金澤直子

声優のお仕事をしてます。 本を読むのが好きで、小説を書きはじめました。 短編小説を楽し…

金澤直子

声優のお仕事をしてます。 本を読むのが好きで、小説を書きはじめました。 短編小説を楽しんで頂けたら嬉しいです♪

記事一覧

仏様と、〇〇

私は今、仏様に会っている。 とはいえ現代の仏様は、お寺ではなく、オフィス街のおしゃれなイタリアンレストランに現れる。 そのお姿も、銅像で良く見るふっくらとした姿、…

金澤直子
2年前
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コンビニ廻るよ、どこまでも〜未明〜

「今日も何事も起きず、平和でしたね」 休憩と呼ぶには遅い時間。 深夜とも早朝とも言いづらいこの時が、店長である日比谷のひと息つく時間だ。 業務日誌を書いたりはする…

金澤直子
3年前
2

コンビニ廻るよ、どこまでも〜夜〜

昼勤務の女の子、なんだか嬉しそうだったな。 時々ニヤニヤして、ちょっと怪しかったけど… 時刻は21時頃。帰宅ラッシュも落ち着いてきた。 畑中真守は発注する商品の確認…

金澤直子
3年前
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コンビニ廻るよ、どこまでも〜昼〜

お腹が減っているのに食べられないのはツラい、と氷川さつきは思った。 そろそろお昼時である。 このコンビニは住宅地にあるため、サラリーマンが押し寄せる事はないが、住…

金澤直子
3年前
2

コンビニ廻るよ、どこまでも〜朝〜

コンビニの朝は早い。 正確に言うなら、コンビニ店員の朝は早い。 山口まりの出勤は朝の4時だ。 「おはようございまーす。品出ししますか?」 「山口さん、おはようござい…

金澤直子
3年前
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眠れぬ夜は、難しい

眠れない。 その時、芙美の頭にあるのはそれだけだった。 時刻は深夜。何時になったかは恐くて見ていない。 普通なら、明日の仕事がいやだから、初デートだから、という理…

金澤直子
3年前
2

サバンナのいちにち

太陽がそろそろボク達の真上に来る。 昨日はとても暑かった。今日も暑いだろう。 そしておとうさんも、昨日と同じあくびをしてる。 ボクのと違って、さきっぽがフサフサし…

金澤直子
3年前
1

後の、のち

「あぁぁあああああ!くっそおおおおおぉぉぉ!!」 「なにがお前は強いから大丈夫だーーー!」 「くそ上司いいぃぃぃ!しねええぇぇぇぇ!!」 ばらばらばらばら、ばらば…

金澤直子
3年前
1

暁と落陽

砂浜が続いている。 視線を向ければ、眩しいほどの煌めきを放つ海。 朝方の海が、こんなにきらきらしているとは知らなかった。 「うぅ…あああ」 「あなたも知らなかった?…

金澤直子
3年前
2

いつもの場所

「今日ポテト150円じゃん」 「Lにしたから充分」 いつものファストフード、いつもの窓際席。西日が入らないようにブラインドは閉まっているから、外を意識する必要もない。…

金澤直子
3年前
2

10年後の輝石

オパールの指輪。 それが入った小箱を、そっとなぞる。ジュエリーショップで買う時はあーでもないこーでもないと悩んだし、「これをください」という時はあまりの緊張に目…

金澤直子
3年前

お金×愛情

お金と、愛情は、等価値だと思う。 愛はお金で買えないと言うけれど、お金が無ければ愛を感じる事も難しいと思う。 生きていく余裕が無ければ、愛なんて感じている場合じゃ…

金澤直子
3年前

仏様と、〇〇

私は今、仏様に会っている。
とはいえ現代の仏様は、お寺ではなく、オフィス街のおしゃれなイタリアンレストランに現れる。
そのお姿も、銅像で良く見るふっくらとした姿、ではなく、何を食べたらそんなになるんですか!と問い詰めたい程のつやつやお肌と、しゅっとした顔つき。
螺髪と呼ばれる、小さいくるくるがたくさん付いた頭髪でもなく、さらさらのロングヘア。
服もゆったりとした布じゃなく、ごく一般的なスーツ。

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コンビニ廻るよ、どこまでも〜未明〜

「今日も何事も起きず、平和でしたね」

休憩と呼ぶには遅い時間。
深夜とも早朝とも言いづらいこの時が、店長である日比谷のひと息つく時間だ。
業務日誌を書いたりはするが、ほぼ日記と化している。思った事をそのまま書くので気は楽だ。
と言っても、彼の思う事は決まっている。
店員一人ひとりが快適に働けているかどうか、お客様が気持ちよく買い物できているかどうか。
昼勤務の氷川さんと佐山君が揚げ物を作ると、食

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コンビニ廻るよ、どこまでも〜夜〜

昼勤務の女の子、なんだか嬉しそうだったな。
時々ニヤニヤして、ちょっと怪しかったけど…
時刻は21時頃。帰宅ラッシュも落ち着いてきた。
畑中真守は発注する商品の確認をするため、店内を見回る。一息つける時間帯になると、つい色んな事を思い出してしまうのだ。
今日は煙草が品切れにならなかったな、店長は今日も出勤してるけどいつ寝てるんだろ…
浮かんでは消えていくが、最後に考える事はいつも同じ。

「俺…こ

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コンビニ廻るよ、どこまでも〜昼〜

お腹が減っているのに食べられないのはツラい、と氷川さつきは思った。
そろそろお昼時である。
このコンビニは住宅地にあるため、サラリーマンが押し寄せる事はないが、住民たちがお昼ご飯を買いに来るためそれなりに忙しい。
特にレジ横のショーケースに入っている揚げ物が、この時間の売れ筋である。
ジュウウゥゥッという空腹を刺激する音を聴きながら、さつきは紙の箱にせっせと唐揚げを詰め込んでいた。
朝の時間に入っ

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コンビニ廻るよ、どこまでも〜朝〜

コンビニの朝は早い。
正確に言うなら、コンビニ店員の朝は早い。
山口まりの出勤は朝の4時だ。
「おはようございまーす。品出ししますか?」
「山口さん、おはようございます。
じゃあ煙草、お願いします」
『店長 日比谷』の名札を付けた男が答える。
深夜から働いているはずだが、いつもと変わらず落ち着いた声だ。
まりは大量の段ボールを開けるべく、気合いを入れる。
あと一時間もすれば出勤前のお客さんが来るか

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眠れぬ夜は、難しい

眠れない。
その時、芙美の頭にあるのはそれだけだった。
時刻は深夜。何時になったかは恐くて見ていない。
普通なら、明日の仕事がいやだから、初デートだから、という理由が思い浮かぶだろうが、違う。
久しぶりの連休、残念ながらというべきか、特に予定は詰まっていない。しかも今日は連休二日目、何を心配する事もない、はずだ。
金曜日に送ったデータに不備があって気になるという事も無いし、後輩の関根さんにイラっと

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サバンナのいちにち

太陽がそろそろボク達の真上に来る。
昨日はとても暑かった。今日も暑いだろう。
そしておとうさんも、昨日と同じあくびをしてる。
ボクのと違って、さきっぽがフサフサしてる尻尾がぱたん、ぱたんって音をたてる。
おかあさん達は、ボクが起きたらすぐに狩りに出掛けちゃった。まだお腹は空いてないから、遊んでほしかったなあ。
草や石ころで遊ぶのは面白いけど、飽きちゃうのも早い。おねえちゃんは、同い年の友達と一緒に

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後の、のち

「あぁぁあああああ!くっそおおおおおぉぉぉ!!」
「なにがお前は強いから大丈夫だーーー!」
「くそ上司いいぃぃぃ!しねええぇぇぇぇ!!」
ばらばらばらばら、ばらばらばらばら。
本日の雨予報は30%。なのに午後の天気は大雨。
使い物にならなくなったビニール傘が景気良く雨に打たれている。
「あ~、やっぱさいこー!ストレスは外に出すに限るわ~」
「ニコさん、見た目より大分口悪いんですね…」
「一郎さんは

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暁と落陽

砂浜が続いている。
視線を向ければ、眩しいほどの煌めきを放つ海。
朝方の海が、こんなにきらきらしているとは知らなかった。
「うぅ…あああ」
「あなたも知らなかった?って、そりゃそうか」
ゾンビは太陽の光に弱い。この世界では常識だ。
彼、恐らく彼だろう─ゾンビの彼は、まるで救いを求めるように海に向かって移動している。
他のゾンビと違って見境無く人間を襲う様子が無かったが、弱点は同じのようだ。
少しず

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いつもの場所

「今日ポテト150円じゃん」
「Lにしたから充分」
いつものファストフード、いつもの窓際席。西日が入らないようにブラインドは閉まっているから、外を意識する必要もない。
向かいに座ったカナは、ポテトのLサイズを2つ頼んでいた。
いつもと違うのはそれくらい。
「リサ、いつもそれだよねー。フィッシュサンドて、あんま頼まなくない?」
「だって旨いじゃん。
てかカナ、ポテトばっかじゃ太るよ。サラダも頼みなよ

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10年後の輝石

オパールの指輪。
それが入った小箱を、そっとなぞる。ジュエリーショップで買う時はあーでもないこーでもないと悩んだし、「これをください」という時はあまりの緊張に目の前が真っ白になる所だった。
店員さんによって白い布の隙間につめられて、藍色の箱をそっと閉じられる。
それを受け取った時には考えられないほど、愛おしい気持ちでいっぱいになる。
不思議である。
さっきまで、ただの道具でしかなかった物が、今はこ

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お金×愛情

お金と、愛情は、等価値だと思う。
愛はお金で買えないと言うけれど、お金が無ければ愛を感じる事も難しいと思う。
生きていく余裕が無ければ、愛なんて感じている場合じゃないのだ。
「それ、食堂のラーメン食べながら聞ける話?」
常に煩い大学内でも、その声は良く通る。
目の前に座ってるから、という理由を除いてもだ。
「だってそうだろ。生きてくのに必死だったら、他人にかまう余裕ないじゃん」
「人が一人生きるの

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