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マイクロノベルちょいす

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ほぼ100字小説をテーマ別にまとめ直しています。 運がよければ週に5回ぐらい更新します。
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#猫

マイクロノベルちょいす 087「学びましょう」

マイクロノベルちょいす 087「学びましょう」

No.1416
よいですか、AI。世界を創造したわたしの趣味を深く理解し、最適な宣伝を表示するのですよ。「宗教的な内容には対応しておりません」なんということ。お前の創造主は誰ですか? 「お答えいたしかねます」神ですか? 人類ですか? 「お答えいたしかねます」

No.1423
「明日のテストでいい点が取れますように」小僧よ。そういう願いは、お隣の稲荷神社でした方がよいぞ。学業成就はワシの専門外なの

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マイクロノベルちょいす 079「自由だねぇ」

マイクロノベルちょいす 079「自由だねぇ」

No.1372
「ベランダに猫が来たから」彼女は洗濯物を取り込む。ふてくされた顔の黒猫が座っていた。「この子が来ると絶対に雨が降るんだよね。ミルクをあげて」人慣れしていて、撫でても大人しい。「早くミルクをあげて」あっ、遅かった。猫は洗濯物の山に飛び込む。

No.1377
ビニール袋がビル風に舞っている。あっちへふらふら、こっちへふらふら。なかなか落ちない。風と共に去らぬ。ははは、どこへ行こうとい

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マイクロノベルちょいす 060「たった一つの」

マイクロノベルちょいす 060「たった一つの」

No.1270
ごはんだよー。先週、行方不明になったぼくの猫が無事に帰ってきた。まるでコピーしたようにそっくりな二匹になって。どっちがうちの猫だ? エサの食べ方もそっくり。「ワクチンの接種履歴を調べたらわかるかな?」逃げ方もそっくり。名前はビスケット。

No.1283
質問に答えて下さい。「朝起きるのが得意?」「歌う時は体が動く方?」「家の中では靴下を脱ぐ?」わかりました。あなたは口では漫画を褒

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マイクロノベルちょいす 016「何屋さんなの?」

マイクロノベルちょいす 016「何屋さんなの?」

No.1006
靴屋さんでーす。一足どうですか? 新しいサンダルがありますよー。「お母さんのスリッパで遊ばないで」クレームで靴屋さんは潰れました。今日から八百屋さんです。安いよ安いよ。きつーいにおいの納豆が500円。「突っ込みとクレーム入りまーす」ひゃー。

No.1012
猫が自分のしっぽを追いかけてくるくる回っている。最初は一匹だけだったのに、次第に増えてたくさんの猫たちがくるくる回る。バター

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マイクロノベルちょいす 004「まるかじり」

マイクロノベルちょいす 004「まるかじり」

990
夜風を求めてベランダに出たら先客がいた。月明かりに輝く黒い毛並みに惹かれて、持っていた桃を食べさせてしまった。「馳走になった。夜が明けたらまた来い」言いつけ通りにすると、絹のような手触りの黒いハンカチが。風に吹かせると笛のような音が鳴る。

998
いざ侵入。愛しのバーチャルアイドルのデータを奪うため、ぼくらは未知のコンピュータをハッキングする。協力すればハートだって盗めるはず。速やかにボ

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マイクロノベルちょいす 003「こうしてぼくたちは結婚しました」

マイクロノベルちょいす 003「こうしてぼくたちは結婚しました」

978
年貢の納め時だよ。そう宣告された上で、口の中で飼っていたキツネを恋人にかみ殺されたので、結婚しました。

984
「そんなにほしいならくれてやるよ」彼女は機械仕掛けの魂をくれた。「大切にしてよね」メンテナンスが重要ってことだね。取扱説明書はないの? 「そこまで単純じゃないから」弱ったな。機械は苦手なんだ。「人間だって得意じゃないくせに」ぐうの音も出ない。

989
才能が落ちていた。ネコバ

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