見出し画像

~自由気儘な16行~7日目「夏」にほだされる「情」

看護師1年目のとき
残された時間をどう過ごすかという
自分の死生観を見つめる時期を迎えた
患者さんを受け持つことがあった

患者さんたちは口を揃えて言う
「まだ自分が死ぬなんて思えない」と
ご家族も同じだ、涙を流しながらだった
「この人が死ぬなんて考えられない」と

僕も同じだった
「本当に亡くなるの?誤診じゃないの?」と
ただただ辛かった、患者や家族に感情移入は厳禁
1度でも移入すれば看護師失格と教えられたから

夏は嫌いだ、思い出してしまう
夜勤終了目前で亡くなったあの瞬間を
涙も流せず酒の力を借りたあの日を
夏は嫌いだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?