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2021年1月の記事一覧
いくらを4つ集めて消す話
わたしは距離感をつかむのが苦手である。
一日に何度も足の小指を棚にぶつけるし、2日に1度妻の足を踏んでしまう。大切にしようと近づくと、相手を傷つけてしまうのだ。
「お嬢さん、お逃げなさい。」とは、
森のくまさんと、距離感がつかめない悲しい男のためにあるセリフである。
そしてもうひとつ。
距離感がつかめないわたしは頻繁に、食器をこわす。お皿を洗う際、パッ、パッと手首を利かせてお皿の水をきる。その
プペルを観てきてポロリな話
昨日の夜、わたしは妻と、映画館にいました。
「・・・なんか。すごく、よかったよね。」
「そうだね。・・・すごかったね。」
ポップコーンとチュロスの残りを食べながら、しばらくの間ぼぅっと、スクリーンの席に座り込んで独り言のようにつぶやく。
観終わったばかりの「えんとつ町のプペル」について、とりとめもなく、一緒にみた者同士だから辛うじて通じる程度の、少ない言葉で感想を語りあっていた。
「キャラ
ゲームソフトが違う、恋とビジネスの話
「でね。結局あの男、詐欺師だったのよ。」
地元に帰省していた日曜日の夕暮れ時。
コメダ珈琲の甘すぎるコーヒーをすすりながら、久しぶりに会った旧友の恋の話に耳を傾けてた。
「詐欺師ってね、はなしが全然通じないのよね。」
その男を擁護するつもりはないが、詐欺師とは言いすぎだ。
「ネットワークビジネス(NB)」という一応合法な仕組みのビジネスである。
去年の12月に出会った男性に恋をし、デートを
サソリと仲よくなりたかった話
「 東京は元麻布、仙台坂上のこの辺りは古くからの屋敷町。」
中学時代の多感な時期、毎日練習していたフレーズです。
今でもめちゃめちゃ上手に言えます。
これは知る人ぞ知る、20年もつづいたTOKYO FMのラジオ
『サントリー・サタデー・ウェイティング・バー』の冒頭のフレーズですね。毎週土曜になると父と一緒にラジオを聴くためにドライブしていたのを思い出します。
当時わたしはラジオパーソナリティ
靴を買いにいったけど冒険しなかった話
「いい靴は、いい場所へ連れて行ってくれるらしいよ。」
妻がふいに、わたしの足元をみながら言いました。
「その靴では行けても、スパ水春かな。」
「そうか、水春好きだけどな、おれは。」
「わたしも好き。」
「でも、その靴じゃリッツ・カールトンには行けないでしょ?」
・・・
妻は話す時、よくリッツ・カールトンを引き合いに出します。
「リッツ・カールトンだったら、こんなメールは送らないよね?」
「リ