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過去の傷

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今見返すと、痛々しいな、と思うものも。それでも全てが宝物なのです。
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#言葉

人生ハードゲームだっつってんだろ

人生ハードゲームだっつってんだろ

人生、ハードゲームだ。

HPは2くらいの瀕死状態で全回復しないまま、フラフラと生延びてきた。

そんな状態でも、涙を強要される。

私は、何処からか聞こえてくる涙の音にすぐ気が付いた。

自分の聞いている音楽をとめて、

耳を澄ませた。

そして、自分が声を押し殺して生きてきたように、泣くならバレないように泣けよと思った。

私は、悲しいと言って、辛いと言って泣く人の気持ちが理解できなかった。

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今にも泣きそうな風に、今にも泣きそうな顔を撫でられた話

今にも泣きそうな風に、今にも泣きそうな顔を撫でられた話

6月10日、不安定な天気だった。

いつものように、外に出た瞬間雨に打たれ自分の雨女具合に嫌気がさした。

それでも、傘を持たずに、走らずに、只雨の感触を味わった。

電車に乗ると、雨は止んでいた。

そんな情緒不安定な天気が続いた。

日中というのは「雨も悪くない」と思えるものだ。しかし夜は一変して、「悲しい雨」にしか変換できなくなる。

夜の22時ごろ雨もあがり、最寄り駅から自宅を目指し歩いて

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この風が、あの景色を。

この風が、あの景色を。

今と全く違う土地に行ったとしても

私は、この風の生温さを、

頬を撫でられる気持ち悪さを、

いつかの帰り道を、

小さな記憶を、

思い出すのだろう。

きっと、人間はそんなふうにできているのだろう。

思い出したくないことほど、頭蓋骨の芯まで染み込んでいる。

そして、何気ない外の物質が、情景も感情も、

見事に引き出す。

「新しい自分」だとか、

「生まれ変わった自分」だとかは、

きっ

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スウェットを着る時期に

スウェットを着る時期に

ユニクロのスウェットや、プーマのジャージが意味もなく流行り出したあの頃の記憶は最悪なもだけど、流行っていたものたちは今でも懐かしく思う。

あの頃と同じスウェットを着て、肌寒くなった夜にほんの少し感情がざわつく。

中学3年生だったか、家から閉め出されたことがあった。

ユニクロのグレーのスウェット上下に身を包んでいた。確か2月頃だった。外は雪が降っていて、普段から夜に外に出ることはなかったから、

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