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感想文もしくは小論文めいたもの

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【映画】「女神の継承」レビュー

【映画】「女神の継承」レビュー

昨年観た映画の中で最も体力を削られた映画、女神の継承。
この度めでたく円盤化されたのでレビューを書く。
目を背けたいが離せない壮絶な描写の数々。徹底されたビジュアルも見せ方も、圧があって熱量も高い。すばらしい鑑賞体験だった。

上記は公式サイトのトップページから引用した文言だ。
まさにこれ。「比類なき」「怒涛の恐怖エンターテイメント」「狂乱の儀式」、すべてが作品の要素を表している。
この物語はタイ

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分け行っても分け行っても青い山

分け行っても分け行っても青い山

種田山頭火の有名な無季自由律俳句を表題として使わせていただいた。

国語教師が懸命に授業を進めている中、私はノートを取る時間以外、ほとんど教科書か便覧を読んでいた。
特に便覧を読むのは楽しかった。特選集、いいとこ取りだからだ。
その中に俳句のページがあった。
まったく明るくないが、種田山頭火、石川啄木、尾崎放哉。自由律俳句として紹介されていたこの3名の作品は衝撃だった。
五七五じゃない。自由律俳句

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【映画】ダイナソーJr./フリークシーン

【映画】ダイナソーJr./フリークシーン

今年観た映画の中でも印象深かったドキュメンタリー。
オルタナティブ・ロックという言葉が生まれる前に生まれたバンドの軌跡を観ることができる。それだけでも心躍る。

バンド内の関係性や取り巻く音楽シーンも含め、理解を深められたと共にダイナソーJr.がシーンの中でどういう位置にいたのか?どんな影響をもたらしたのか?を各人の小粋なトークと若干の緊張感でもって知ることができる良作。
誕生、黎明、瓦解からの変

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批評と批判は意図して分ける

批評と批判は意図して分ける

表題の通り。
現在において、この場では発信者である私が意図して置いていく言葉に、受け手である読者のみなさんとの感覚に乖離が生まれたとき、その齟齬や誤解を埋めるのは到底無理だと考えた。
なので、きっと大したことではないと思いつつも、そのことについてどう考えているのかを文字に起こした。

①前置き

「こう思う」や「そう思ったから嫌だった」といった感想や意思表示を、そのまま「批判」や「攻撃」と捉えてい

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現代文における長文読解の仕方

現代文における長文読解の仕方

長文読解に困っている学生生徒児童諸君に向ける記事。
意味わからん!どうすればいいの?と思っている誰かに届けば、さらに役に立てばこれ幸いである。

端的にいうと、週刊少年ジャンプを読むとだいたいのことがわかる。私の国語力の基礎はおおよそここで身に付いた。
ひとつの作品を追うのではなく、掲載されている作品の全てに目を通す。物語の軸と漢字はここで覚えられる。
以下、その他を加えて詳らかにできることを述べ

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LOSTAGEへ敬愛を込めて【後編】

LOSTAGEへ敬愛を込めて【後編】

遠くに住む、一ファンである私の約10年分の記憶を綴る。あくまでも私から観た景色なので齟齬があるかもしれない。
中編、前編はこちら。

①『In Dreams』ワンマンライブでの変化

2017年発売の7枚目フルアルバムである『In Dreams』のツアーファイナル、渋谷O-EAST。
自身最大キャパのワンマンライブで、LOSTAGEだけを観にきたファンと共に彼らを観た。
私が観た10年前の彼らとは

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LOSTAGEへ敬愛を込めて【中編】

LOSTAGEへ敬愛を込めて【中編】

遠くに住む、一ファンである私の約10年分の記憶を綴る。あくまでも私から観た景色なので齟齬があるかもしれない。
前編はこちら。

①lostageからのLOSTAGE、セルフタイトルのリリース

後にlostageからギターが抜けて、スリーピースの形をとって、LOSTAGEという大文字表記に変わったことの大きな意味をようやく知る。

というところで、前編を終えた。
LOSTAGEは2010年に4枚目

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LOSTAGEへ敬愛を込めて【前編】

LOSTAGEへ敬愛を込めて【前編】

遠くに住む、LOSTAGEの一ファンである私の約10年分の記憶を綴る。あくまでも私から観た景色なので齟齬があるかもしれない。
noteをはじめたからには、LOSTAGEのことを書きたかった。

私はメンバーの方々とは面識も何もなく、なんなら緊張して未だにお話もできていない。

①LOSTAGEが好きだ

LOSTAGE(ロストエイジ)とは、奈良県を拠点とするロックバンドである。
私は数あるロックバ

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Syrup16gが新譜を出す。ライブをする。

Syrup16gが新譜を出す。ライブをする。

表題の事実を受けてまず思ったこと。
「五十嵐隆が生きていてよかった。」

昨日、ちょうど「生還」を観ていた。
『昨日より今日が 素晴らしい日なんて わかってる そんな事 当り前の事さ』
「Reborn」から始まるライブ、まさに生還だ。
あのライブ映像を観たら泣けると思って、ベストとしか言いようのないセットリストにもれなく涙した。

Syrup16gがどういうバンドか。
他にはないコード感を大事にし

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ものを「観る」ことについて

ものを「観る」ことについて

「感想こそが立派な鑑賞」。

「暗夜行路」を代表作とする作家である志賀直哉氏が美術鑑賞について語った言葉だ。いまでも心の中に残っている。

作品を触れたことによって得た感想から批評をしたくなったり、作品から推測した意図を、備忘録として残したかったという意味を含めてこの文章を書いている。
美術にだけ関係する言葉ではない、すべての創作物に通ずるものだろう。

志賀氏の分からないなら分からないままでいい

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夕暮れ、エモーショナルの意味

夕暮れ、エモーショナルの意味

言葉の意味は時間が経つと変わっていくものであることを、成人してから知った。
国語辞典でも新明解は積極的に語句の意味をアップデートしていると聞く。その中にも本来の意味とはかけ離れた意味で使われている言葉が複数ある。

意味が変わって衝撃を受けた語句を挙げると「エモ」がそうだ。
いわゆる若者言葉と言われる「エモい」は例えば夕暮れに立ち会ったときのなんとなくいい感じがそうだというのを聞き及んだ。
それは

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