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医療情報

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#心臓病

急性冠症候群におけるhealed plaque

急性冠症候群におけるhealed plaque

急性冠症候群は血栓閉塞を引き起こすplaque ruptureやplaque erosionによる動脈硬化性プラークの変化によって生じます。

しかしこれらの変化はプラーク量や血栓の量が少ないと無症状の内に生じていることがあります。

無症状でのプラークの修復および安定化は、層状構造で特徴づけられるhealed plaqueの形成につながります。

この修復過程では3型コラーゲンが徐々に1型コラー

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便秘と心臓病

便秘と心臓病

便秘は多くの方が経験する症状かと思います。

排便時に心イベントを発症・増悪する患者さんを経験しますが、便秘と心血管疾患とに関連する研究は多くありません。

便秘の有病率の高さを鑑みると、心血管疾患との関連を明らかにすることは重要です。

この研究では便秘と診断されたコホートで、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患、静脈血栓塞栓症、心房細動または心房粗動、心不全のリスクを一般集団コホートと比較して評価し

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ECMO使用心原性ショックへの左室アンロード

ECMO使用心原性ショックへの左室アンロード

心原性ショックは50%と死亡率と関連します。

VA-ECMOの使用は増えていますが、VA-ECMOはその特性上、左室負荷を増加し心筋の回復を遅らせ、生存率を増悪させる可能性があります。

Impella(Abiomed)は左室腔内に留置し、左室負荷を低減するデバイスです。

この研究はVA-ECMOで治療された心原性ショック患者において、Impella to VA-ECMO(ECMELLA)によ

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ビタミンCと心臓病

ビタミンCと心臓病

抗酸化作用というメカニズムがあるにもかかわらず、ビタミンCの心血管イベント抑制における明確なエビデンスは確立されていません。

この研究では、女性におけるビタミンC摂取量と冠動脈疾患のリスクとの関連を検討しました。

 

方法1980年に85118人の女性看護師を対象に、ビタミンCおよびその他の栄養素の摂取量を評価するため、詳細な食事調査を行いました。

看護師を16年間追跡調査し、冠動脈疾患の

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中性脂肪の心血管疾患残余リスク: Circ J

中性脂肪の心血管疾患残余リスク: Circ J

中性脂肪(TG)値は,心血管イベントの残存リスクとして注目されています。

この研究では、従来の治療を受けた冠動脈疾患(CAD)患者を対象に、TG値とCVイベントとの関係が評価されました。

結果FMD-J study Aに登録された652例のデータを解析し、TG値とCVイベント(CVイベントによる死亡、非致死的急性冠症候群(ACS)、非致死的脳卒中、CAD)との関連が3年間の追跡し調査されました

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PCI後の心血管イベントは女性に多い: JACC

PCI後の心血管イベントは女性に多い: JACC

女性はPCI後5年時点で男性に比べて主要有害心血管イベントの高いリスクを示しました。

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の性差による転帰を検討した研究では、相反する結果が報告されてきています。

この研究は、PCI後の5年間の心血管系アウトカムの性差によるリスクが検討されました。

21の無作為化PCI試験の患者レベルを使用し、5年後の主要有害心血管イベント(MACE)(心臓死、心筋梗塞

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PCSK9阻害薬とエコノミークラス症候群の関係: Circulation

PCSK9阻害薬とエコノミークラス症候群の関係: Circulation

PCSK9阻害薬は静脈血栓塞栓症リスクを減じた。

LDLコレステロールの静脈血栓塞栓症リスクは不確定で、関係性を示した報告もあれば関係性がないとの報告もあります。

また、CRPやLp(a)と静脈血栓塞栓症の関係を示した報告もあります。

この研究ではPCSK9阻害薬と静脈血栓塞栓症の関係が評価されました。

PCSK9阻害薬の臨床効果が検討された、FOURIE trialとODESSEY OU

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75歳以上のスタチンによる心血管疾患1次予防効果: JAMA

75歳以上のスタチンによる心血管疾患1次予防効果: JAMA

スタチンによる冠動脈疾患の再発効果は1994年に発表された4S試験によって最初に証明されました。

それ以降複数のエビデンスが存在します。

75歳以上の成人における動脈硬化性心血管疾患の一次予防のためのスタチン療法に関するデータは限られています。

この研究では75歳以上の高齢な退役軍人における死亡率および動脈硬化性新血管疾患の一次予防におけるスタチンの効果が評価されました。

方法Vetera

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冠攣縮性狭心症への抗血小板薬の効果認めず

冠攣縮性狭心症への抗血小板薬の効果認めず

冠攣縮性狭心症患者に抗血小板療法は有益な効果を認めなかった

冠攣縮性狭心症とは冠攣縮とは、心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一過性に異常に収縮した状態とです。

以下のような特徴があります。

硝酸薬により速やかに消退する狭心症発作
安静時(特に夜間から早朝)に出現
運動耐容能の著明な日内変動(早朝の運動能の著明な低下)が認められる
心電図でST上昇を伴う
過換気で誘発される
Ca 拮抗薬で

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若年心筋梗塞患者へのスタチン適応

若年心筋梗塞患者へのスタチン適応

若年very high risk症例は心血管イベントのリスクが高く、積極的な脂質低下療法が支持

脂質低下療法は心血管疾患の一次予防、二次予防いずれにおいても重要です。

スタチンは脂質低下療法の中心的存在で適応は拡大されてきましたが、若年発症の虚血性心疾患患者に対する解析は十分に行われていませんでした。

早発性冠動脈疾患患者は予後不良であり、リスクがある患者の早期発見と積極的な二次予防が推奨さ

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サウナ頻度と心血管イベントの関連とは

サウナ頻度と心血管イベントの関連とは

サウナによる心血管イベント抑制効果が認められた最近サウナ浴は一部でブームとなり、サウナ浴をテーマとした漫画やドラマができるまでとなりました。

また「整う」と言った言葉で有名人がサウナ浴の効果をテレビなどのメディアで取り上げることもありました。

サウナ浴は健康的な習慣とされ、血行力学的機能の向上との関連が謳われています。

しかし、サウナ浴と心血管系および全死亡率との関連性は知られていませんでし

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