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~自由気儘な16行~

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目指せ100日。16行で自由気儘な日々を表現しています。
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~自由気儘な16行~18日目「プライド」と「羞恥心」

~自由気儘な16行~18日目「プライド」と「羞恥心」

プライドが邪魔をすることってよくある
大半が取るに足らないものなんだ
そんなこともわかっているはずなのに
先に見える妄想染みた羞恥心がちらつく

電車で席を譲った学生を見かけた
頬は赤くなり、言葉もたどたどしかった
きっとありったけの勇気を出したんだろう
ただ、おばあちゃんは座らなかった

立たずむ2人の間にぽっかり空いた席
学生の顔はまだ赤い
おそらく心の中はモヤモヤの真っただ中
一度譲ったプラ

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~自由気儘な16行~17日目「現場から」は「以上です」

~自由気儘な16行~17日目「現場から」は「以上です」

僕はカフェでよく仕事をする
急だが、今の戦況をお伝えしたい
今日のトヤカンは不運だなと思って
いいねがもらえると幸いだ

パソコンに向かい、右にいらっしゃるのは
キーボードをたたく音がパチパチうるさい
『パチ子さん』という女性でごぜーやす
当然、僕がつけたあだ名だ

続きまして左にいらっしゃるのは
くしゃみの時に手を当てず
こっち向いて「びゃっくしょい!」しやがった
『くしゃ夫さん』という男性でご

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~自由気儘な16行~15日目「若い」「まだ若い」「若くない」の急降下

~自由気儘な16行~15日目「若い」「まだ若い」「若くない」の急降下

29歳は「若い」と思っていたが違ったようだ
「まだ若い」なんていらない認定をもらった僕は
往生際の悪い人間で有名である
「あふれる若さ」なんて夢にしがみついていた

しかし、そんな抵抗は一瞬に無意味へと変わる
きっかけを作った犯人は“腰痛”だ
一度も痛めたことがなかった部分なのに
バレーボールの最中、激痛に襲われたのだ

便所でお尻を拭こうにも体をよじれやしない
寝返りをうつにも「ぎゃー」とうめき

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~自由気儘な16行~7日目「夏」にほだされる「情」

~自由気儘な16行~7日目「夏」にほだされる「情」

看護師1年目のとき
残された時間をどう過ごすかという
自分の死生観を見つめる時期を迎えた
患者さんを受け持つことがあった

患者さんたちは口を揃えて言う
「まだ自分が死ぬなんて思えない」と
ご家族も同じだ、涙を流しながらだった
「この人が死ぬなんて考えられない」と

僕も同じだった
「本当に亡くなるの?誤診じゃないの?」と
ただただ辛かった、患者や家族に感情移入は厳禁
1度でも移入すれば看護師失格

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~自由気儘な16行~5日目「帰り」の「匂い」

~自由気儘な16行~5日目「帰り」の「匂い」

かなりの匂いフェチの僕は
帰り道に色々な匂いが行き交う中へ
足を踏み入れるようにしている
その日の疲れを癒すようにゆっくりと

夕焼けで少し焦げた匂いがする木々の前を通り
夕ご飯が一発でわかる住宅地を過ぎる
柔軟剤の匂いが混ざり合ったコインランドリーを抜けると
豚テキ屋の匂いがそれらをすべて奪い去る

毎日、毎日、ほとんど同じ匂いがするこの道は
仕事でアドレナリンが出まくっている僕に
「まあ、あん

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