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書評

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2023年4月の記事一覧

津軽散文【太宰治『津軽』引用】

津軽散文【太宰治『津軽』引用】

太宰が好きだ。
彼の文章を読んでいると、その孤独と繊細さがありありと伝わってきて、くるしい。
まるでわたしじゃないか。
人を訪ねて、誰かの機嫌がわるいと、いつも自分のせいかと思う、と何度も書いている。

最近、再編された彼の私小説をいくつか連続して読んだ。
『思い出』『冨嶽百景』『帰去来』『故郷』と『津軽』

孤独な人だと思う。

幼少期の環境か、もともとの性格かは今となっては分からぬが、彼は彼と

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土日のうちに、とカフカの『変身』を角川の新訳で再読。生きた日本語はもちろん、川島隆氏の訳者解説(本の半分ほどを占める)の読み応えが素晴らしかった。
以前、精神科医R.D.レインの引用記事を更新した際に言及した、" カフカの作品における自己喪失" にも触れていて感動した。

死刑【『監獄の誕生』ミシェル・フーコー】

死刑【『監獄の誕生』ミシェル・フーコー】

甚だおぞましい話であるが、わたしが文学に溺れたきっかけは「監獄」と「死刑」である。

10代になったばかりの頃、『アンネの日記』を読み、そのあとにフランクルの『夜と霧』、収容所の魅力に溺れ、石黒謙吾の『シベリア抑留』、ソルジェニーツィンの『収容所群島』を読んだ。

続いてユゴーの『死刑囚最後の日』ジュネの『花のノートルダム』に『薔薇の奇跡』。

ああ美しい。

 

前置きが長くなってしまったが、

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