51年以上。

それだけ一人の女を待ち続けることができたということは本当に素晴らしいですし、何か奇跡のような素晴らしさを思えます。

夫婦、というものは不思議なもので。

カルチャーショックの連続により日々が成り立っていくわけですが、バディであり、相棒であり、運命共同体な、わけです。

そこに、相手を思う気持ちがあればなおのこと、相手を信じて待ち続けることができた

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小川洋子『口笛の上手な白雪姫』を読んで

小川洋子『口笛の上手な白雪姫』を読んで

小川さんの短編集って、絶対に不思議なことが静かに起こるような気がしています。

静かに、ゆっくりだけど、何か日常の中で不思議なことが起こって、変化していく。

それが発語の問題であったり、病気であったり、そういった暗がりから「ことば」全体の問題をめぐる不思議な物語に発展していく。

ある意味、アンティーク家具のような味わいを出していて、私はそこも小川さんの作品の好きな所でもあります。

現在を描い

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第一詩集インカレポエトリ叢書8『聖者の行進』(七月堂)が販売されました!

第一詩集インカレポエトリ叢書8『聖者の行進』(七月堂)が販売されました!

本日(2021年3月25日)私の第一詩集、インカレポエトリ叢書8『聖者の行進』が七月堂さんで発売になりました!

お買い求めはこちらから。

BASEはこちら!

もう本当に感謝しかなくて……。

きっかけを作ってくださったのはフェリスで詩の授業をされていた城戸朱理先生。城戸先生とは詩集をどう出すか一緒に考えていましたが、むしろ今でよかったなと思います。

出版までの私の緊張していた心も含め、編集

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明日!みなさまにお知らせしたいことがあります🌸私にとってはうれしいニュース😆みなさまお楽しみに〜ちなみに創作関係のニュースです♪

豊島ミホ『花が咲く頃いた君と』を読んで

豊島ミホ『花が咲く頃いた君と』を読んで

青春って、なんでこんなに短くて、

なんでこんなにうれしくて、苦くて、切ないんだろう。

春って、そういう時期なのかもしれない。

人によって違いますよね、春のとらえ方。

私は大変なこともあったけれど、いつもはじまりだととらえていて、そんな私は恵まれていたんだなあと思います。

この一冊に出てくる少年少女たちは自分たちを取り巻く環境(主に家庭ですが)が変わっていくにつれ、若さを持て余しながらも幸

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吉田篤弘『あること、ないこと』を読んで

吉田篤弘『あること、ないこと』を読んで

吉田篤弘さんはもう私本当にファンです。次々読んでますね……

今回は吉田さん達のクラフト・エヴィング商舎の仕事の集大成のように感じます。

純文学の小説でありながら、メタ的なものも含む、すべてがデザイン、芸術な本。

小説っていうよりも、うん。本だ。

小説自体が芸術であり、文藝であることには間違いないのですが、吉田篤弘さん達の本はすべてがアート。

配置・組み方・余白の取り方・文字列・字体

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リチャード・B・ライト 堀川徹志訳『みんな、同じ屋根の下』を読んで

リチャード・B・ライト 堀川徹志訳『みんな、同じ屋根の下』を読んで

たっくさん笑いました!!

一つの老人ホームの物語なのですが、インテリばあちゃん・ダンディじいちゃん・被害妄想ばあちゃん・いじわるじいさん、など、主人公がめくるめく移り変わるコメディ。

人生はたそがれにこそ味がある

とよく言われますが、

ひとり、がうまくできないと黄昏を思う存分味わえないんじゃないかな

とも思います。

みんなが集まる場所も本当に楽しいし、そんな多種多様なじいちゃんばあちゃ

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冲方丁『はなとゆめ』を読んで

冲方丁『はなとゆめ』を読んで

以前も読んだことがありましたが、24歳を経て、再読。

なぜ24歳を過ぎてからかというと、この小説の主人公、清少納言の「若さの限界」が24歳と書かれてあったからです。

そう、この物語の話者は清少納言。

それを、現代の男性作家の冲方さんが書いているのですが、女性の声で本当に聞こえてくるような文体で、とても美しいんですよね。

優しく、時に激しい平安時代の女性。

恋をすること自体が「生き方」とさ

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永井するみ『秘密は日記に隠すもの』を読んで

永井するみ『秘密は日記に隠すもの』を読んで

著者の永井さんの絶筆となったミステリーです。

日記は私も毎日書いているものですが、このようにnoteやブログに今では日記を書けるようになりましたね。

実はこの作品、男を殺してしまった女の子の日記から始まるんです。

彼女は高校生で、マツエクなんかにも興味があって、そして彼女を取り巻く人々にも抱えていることがある、女子高生らしい女子高生です。

そんな彼女がずっと紙媒体に日記をつけていくのですが

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高野ムツオ『片翅』を読んで

高野ムツオ『片翅』を読んで

私自身が詩をやっているせいか、同世代の女性詩人だったり、とてもいい詩歌に触れると体力が削れて動けなくなることが、あります。

今回の高野ムツオさんも、その「動けなくなるほどの衝撃」の中でも格が違うほど感激してしまいました。

高野ムツオさんは、私と縁がある俳人の方の師匠。

そういう意味でも、どんなうたを作られる方なのか、とてもドキドキしながら読みました。

……すごかったです。高野ムツオさん自身

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平松洋子『本の花』を読んで

平松洋子『本の花』を読んで

平松洋子さんの読書エッセイ・書評なのですが、日常的に本を読む素晴らしさって、たくさん読んでいないとわからない気がする。

私は仕事が久方ぶりに落ち着いて、読書をしたときに心が(本当の意味で)浄化されたというか、震えた記憶があります。

今、ステイ・ホームが続く中で、仕事が忙しくて森へも疲れていけない状態の中で、私の心を解き放ってくれるのは「本」でした。

時折、平松さんの日記が登場してくるのだけど

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ラドヤード・キプリング 藤松玲子訳『ゾウの鼻が長いわけ』を読んで

ラドヤード・キプリング 藤松玲子訳『ゾウの鼻が長いわけ』を読んで

小説家のお父さんって、いいなあ!!!

キプリングの作品自体も私は結構読んできましたが、キプリングが小さな娘さんに子守歌代わりに語って聞かせた童話の短編集です。

多分アドリブで(?笑)語っているのですが、その発想がすごいなあとただただ感心してしまいます。

ゾウの鼻がどうして長いのか。

ラクダになぜこぶがあるのか。

多分娘さんは「なんでなんで」とお父さんにせがんだんでしょうね。そういう時期は

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