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僧侶は世間知らず?

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僧侶の間で「世間知らず」「社会に出て,苦労した方がいいよ」ということがしばしば言われています。「常識」「苦労」「世間」という言葉について,改めて考えてみたいと思います。お急ぎの方…
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僧侶は世間知らず?(6)まとめ

僧侶は世間知らず?(6)まとめ

(1)~(5)のまとめこれまで5回にわたって「僧侶は世間知らず?」というテーマで,日頃僧侶の間でよく用いられる「常識」「苦労」「世間」について私の考えていることを申し上げて参りました。今回の(6)ではそのまとめならびに,第1回から書いている中で気がついたことを付け足して「僧侶は世間知らず?」をいったん閉じさせていただきたいと思います。

「常識」「苦労」「世間」の定義
・僧侶に求められる常識
①金

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僧侶は世間知らず?(1) 「常識」「苦労」「世間」を定義する

僧侶の常識,人間としての常識京都で学んでいたころ,「お坊さんは世間知らず」「社会に出て,苦労した方がいいよ」という話を同期や先輩から聞かせてもらいました。「世間」「常識」「苦労」といった日ごろ何気なく使っている言葉について,改めて考えてみたいと思います。
僧侶に求められている常識とは,①金銭感覚,②人とかかわるときの態度 だと私は考えています。

「常識」を定義する①金銭感覚お布施=寺族の給料では

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僧侶は世間知らず?(3)苦労すると何が得られるか

僧侶は世間知らず?(3)苦労すると何が得られるか

前回の続き前回の記事では,どうすれば僧侶に求められる常識①金銭感覚,②人とかかわるときの態度 を身につけられるかについて書かせていただきました。

①金銭感覚を身につける
・門信徒の方と同じか,それより安いものを購入し,使うように心がける
・お金は使わない方がよいというのは間違い。地域経済が衰退する。地元商店を利用する
・お布施はお寺,仏法が続いてほしいという願いで包まれたものだということを忘れな

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僧侶は世間知らず?(4)お寺や僧侶も世間の一部

僧侶は世間知らず?(4)お寺や僧侶も世間の一部

前回の続き前回の記事では,苦労をして何が得られるか,どうしたら苦労したといえるのか,ということについてお話させていただきました。

・だれもがすでに大なり小なり苦労している。人に認めてもらわなくてよい
・苦労は必要ない。しなければならないのは努力
・苦労しても何も得られない。マイナスの方が大きい。だからこそ苦労した人は「意味があった」と自分に言い聞かせる

繰り返し申し上げておきますが,苦労を自ら

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