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「東南アジアの知財ってどうなんですか?」と聞かれることが、度々あります。

「東南アジアの知財ってどうなんですか?」と聞かれることが、度々あります。
多くの日本企業が、東南アジアに進出していますが、知財の保護までは手が回っていないようです。
東南アジアの国と言っても、実は10か国もあるんですね。
その中で、知財の保護は、ほんとに千差万別なんです。

必要だとは分かっているけど

東南アジアでの知財保護の必要性って、高いと思うんですよね。
理由は、自分の会社や競合他社の製造拠点が東南アジアへ移転している所って、結構ありますよね。
もちろん、それは消費地としての爆発的に成長中だからです。
知財的に言えば、中国から偽物品のマーケットが移動してきて、模倣品の販売が急上昇しています。

それと、あまり知られていないのですが、商標などの冒認登録が可能な国内制度を、多くの東南アジアの国では運用されています。
こう言った状況で、知財権取得による権利の「見える化」が、東南アジアでは重要だと言われています。

そうは言っても、東南アジアの10か国で、どのような制度が設けられているか、わかんないですよ、という話をよく聞きます。
特許や商標で、知財の保護は、ほんとに千差万別なんですよね。

東南アジアの特許制度って、どれだけバラバラなの?

まず特許なんですが、ミャンマー以外は、特許制度を採用しています。
本当であれば、ミャンマーも特許制度が立ち上がっていたはずなのですが、クーデターのおかげで、見通しが立たなくなりました。
シンガポール以外は、実用新案制度もあります。
意匠も、ミャンマー以外は採用しています。

ヘーグ条約は、最近、ようやくベトナムとカンボジアが批准しました。
カンボジアは、PCTも批准しましたので、これでヘーグ条約とPCTともに、東南アジアは、ミャンマーを除き、批准したことになりますね。

特許審査ハイウェイ(PPH)も、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムで開始されています(開始時期順)。
しかし、ベトナムでは、年に上限200件までの特許審査ハイウェイ(PPH)の受付となります。
昨年の実績でいえば、最初の数カ月で、ベトナムの特許審査ハイウェイ(PPH)受け付けは、上限200件に達してしまいました。

東南アジアで、注意しないといけないのは、タイ、フィリピンなどの国では、審査の開始に10年近く待たないといけないことです。
このため、特許審査ハイウェイ(PPH)は、審査の遅い国では必須ですね。

コスパの良い、特許での保護

東南アジアで、特許を出す価値はありますか?とよく聞かれるのですが、実際のところ、特許権侵害の警告書で権利侵害が停止する例が多いんです。
この点、中国マーケットは大きく異なります。

たとえば、タイでは、年間500件程度の侵害案件は発生していると思いますが、特許の侵害訴訟案件は、年間10件くらいです。
つまり、権利さえとってしまえば、警告だけで侵害行為が止まってしまう期待はあります。
訴訟までしなくともよいので、リーズナブルですよね。
コスパが良いと言えます。

じゃあ、商標の制度は?

次に、商標なのですが、これも、ミャンマー以外は国内法が整備されています。
ミャンマーは、各市町村で、登録手続きというのがあって、これで今までは凌いでやってきました。
ようやく、商標制度がソフトオープンされたとこで、クーデターが起こってしまっています。
クーデターが無ければ、70年ぶりに商標制度が開始される歴史的なタイミングだったので、とても残念です。

マドリッド条約について言えば、ようやく、タイ、マレーシア、インドネシアで、批准されました。
予定から、3年以上遅れての批准で、どうなることかと、思っていましたが、良かったですね。
マドリッドを使えば、商標の申請手続きが日本で済んでしまうので、楽で安くて良いですよね。

商標の権利行使は、インドネシア、カンボジア、ラオスを除き、ある程度、スムースな対応が期待できます。
なお、ブルネイは、経験がありませんので、残念ながらよくわかりません。
これらの国以外での商標の保護は、じっくり時間を掛ければ、ある程度は可能となります。

東南アジアの国と言っても、実は10か国もありますから、現地の事情に合った知財の保護が、重要ですね。
我々は、現地で、知財の活動をしていますので、ご質問がありましたら、ご連絡ください。


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