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展覧会レポ:キヤノンギャラリー「六田春彦 写真展:白き幻影 ~VSE Thanks!~」

【約4,000文字、写真約15枚】
銀座にあるキヤノンギャラリーへ初めて訪問し、「六田春彦むだはるひこ 写真展:白き幻影 ~VSE Thanks!~」を鑑賞しました。その感想を書きます。また、キヤノンについても少し調べました。

※現在、銀座の展覧会は終了しています。なお、大阪は11月14日(火)~11月25日(土)で巡回予定。

結論から言うと、❶無料!、❷銀座でサクッとコンパクトにアートを鑑賞できる、❸鉄道写真の理解が深まったため、おすすめです。キヤノンのカメラユーザーにとっても親切に相談できるキヤノンフォトハウスも魅力です。

展覧会名:六田春彦 写真展:白き幻影 ~VSE Thanks!~
場所:キヤノンギャラリー
おすすめ度:★★★☆☆
会話できる度:★★★★☆
ベビーカー:ー
会期:2023年10月3日(火)~10月14日(土)
休館日:日曜・月曜・祝日
住所:東京都中央区銀座3丁目9−7
アクセス:銀座駅から徒歩約5分
入場料(一般):無料
事前予約:不要
展覧所要時間:10分〜20分
混み具合:ストレスなし
展覧撮影:全て撮影可能
URL:https://canon.jp/personal/experience/gallery/archive/muda-vse


▶︎訪問のきっかけ

銀座の歩行者天国(風船はもらいもの

今年、私は銀座の企業系ギャラリーを多く回っています。そこでキヤノンギャラリーも行くことにしました。日曜日は休館日のため要注意です。

▶︎キヤノンギャラリーとは

キヤノンギャラリー入り口

1973年2月に「キヤノンサロン」(現・キヤノンギャラリー)を銀座に開設して以降、半世紀にわたりフォトグラファーの写真表現活動をサポートし、来場者に写真の魅力を感じていただく場として発展を続けています。プロ・アマチュアを問わず、写真表現のさまざまな新しい試みを発表し、キヤノンギャラリー銀座ではキヤノンサロンからの通算で2,000回以上の写真展を開催してきました。(略)キヤノンMJはいつの時代も変わらずに写真の可能性や楽しさを訴求し、写真文化の醸成とさらなる発展に貢献していきます。

キヤノンギャラリー50周年企画展より

ギャラリーは国内に3つあります(銀座、品川、大阪・中之島)。銀座と大阪は、主に公募の写真展、品川は所蔵作品の写真展を実施しています。運営は、キヤノンではなく、キヤノンマーケティングジャパンです。

銀座と大阪の写真展の特徴として、プロ・アマ問わず応募できる点です。HPにあるように写真活動のサポートに資していると感じました。

▶︎アクセス

キヤノンギャラリー銀座へは、銀座駅から徒歩約5分。松屋銀座の後方のブロックにあります。広さは「約25mの壁面長をもつギャラリー」(約40m2)です。一人暮らしのワンルームくらいの広さで、真ん中に立てば、簡単にぐるりと作品全てを見渡せる程度です。

住所:東京都中央区銀座3丁目9−7

▶︎「六田春彦 写真展:白き幻影 ~VSE Thanks!~」

フォトハウスからの入り口

(略)鉄道車両の寿命は一般的に30年程度であるが、このVSEはなんとデビューから17年の2022年3月で 定期運行を終了。(略)VSEが走る小田急沿線は、都心のビル街、住宅地、 田園地帯、 箱根の山など異なった風景が次々と 展開し、四季の移り変わりや天候によって無限の表情を見せてくれる。その風景とVSEの両者がシンクロしたとき、特別な瞬間、 特別な時空が生まれる。「白き幻影」 が現れるときだ。(略)VSEに乗って誰かと出かけたり、一人で当てもなく展望席を楽しみながら移動した思い出が たくさんある。そのVSEのある人生を楽しませてくれた感謝の気持ち。そうした思いを今の自分の素直な気持ちで表してみたい。

会場のキャプションより

会場に特急ロマンスカー・VSE(50000形)を写した写真が約30点並びます。VSEとは、Vault Super Expressの略。私はロマンスカーに乗ったことはありませんが、名前くらいは知っています。鉄道ファンにとってそんな「ロマンスカー」は特別な存在なのでしょう。

迫力を感じるVSE

VSEを撮った写真から、鉄道愛を感じました。撮影者が、被写体に興味や愛があるかないかで、見る人が抱く印象も変わると思いました。

公園の横を通るVSE

私は、公園を背景に通り過ぎるVSEの作品が一番印象に残りました。過去、私は西武新宿線沿いに住んでいました。当時、公園でランニングしていた時にも電車の音が聞こえたり、子供が親と一緒に道路から電車を眺めていたりと、当時は常に電車が身近にありました。

約10年前の風景(私による撮影)

日常を写した写真が好きな私は、生活の一部である風景を示した電車の写真は懐かしく感じました。私は地方に旅行や出張に行った際、電車から風景を眺めたり、利用されている人々の姿を観察することが好きです。鉄道ファンが感じる電車の魅力は、そういう要素もあるのかな?と思いました。

六田春彦むだ はるひこさんが在廊されていました

当日、六田春彦むだはるひこさんが在廊されていました。私は、展覧会で在廊されているアーティストの方に会うのは初めて。せっかくの機会なのでご質問しました。

六田さんはキヤノンギャラリーに初めて公募、当選したそうです。六田さんは普段、能面や古美術を撮影しており、それらは照明次第で印象が大きく変わります。そういった知見が鉄道写真にも生かされているとのことでした。

よく見ると乗客の顔まで見える。どういう設定で撮影したんだろう?
四季折々とVSE
VSEの引退。哀愁を感じます

キヤノンギャラリー銀座は、キヤノンフォトハウス銀座と繋がっています。キヤノンフォトハウス銀座は「お客様とキヤノンの専門スタッフが直接対話する、新しい写真のコミュニケーション拠点」とのことです。

キヤノンフォトハウス銀座

キヤノンフォトハウスは、販売する場所ではなく、商品の見本が置いてあり、専門知識豊富なスタッフに商品や写真の相談をする場所のようです。

私がギャラリーで写真を見ている間「子供の姿が見えないな」とフォトハウスを覗いてみると、スタッフの方が子供と横に座りながら動物の写真集を見せてくださっていました。親切なご対応に感謝しかございません🙇

VRゴーグルもありました

カメラに関して、私はソニーユーザーです。ソニーで撮った写真は、パキッとしたクールな印象に対して、キヤノンで撮った写真は、柔らかいソフトな印象があると感じます。

ちなみに、子供に「印象に残った写真は?」と聞いたところ「シールをもらえたこと」とのことでした(運営のご参考になれば幸いです)。

いただいたシール
裸でも生きる』に登場したMOTHER HOUSE。キヤノンギャラリーのすぐ近く

▶︎まとめ

いかがだったでしょうか?無料だったことに加え、銀座でサクッとコンパクトにアートを鑑賞できるのでおすすめ。六田さんは親切に対応いただき、鉄道写真の理解が少し深まりました。また、キヤノンのカメラを持っている人は、親切に相談できるフォトハウスはとても助かるのではないでしょうか。

▶︎おまけ(キヤノンについて)

(キヤノンギャラリーはキヤノンマーケティングジャパンの運営ですが)キヤノンについて、調べてみました。

電気機器業界で、キヤノンの売上(4兆314億円)は、日立、ソニー、パナ、三菱に次いで5位です。キヤノンのセグメントで、プリンティングが56.1%、イメージングが19.9%を占めます。ほぼ印刷屋さんなんですね。

次に、キヤノンの統合報告書を見てみました。業界を代表するプリンティングの企業で、マーケティングも手がけていることから期待しました。

まず驚いたのが、片開きしかダウンロードできないこと。ビジネスモデルのページは見開きにもかかわらず、読ませる気がないとしか思えません。

全体的に、教科書的で重厚長大、あまり読む気にならない印象でした。重要なステークホルダーである従業員はこれを読んでいるのでしょうか。プリンティング、イメージングの企業であり、ビジュアル素材を多くもっているのであれば、さらに画像を使って紙面に動きを出してはどうでしょうか。

まず、統合報告書で最も重要な「CEOメッセージ」を見ました。内容は、実績、現在と今後の取り組みを書いたのみ。CEOの経験に基づく考えや想いが全く書かれていません。担当者が期末の決算スライドを書き直しただけで、CEO本人のインタビューは実施していないと見受けられました。

社外取締役、従業員、取引先などの「生の声」もないため、客観的な評価が乏しいです。ボードメンバーの5名は社内取締役が3名、社外取締役が2名。社外取締役は弁護士、金融関係でお役所的な人しかいません。企業経営の経験が豊富とは言えず、取締役の構成は保守的な印象です。

全従業員に占める女性比率は16.8%、管理職に占める女性比率は3.6%。執行役員レベル(40名)で女性は2人(5.0%)です。そもそも女性が少ない企業であることは仕方がないものの、多様性が低い印象が強いです。現状や数値を引き上げる企業の考えや、具体的な取り組みも記載がありません。

驚いたのは、男性の育児休業取得率は2022年で47.7%と高いものの、2025年目標が50.0%と低いこと。女性登用と違い、役員や人事が「男性は育休取りましょう」と言えば、すぐに数値は上がるのではないでしょうか…?

「企業と企業を支える個人や地域の活力を引き出し、日本経済の自律的な発展と国民生活の向上に寄与すること」を目的とする経団連の名誉会長(御手洗氏)の企業が、このように多様性が低い状況で良いのでしょうか。翻って、今の日本の重厚長大で変化の薄い事実を表しているとも思いました。

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