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短歌日記

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【短歌日記】薄い酸素の中で

【短歌日記】薄い酸素の中で

雪の上足跡つけて気づいたの今日までずっと生きてきたって

赤い傘粉砂糖降る道をゆく染まらぬように汚さぬように

無作為に引きちぎられたジャムパンはジャムではなくてパンでもなくて

翌朝のホテルのロビーキャリー引くBGMが静かに笑う

宝石じゃなくて良かった石ころは石ころだけの役目があるの

ひ孫来て世話を焼きたい祖父の手が全身全霊チョコレート割る

校庭で困ったように咲くパンジーどうか神様春を恵ん

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【短歌日記】無力な年明け

【短歌日記】無力な年明け

日常に組み込まれてる元日もただ雪のように終わればいいのに

チャンネルを何度変えても分からない傷の大きさ希望のカケラ

チョコレートボックス食べる気分だわ鍋に山盛りあつあつおでん

ポロポロとこぼれていったパン屑に胸を痛めて笑われてもいい

鬱憤のお裾分けなら要りません配れるほどに量産ですね

耳の中垂れてく涙そのままに絶望の匂い確かめている

子の脚につま先あてて眠る夜は可笑しくもあり救いでもあ

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【短歌で日記】2023.9.27〜10.17

【短歌で日記】2023.9.27〜10.17

秋風と飲むヨーグルト混ざり合い「幸せ1」と数えてみたの

ぬるくない専業主婦も労働だ「自信持て」「でも」「働きたい」「でも」

人の死で泣かせることもできるけど愛で泣かせた朝ドラ終わる

テレビ越しあなたを見つけ目を逸らす「推し」とは呼べぬ恋だったから

前髪に「許容範囲!」と言い聞かせセルフカットの腕は磨かぬ

ふりかけて湯を染め我が家温泉地今宵も姉妹が行き先決める

宵の中手を取り歩むカップル

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【短歌日記】2023.10.17〜11.7

【短歌日記】2023.10.17〜11.7

大空に囲まれひとり風をみるそうだ私も一本のススキ

絶望の腹にカレーを流し込む怒る暇なく泣く暇もなく

「ママあげる」赤い実渡し学校へ離れたくない気持ち託して

窓の下なくしたはずのイヤーカフ自分を責める夕暮れ時に

スーツ着てオフィスカジュアル着こなして朝を行く人見ている私

人は皆それぞれ違う星に住む友人恋人家族でさえも

今日もまた迷路の中を走ってくアクリル板にぶつかりながら

青空とスピッ

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