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みゅんひはうぜん短編集

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書きためていた短編を、長編の連載の合間に放出しました。掲載にあたって、ちょこちょこ加筆修正してます。ジャンルはSF・ファンタジー・ホラー・昔話など様々です。コメント欄に、うれしい…
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#ロボット

【短編小説】イ・バ・ラ・ヒ・メ

【短編小説】イ・バ・ラ・ヒ・メ

『くそっ!レクタルームが開かない』 
ポルクが毒づき、パントを額に跳ね上げた。勢いがつきすぎたのか、パントは彼の足元にロストオフした。
「セリスト7番からエンローグできないか?」
「無理だ。新型のボーガルド21型が6エンタだ。7番どころか、10番までもロックアウトできない。」
「そうか・・・かなりエスプガルダのローカライズが速いということか。」
ゼストが腕組みしながらソルロンを覗き込んだ。ソ

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【短編小説】メロスよ止まれ(上)

【短編小説】メロスよ止まれ(上)

奇妙な電子音であなたは目覚めた。
背中にごつごつと固く冷たい感覚。
いつの間にか、どこかで椅子にでもかけたまま眠ってしまったのか。
あなたは目をそっと開けてみる。

薄暗くてとても小さな部屋に、椅子が一つ。
いや、部屋というか、個室というか。
トイレなのか? にしては狭すぎる。
眠い目をこすろうと手を持ち上げようとする。
動かない。
おかしい。
何かで椅子に縛り付けられている・・・
あなたは頭を振

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【短編小説】メロスよ止まれ(中)

【短編小説】メロスよ止まれ(中)

あなたはプラスチック製のグリップを握り、両方のレバーを互い違いに前後に動かしてみる。
と、ガン、ゴゴン、という大きな音とともに、両脇のビルが鉄の両腕で粉砕される。
もちろんコクピットにも強烈な衝撃が伝播したが、「プシュ」とともにそれらは相殺された。

その時あなたは、大勢の市民が車に轢かれたヒキガエルのように血を撒き散らしながら圧搾されるのやら、落下する外壁とともに数十メートルの高さから死へのダイ

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【短編小説】メロスよ止まれ(下)

【短編小説】メロスよ止まれ(下)

あなたはふと我に返る。
これを押すと終わりなのだ。
この巨大な鉄の殺戮者とともに火の海に投げ込まれ、あなたの人生は唐突に終了するのだ。

死にたくなどない。
当然、死にたくなどはない。

だが、このボタンを押さぬ限り、今なお冷酷に続けられるこの破壊と惨殺は、終わることがないのだ。

どちらを、選ぶか。
結局そういう問題なのだ。

あなたは再び巨人の足元を見る。
自動的に行進を再開した鉄の巨人によ

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【豪華一万字】オマケ付きあとがき

【豪華一万字】オマケ付きあとがき

 みゅんひはうぜん短編集にお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。こちらはオマケ付きのマガジンあとがきになります。オマケは豪華・note未発表短編です。お楽しみに♪

 これらの短編は、わしがまだ20代だった頃から書きためていたもので、mixiというSNSサービスを使って、主に友人向けに公開していたものです。

 久しぶりに読み返してみたら、手前味噌で恐縮ながら、面白かったので(笑)

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