マガジンのカバー画像

藍色の空と君と

13
小説と詩の混合作。 ブルーアワーを撮る君に惹かれた僕は目を擦り空を仰いだ。綺麗な空が1日に何度も色を変える。 素敵な事実を教えてくれた君に僕は何かを届けたいと思い…
運営しているクリエイター

#創作

朝の怖さを知らない僕

朝が怖い。本に記載されていた、自分には理解が及ばない文字列。きっと、僕はさして痛みを知らないのだろう。気付かないうちに多くの人によって守られているのだろう。前進に伴う痛みと、現状を維持するための痛みは違うのだ。おそらくは。僕は前者しか知らない。

もしかしたら遠くない未来、僕も朝が怖くなるかもしれない。写真が好きなあの子からムラサキ色した空が送られる。

ストーリーにアップされない、個別チャットで

もっとみる

藍に恋をして

日没前と夜明け前の
空の色の移り変わりようを
気にも留めなかった

視線を向けるようになったのは
君と出会ってから

不可視な心の形に写真の構図を重ねる
不可視な心の余白に空の色を塗りたくる

心という
言葉にするには躊躇いがちな漢字一文字

君は声にしないで
その様相を教えてくれた

現実を切り取って
僕に届けて
空に連なる不可侵な想いが
画面に浮かぶことを知った日

君に恋をした瞬間
#詩  

もっとみる

注がれる輝き

不安がベッドに根付くから
未明に跨ぐ藍色の空を写真に収める

白昼の空に映る青は掴めない

藍色の滲み具合は
円形をなさない私の心に寄り添ってくれる

光が眩しいから
前髪を長くして

笑顔が苦しいから
耽美なものを好んで

そうした心地に慣れた頃

君は私の在り方を知ってか知らずしてか
光を届けてくれた

前髪が長い私を褒めてくれた
バッドエンドな映画を見て感想をくれた

私がこっそり撮る藍色の

もっとみる

プロローグを経て

どこかで誰かが号泣必死の映画を観て泣く

「今日から人に優しくしよう」とSNSで決意した誰かは数日後、クラスメイトに平気な顔して罵詈雑言を浴びせる

物語は届かないの?
言葉は届かないの?
思いは届かないの?

私はそっと目を閉じた
私は部屋に閉じ籠った
私は前髪をより伸ばした

現実から逃げたくて
私は藍色の空を撮り始めた

明日なんて来るな
金輪際、夜は空けるな

祈りが通じるはずもなくて

もっとみる

ブルーアワーを君に送る

未明の頃合いに私は外に出て桟橋に横たわり写真を撮る

この時間にだけ姿を現す紫と青が入り混じった空、ブルーアワーを瞳とカメラに収めるのが日課だ

私がこの空を撮る理由はまだ私が始まっていないから
陽が登らないこの時間が私に味方してくれるような気がした

私は未熟で未完で未成年で
物語は始まってさえいない

誰か1人、理解者が欲しかった
派手なブランドや飾りのための恋愛、
見栄だけに留まらない人と繋

もっとみる

ブルーアワーを撮らない日

「今日はブルーアワーん撮る気分じゃない。」

夜明けを待つ時刻に君から届いたメッセージ。

「どうして?」
僕の返信にすかさず答えた。
「わずかな時間に空を占めるブルーアワーの色が好きだったみたい。」
「うん。」
「無理して早起きして仰ぐブルーアワーが好きだったみたい。」
「うん。」
「無理して早起きしてわずかな時間、集中して撮るより好きな習慣ができたみたい。」
「それは何?」

少しの間、と言っ

もっとみる