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外国の特許をいち早くとりたい人には

日本は、早期審査の制度があるのですが、最近は、日本の特許庁も出願案件が少なくて、審査が昔に比べたらはやいです。
早期審査も、技術分野によっては、日本の場合、そんなに必要ないかもしれません。

むしろ、外国の権利までの時間がかかって困っているという事情もあります。
現在、出願が集中している東南アジアでは、出願から審査が開始されるまで、5-10年かかってしまっています。

どうして、こんなにかかってしまっているかというと、審査官の数が圧倒的に足りないからです。

特にタイでは、2017年の統計では審査が開始されるまで10.2年、最近の2019年は9年前後の結果となっています。これでは、権利期間が10年切っちゃうんですよね。

最近のタイへの日本企業の進出を受けて、タイへの特許出願が増えているですけれども、この審査期間の長さが大問題になっています。
多くの方は、そのような外国の審査期間の長期化などの情報はないので、出願してからこの問題に直面します。

初めから、そういう情報を教えてもらえないのはどうしてですか!というお叱りを、お客さんから受ける弁理士の方たちも多いと思います。
しかし、東南アジアは、実は、ASPECというASEAN内での特許審査の協力制度を2009年から取り組んでいて、審査促進に力を入れますよ!と言っているんです。

このASPECがあまりうまく機能していないんですよね。

東南アジア諸国の政府は、目標とか制度は、いち早く作るのですが、実効が伴わないという問題があります。
弁理士の人たちは、制度ができて、国の代表が「審査促進に取り組みます!」というと信じちゃうんですよね。

ただ、実際には、言っているほど、きちんと対応していないというのが、東南アジア諸国なんです。
じゃあ、どうしたらいいんですか、といわれると、PPHを使うというのが、東南アジアでの審査の促進の答えになります。

このPPHといいますのは、特許審査ハイウェイという制度で、日本は早くから導入している制度です。
最近は、諸外国も採用してきています。

このPPHは、2012年のフィリピンでのPPHの適用から始まり、2013年にはインドネシア、2014年にはタイ、マレーシア、シンガポールが採用して、2016年にはベトナムも開始しました。

採用当初は、それほど早い審査ではなかったんですが、最近は申請から半年くらいで結果が出るケースが多いです。

つまり、外国においては、特許審査ハイウェイという制度で、なるべく早く権利を取得して、ご自分の権利を少しでも長く独占することができます。

しかし、この制度を使うためには、日本で同様の出願をすでに行っていて、その日本側でその発明を特許するという判断を得ていないといけません。

こういう制度は、弁理士の方もそれほど頻繁に申請しない方もいらっしゃいますので、対応可能かよく確認してみてください。

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