メンバーシップの力
私は、DeNA創業者 南場智子さんの
「不格好経営」という本に出てくる、以下のフレーズが大好きです。
仕事をするにあたって、一人で実現できることは本当に少ないと私は思っていて、「能力」「人手」「知識」「経験」「相互の有機的な繋がり」というものを無視することは不可能であると考えています。
言い方を変えると、集合知を集めることによりできる事は大幅に増えます。
一人で経営している企業でない限り、複数人で課題に対して取り組むことが行われます。それは組織自体を飛び越える場合も十分に存在しています。
その状況下において成果を出す為に、チームがあり、プロジェクトがあるのではないかと私は考えています。
もちろん、上記の文脈において、個人の能力および開発を行うことを否定する訳ではありません。特に課題の難易度が高いほど、個人の持っている能力をどう繋げていくかは非常に重要な要素と言えます。
私が大事にしたいのは「メンバーシップ」という考え方です。
この言葉は、チームがチームとして成り立つ為の一体感を生み出す原動力として、それぞれのチームメンバーが細かく専門性やリーダーシップを持つという考え方です。
メンバー、一人一人が目標を共有し、お互いを思いやってチームとしての能力を最大化させる雰囲気があれば、より大きな成果を上げられると私は信じています。
逆を言えば、強固なメンバーシップがなければ、個人の力を結集できず、チームは機能不全に陥ってしまうと言えます。
メンバーシップの重要性に関しては、以下のように述べることができます。
目標の共有による一体感の醸成
チームの存在目的、目標を明確にし、メンバー全員がそれを共有することで、同じ方向を向いて邁進する事ができます。お互いに目標を意識し合えば、一体感が生まれ、モチベーションの向上やコミットメントの強化につながると言えます。
協力し合うことのシナジー効果
一人一人の力を合わせるだけでなく、密接に協力し合うことで、相乗効果(シナジー)が生まれます。互いの長所を活かし合い、欠点を補い合うことで、個人の力を超えた成果が期待できます。アイデアを出し合い、役割分担をすることが重要と言えるのではないでしょうか。
信頼関係から生まれる好循環
メンバー同士の信頼関係があれば、議論を活発に行え、率直に意見を交わせます。自由にアイデアを出し合える雰囲気が生まれ、それが更なる創造性とイノベーションにつながる可能性が高まります。お互いを信頼し合える環境こそが、前向きな好循環を生み出せると言えます。
多様性を活かした創造性の発揮
メンバーの個性や経験、価値観の違いを受け入れ、活かすことが創造性を生みだす原動力となります。異なる視点から課題にアプローチでき、新しいアイデアが生まれやすくなります。多様性は議論を豊かにし、独創的なソリューションにつながります。
メンバーの離脱防止によるチームの安定性
チームに一体感と所属に対する一定のロイヤリティがあれば、メンバーの離脱を防ぐことができます。離脱が続けば、知識やスキルの流出、チームの弱体化につながります。長期的な視点でチーム編成を固定化できれば、生産性とパフォーマンスの維持が期待できます。
結果、メンバーシップの醸成は決して容易な手続きではありません。チームメンバー、一人一人の個性や価値観の違いを受け入れ、お互いを高め合う信頼関係を築くことは、相当の努力と時間を要します。
しかし、そうした強固なメンバーシップがあってこそ、チームはそのチームでしか生み出せない個性的な力を発揮できると言えます。
メンバーが個々の力を最大限に発揮するには、お互いを思いやり、支え合う雰囲気づくりが何より大切です。自由にアイデアを出し合え、建設的な議論を重ねられる環境があれば、創造性が花開き、相乗効果(シナジー)が大なり小なり生まれます。メンバー同士が高め合う関係を構築できれば、モチベーションとコミットメントが更に向上し、最終的なアウトプットが最大化されると言えます。
こうしたメンバーシップの醸成を実現するためには、リーダーの役割が極めて重要になります。リーダーは、常にメンバー、一人一人を大切にし、お互いの能力と個性を尊重する姿勢が求められます。
そこにあるのはエースが引っ張っていく旧来型のリーダーシップだけでなく、コーディネート、ファシリテート、デザインという要素が含まれるとも言えます。
そして何より、メンバーの多様性を受け入れ、それを強みとして活かせるよう努める必要があります。リーダー自身がメンバーシップの重要性を熟知し、一体感あるチームを率いていくことが不可欠と言えるのではないでしょうか。
このように、強固なメンバーシップを基盤とするチームならば、どんな困難や逆境にも立ち向かうことができると個人的に考えています。お互いを尊敬し、高め合い、目標を共有するメンバーの力を結集すれば、想像をはるか超える大きな成果を上げられるでしょう。
メンバーシップの構築は決して簡単ではありませんが、それこそがチームの勝利に向けた原動力となり得ます。
これこそがメンバーシップの力であり、冒頭の南場さんの言葉にある「力強い高揚感でシンプルにドライブされていく」、つまりチームとしての勝利の美酒が次の成功という循環を生む状態をつくると言えるのではないでしょうか。
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