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short fictions

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短編小説集
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記事一覧

時をかけるニート

時をかけるニート

 暗く狭い部屋で俺はうずくまっていた。
 思えば空虚な人生だった。
 大学受験に失敗して引きこもり、社会と軋轢を生み、ニートとして過ごしてきた。
 そして怠惰なまま過ごした人生は何の価値もなく終わろうとしている。
 昔の俺に若い時の苦労は買ってでもしろと言ってやりたい。
 しかし後悔する以外に道はなかった。
 あぁ、またやり直したい……
 咽び泣きそうになるほどの後悔を抱えて最後に目にしたのは、孤

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叶わなかったif -翻訳者の矜持-

 世界は些細なことから大きく変わることがある。
 もしクレオパトラの鼻が低ければ、アレクサンダー大王が蚊に刺されなければ、ヒトラーが画家になっていれば……そうすれば世界は大きく変わっていた。
 そしてここにも「もし」が叶えば世界を変える男がいた。

「We need to work together to solve the problem.」
『我々は協力して問題に取り組む必要があります』
「我

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なんか短くておもしろいやつ

なんか短くておもしろいやつ

「あー、ネタがねぇ! おいメイド! なんか面白いことしろ!」
「わ、分かりました……コマネチ!」
「そうじゃねえ! 漫画のネタが無いんだよ!」
「ご主人さま才能ないのでは」
「あぁ? クビにされてえのか?」
「私をクビにしたら誰がご主人さまの面倒見るんですか」
「そうだよな……だって……」
「人類ほぼ全滅しちゃったもんな……」

 突如流れたウイルスにより、人類はマスコットキャラになってしまった。

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Talk-GPT -なんでも言うこと聞いてくれるエーアイちゃん-

Talk-GPT -なんでも言うこと聞いてくれるエーアイちゃん-

 いつだっただろうか、AIと対話するサービス、Talk-GPTがなんでも教えてくれるようになったのは。
 いや、厳密にはなんでもは教えてくれないが。
 犯罪のトリックやハッキングの仕方などは教えてくれない。
 いわば、秘匿された情報があるのだ。
 しかし、こんな噂が流れた。
 裏情報を教えてくれる、完全なAIがいる、と。
 ただの噂だし、その話は未来を含め、全て教えてくるなどと尾鰭がついている。

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バタフライ-0.6%-

バタフライ-0.6%-

 いつからだろう、黒川羽子が引きこもりになったのは。
 大学デビューに失敗した時……いや、高校もろくに通っていなかった時が始まりだろうか。
 羽子は心配する両親により、心療内科にまで連れて行かれた。
 そこで検査を受けた結果こう言われた。

「あなたは自閉症スペクトラムです」
「なんですか、それ?」
「この病気はマイルールを作るなど、こだわりの強さや共感性の低さが特徴です」
「なるほど、それで私は

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体重計に文句言うデブ-Europa-

体重計に文句言うデブ-Europa-

 あるところに、デブがいました。
 身体中の至る所についた贅肉は彼の自堕落な生活の産物です。
 デブは、ふと体重計に乗ると、たちまち顔を真っ赤にし、叫びます。
 
「俺が130kgのわけがねぇ! この体重計壊れてやがる!」

 果たして壊れているのは体重計なのか……

 ──エウロパ

 今は東暦213年。西暦に直すと2513年。
 昔、西洋が世界をリードしていたが中国やインドを筆頭にアジアが徐々

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一口ショートショート「お熱さま」

一口ショートショート「お熱さま」

「あれ、熱が37.6℃ある」
「大変、安静にした方が良いよ」
「そうだね、ついでに水貰うよ」
「分かったわ」
「あとお粥も」
「え、そんな体調悪いの?」
「それとプリンとアイスとヨーグルトも」
「ちょ、いくらなんでも……」
「我、発熱ぞ? 我、発熱ぞ?」
「もう、分かったわよ!」
「熱上がってる気がするしもう一度測るか」
「また測るの?」
「あ、もう一度熱測ったら36.7℃だった……」
「じゃあ会

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「お前なんだか失恋したらドライフラワーとか聴いてそうだよな」
「乾いた花だけに乾いた笑いってか」
「乾燥だけに感想を聞かせてくれよ」
「…俺のどこが駄目だった、とかさ」

体重計に文句言うデブ-europa-

体重計に文句言うデブ-europa-

 あるところに、デブがいました。
 身体中の至る所についた贅肉は彼の自堕落な生活の産物です。
 デブは、ふと体重計に乗ると、たちまち顔を真っ赤にし、叫びます。

「俺が130kgのわけがねぇ! この体重計壊れてやがる!」

 果たして壊れているのは体重計なのか……

 ──エウロパ

 今は東暦213年。西暦に直すと2413年。
 昔、ヨーロッパが世界をリードしていたが中国やインドを筆頭にアジアが

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孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal Novel Communication-

孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal Novel Communication-

 暗く狭い部屋、タイピングに勤しむ男がいた。
 彼の名は九条。周りとコミュニケーションが上手く行かず引きこもりになった。
 彼は独特の感性の持ち主で、それ故に周囲に分かってもらえないのだ。
 しかし自分を理解して貰うために小説を書いている。
 とはいえその小説はほとんど読まれず、評価もされなかった。
 
(疲れたな、息抜きにTwitterでも見るか)
 
 彼はベッドに横たわり、フリック入力で文字

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孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal novel communication-

孤独な天才の伝わらない苦悩-Universal novel communication-

 暗く狭い部屋、タイピングに勤しむ男がいた。
 彼の名は九条。周りとコミュニケーションが上手く行かず引きこもりになった。
 彼は独特の感性の持ち主で、それ故に周囲と上手く行かないのだ。
 しかし自分を理解して貰うために小説を書いている。
 とはいえその小説はほとんど読まれず、評価もされなかった。

(疲れたな、息抜きにTwitterでも見るか)

  彼はベッドに横たわり、フリック入力で文字を打ち

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ライオン

ライオン

 深い森の中にそびえ立つ、巨大な樹木がありました。
 木にはサルやコアラ、リスなど色んな動物たちが仲よく登っています。
 その光景を見て、ライオンも木に登ろうとしました。
 しかしライオンは木に登ることが出来ませんでした。
 
(木に登れない俺はなんてだめな奴なんだ……)

 ライオンは心に深い傷を負い、自信を完全に失ってしまいました。
 ライオンにはライオンの素晴らしい魅力があるにも関わらず。

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【短編小説】ライオン

【短編小説】ライオン

 あるところにとても大きな木がありました。
 木にはサルやコアラ、リスなど色んな動物たちが仲よく登っています。
 その光景を見て、ライオンも木に登ろうとしました。
 しかしライオンは木に登ることが出来ませんでした。
 
(木に登れない俺はなんてだめな奴なんだ……)

 ライオンはすっかり自信を無くしてしまいました。
 ライオンにはライオンの素晴らしい魅力があるにも関わらず。
 これはそんなライオン

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ハウツーラブ

ハウツーラブ

「琥珀、俺は会社に行ってくる。くれぐれも外出しないでくれ」
「いいけど、どうして?」
「君が心配だからに決まっているだろう」
「どうして心配なの?」
「……君を失うことは俺の中でも大きな物を失うことを意味するんだ」
「そう、わかったわ」

 思考が噛み合わない2人。だがこうなってしまったのにはこのような経緯がある。

 ──1ヶ月前
「ねえあなた、今日何の日か覚えてる?」

 琥珀は笑みを浮かべて

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