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マンガ感想

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アラサーに有効な空気清浄機ことスキップとローファーのみつみちゃん

アラサーに有効な空気清浄機ことスキップとローファーのみつみちゃん

スキップとローファーの最新8巻がついこの間発売された。

なにそれ?読んだことない。という方は作者のツイッターで1話が無料で読めるので、まずはそちらをご覧ください。

高校生が主人公なのに、なんでこんなにアラサーの私に刺さるんだ?と思ったら掲載誌がアフタヌーンでした。これもしかして少女漫画じゃなくて青年漫画にカテゴライズされるのかな?

最近のアフタヌーンの連載めちゃくちゃ面白いのが揃っててびっく

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「誰ともわかり合えない」という砂漠を潤す物語たち

「誰ともわかり合えない」という砂漠を潤す物語たち

自分の中に確かに存在しているのに、うまく言語化できない気持ちがたくさんある。
言葉として形作ることができないまま、そう感じたという事実だけが心に残ってしまうのは、ちょっとさみしい。
かっこよくいうと、砂漠に1人取り残されているみたい。
だけど時々、思いがけないところで形作られたその気持ちに出会える時がある。私ではない誰かのエピソードとして、誰かが抱いた気持ちとして表現される瞬間がとても愛おしいから

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休職中でも楽しく読めるお仕事漫画こと「税金で買った本」のこと

休職中でも楽しく読めるお仕事漫画こと「税金で買った本」のこと

休職初期、布団からから出るのにもたくさんのパワーが必要だった頃、貪るようにアプリで漫画を読んでいた。
いろんなアプリを試した中で、特に気に入ったのがマガポケという講談社のアプリ。1つの無料チケットでちゃんと1話分読みきれるところとか、話買いでも購入したのと同じ扱いになるところとか、漫画の種類が豊富なところを重宝していた。

そんなお気に入りのマガポケでたくさん読んだ作品の中の一つが、この度「全国書

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よしなが大奥から学ぶ暗記できない日本の歴史

よしなが大奥から学ぶ暗記できない日本の歴史

大学の同級生に「歴史の勉強がしたい」と言っていた子がいた。
私にとって歴史は暗記するもので、勉強するものだという認識が薄かったので、当時はその夢があまりピンと来なかった。だけど、その子が言っていた「歴史は調べれば調べるほど深くて、今わかっていることがすべてじゃい」という言葉とその表情は心に強く残っている。

私がその言葉の意味に少しだけ近づけたのはそれから10年ほど経って、よしながふみの「大奥」を

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母の本棚、私の本棚

母の本棚、私の本棚

小学生の頃、母の本棚におさまるマンガを読むのが好きだった。
たくさんのマンガと、少しの小説。
本棚3つ分、パンパンに詰められたその場所は、家の中で1番好きな場所だった。 

母の本棚 母の本棚には優しい物語がたくさん揃っていた。

たとえば、

石塚夢見の「朝倉くんちょっと!」
石井まゆみの「ロッカーのハナコさん」
高野まさこの「シュガーベビー」と「ワルツ」
大谷博子の「ペンションやましなシリーズ

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これは、私の物語だ。-ヤマシタトモコ「違国日記」を読んで-

これは、私の物語だ。-ヤマシタトモコ「違国日記」を読んで-

-『これは私の物語だ』と思ってくださる人がいたら、その方のために書いているんだと思います。

違国日記を今出ている7巻まで読み終えたとき思ったのは、まさに『これは、私の物語だ。』だった。

槙生の考えていることも、朝の悪気のなさも、むつの「わかった」も、全部知っている気持ちだったので、読み進めるほどにうっとなる。知っているけれど言語化できていない気持ちを自分ではない誰かが代わりに表現してくれた気が

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