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てのひらの物語

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物語を綴るように、体験を通したエッセイ。
運営しているクリエイター

#海辺の暮らし

霧の朝に

霧の朝に

霧雨にしっとりと濡れながら

白く煙る景色の中に佇んでいると

夢の中に迷いこんでしまったような

ぼんやりとした心持ちになってくる

港の方では何度も霧笛が鳴っている

その音に誘われるかのように

靄に包まれ歩いてゆくと

このままどこか知らない世界へ

吸い込まれてしまうような気がする

こんな霧の朝に

自分と同じ姿をしたもう一人の自分

ドッペルゲンガーに

会ってしまうのかもしれない

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氷の芸術

氷の芸術

朝、海沿いを歩いていると、凍っていた海が溶け出しており、海風に吹き付けられた無数の氷が岸辺に打ち上げられている風景を目にした。
薄いガラスの層が幾重にも積み重ねられているようで、一枚ずつ手に取り眺めたくなるような光景だった。

透明な氷のプレートが朝陽にきらきら輝いて美しい。
まるで自然が作り上げた現代アートのようだ。

とりあえずスマホで撮影して、翌日は一眼レフ持参で同じ場所に駆けつけたものの、

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わたしの海

わたしの海

私は山に囲まれた片田舎で生まれ育ち、そこは海のない町だった。
子供の頃に海水浴へ行った事も片手で数えられる程で、だからずっと私にとって海は身近ではなかった。
上京してからは、鎌倉や江ノ島など湘南へは年に1回くらいは訪れていたと思う。行ったあと暫くは海の近くに住むのもいいなと夢想したが、日々の忙しない暮らしの中でそのうち忘れてしまい、結局、都心の便利な沿線にある駅からもそう遠くない住居に住み、そこそ

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