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知財のおはなし

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さまざまな知的財産の話題です。海外で事務所をやっているので、外国知財のことも多いです。
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2021年4月の記事一覧

知財の懲罰賠償って、なに? 知財の世界が、恐ろしいことに!

知財の懲罰賠償って、なに? 知財の世界が、恐ろしいことに!

いま、東アジアのハイテク事業を行っている国々で、知財の懲罰的な賠償金が、一般的になってきました。
具体的には、中国、韓国、台湾で、実際の運用されています。
では、「懲罰」という賠償金の制度って、いったい何でしょうか?

懲罰的な損害の賠償は、日本では認められていませんが、英国法の民事訴訟法では、一般的な概念です。
通常の知財の侵害ではなく、意図的に侵害を行った場合は、最大で数倍まで、実際の損害の賠

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東南アジアの知財って、どんな感じ?

東南アジアの知財って、どんな感じ?

「東南アジアの知財ってどう?」っていう感じで聞かれることが、度々あります。
あんまり情報はないですよね。
東南アジアの国と言っても、実は10か国もありますしね。
その中で、知財の保護は、ほんとに千差万別なんです。

必要性は高い、でもねでも、東南アジアでの知財保護の必要性って、高いと思うんですよね。
理由は、自分の会社や競合他社の製造拠点が東南アジアへ移転している所って、結構ありますよね。
もちろ

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「東南アジアの知財ってどうなんですか?」と聞かれることが、度々あります。

「東南アジアの知財ってどうなんですか?」と聞かれることが、度々あります。

「東南アジアの知財ってどうなんですか?」と聞かれることが、度々あります。
多くの日本企業が、東南アジアに進出していますが、知財の保護までは手が回っていないようです。
東南アジアの国と言っても、実は10か国もあるんですね。
その中で、知財の保護は、ほんとに千差万別なんです。

必要だとは分かっているけど東南アジアでの知財保護の必要性って、高いと思うんですよね。
理由は、自分の会社や競合他社の製造拠点

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アメリカの知財対応に、中国企業が学べる事

アメリカの知財対応に、中国企業が学べる事

アメリカは、半導体製品の他国の台頭を、安全保障の問題として捉えています。
最近の中国へのアメリカの半導体製品の輸出の制限や、1980年代の日本の半導体貿易戦争は、まさに、この安全保障の問題でした。
現在の中国とアメリカの貿易戦争は、1980年代後半の日本とアメリカの貿易戦争を比べれば、多くのことがわかります。

いまの中国は、昔の日本?日本は、1975年頃から、半導体製品の量産開発が始まりました。

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ディズニーランドの生き残り戦略

ディズニーランドの生き残り戦略

今日は、ディズニーランドって、どうしてこんなに長い間、人気があるのか、知財の分野から考えてみます。
もちろん、ディズニーが、人々に夢を与える工夫を、一生懸命しているのは、間違いありません。
しかし、人気があるものって、それほど長くは続きませんよね。
かならず、長く人気が続くものには、理由があるはずです。

アメリカの著作権法の歴史は、ディズニーのロビー活動の歴史アメリカの著作権法の歴史は、ディズニ

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女性の皆さん、弁理士なんてどうでしょう?

世界経済フォーラムで作成されている、男女格差指数は153か国中121位という結果に終わっています。
この報道は、かなり拡散されましたよね、オリンピック臨時評議員会の森氏の「わきまえる」発言も加わって、社会的な問題と捉えられてきました。

内閣府でも、社会において男性が優遇されている原因について調べています。これは、日本だけではなくて、世界の各国での2021年公表の最新の調査なんですね。

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外国の特許をいち早くとりたい人には

外国の特許をいち早くとりたい人には

日本は、早期審査の制度があるのですが、最近は、日本の特許庁も出願案件が少なくて、審査が昔に比べたらはやいです。
早期審査も、技術分野によっては、日本の場合、そんなに必要ないかもしれません。

むしろ、外国の権利までの時間がかかって困っているという事情もあります。
現在、出願が集中している東南アジアでは、出願から審査が開始されるまで、5-10年かかってしまっています。

どうして、こんなにかかってし

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特許権の存続期間をのばす方法とは

特許権の存続期間をのばす方法とは

出願したら早く特許を登録させた方が良いことがいくつかあります。
何といっても、特許権の存続期間が伸びます。
特許権は、その出願から20年経ったら、自動的に権利が消滅します。
どんな特許でも一定期間しか、個人や企業には独占させないというのが、現代のルールです。

昔は、登録の日から権利の消滅するまでの期間をカウントしていましたが、いまの先進国ではどこも出願から起算することとなりました。
そのため、審

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なにかを思い出させる、アメリカと中国の貿易戦争

なにかを思い出させる、アメリカと中国の貿易戦争

最近の中国へのアメリカの半導体製品の輸出入制限は、1980年代の日本への輸入制限を思い起こさせます。
昔から、アメリカのハイテク製品に対する、他国への圧力は、何ら変わるところがないのではないかと、今の中国への対応を見て思います。

アメリカが行った1980年代の日本からの輸入制限少し前の話になりますが、日本は、1975年頃から、半導体製品の本格的な量産開発が始まりました。

当時の半導体企業の大手

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アメリカ特許法の情報開示義務(IDS)ってむずかしい?

アメリカ特許法の情報開示義務(IDS)ってむずかしい?

米国特許の実務をされている方で、IDSを知らない方は、そんなに多くはいないかと思います。
米国特許出願について、審査官に提供すべき所定の形式の文献情報がIDSですよね。
このIDSは、出願人に課された義務で、その後の権利行使に影響する非常に大事なものです。

もし、IDS違反があった場合に、誠意誠実の義務 (Duty of Candor and Good faith)の違反ということで、その特許の

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