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私は最強 吉川トリコ描くギャル語の『マリー・アントワネットの日記』

古典と世界史の授業が好きだった。
いい先生に巡り合えたからというのも大きい。
 
伊勢物語「あずさ弓」の現代語訳という宿題を
びゃーっと書いて提出したところ、
年配の色っぽい先生が笑ってくれた。
卒業するまでずぅーっと言われた。
「『桃尻語訳 伊勢物語』のmomoさんね。うふふ」
今思うと橋本治というより田辺聖子気取り、というか、読んでいたから書いた書けたのだろうと思う。
でも、たくさんの真面目な回答の中、いきなり出てきたあんな訳を読まされたらそりゃびびるやろうな。
 
「江戸が好き」「時代劇が好き」「和が好き」
でも、わたしは世界史専攻だった。
日本史の先生がぜんっぜん話のおもしろくないおじいちゃんで
世界史の先生がちょいワルのイケオジで話がめちゃ面白かったからというだけの理由だ。
この人とは結構かなり親密になった。
勿論、ソウル的な意味で。
だから成績も優秀だった。
「お前、誰々に点数負けてたで」
なーんて、ニヤニヤ言われるのが嫌だったので、わりに調べたり読んだりしたからもある。
いや、そもそも勉強とかじゃなく、興味深く、知ることは苦じゃなかった。
その後某いまいち品がよくない(?)大学に入って
演劇やら文章やらをやり出すきっかけのきっかけはこの人、
進路指導かつ生活指導部長でサッカー部顧問の自由人だったこの人の影響もあることはさておき、
先生は姉の影響だったかでストーリー系の少女漫画や落語や芝居が好きだった。
授業時間以外の時間に教えてくれた漫画のひとつがある。
ベルばらだった。
わたしのベルばら史は宝塚からじゃない。ちょいワルイケおじからだ。そこからかい。
だから、わたしはあの頃(& その後)、藤本ひとみなんかにも手を伸ばし、ハマった。
知ってる? 『ブルボンの封印』。
鉄仮面伝説とルイ14世の双子説からの歴史ロマン。元々『三銃士』は好きだったしね。
藤本ひとみは「ミーハー英雄伝」シリーズというのも書いていた。
「ギャル語」で書いた世界史エッセイだ。3冊ほど出していた。
歴史上の人物に自分の感想や体験談や性癖(?)も入れながらキャーキャーと、でも、真面目に紹介をしていた。今手に入るなら読み返したい。ちょっと影響を受けた気もするし。
 
と、なぜこんな話をしだしたかというと、マリー・アントワネットだ。
 
ギャル語で書かれたマリー・アントワネットの日記小説を読んだ。
 
ギャル語?
 
うん。

最近ちょっとハマっていた、ハマっている、吉川トリコさんの『マリー・アントワネットの日記』(Rose & Blue)である。
 
読み始めは正直「ちょっときっついなー」と思ってもいた。
若いテンションがずっと続く感じと、勢いやノリとアツさが。
え、しかも2巻あるん。ずっとこのテンションで行くんかいな。
書ききって書き上げたんすごい体力やなあ。でもぼちぼち読もかなあ……。
 
でもね、途中から止まらなくなり、一気に読んだ。
 
吹き出したり、声に出して笑いながら。
でも、最後はずっと泣いていた。ほんま泣いていた泣いてしまった。涙がとまらなかった。
 
マリー・アントワネットの名や
マリー・アントワネットがどんな生涯をおくりどのようなさいごを迎えたかは
知らなくない人の方が多いのではないかと思う、そこまで詳しくはなくともね。
『ベルサイユのばら』だって読んだことがある人も少なくはないだろう。
(あ、でも若い人はそんなに読んできたりしていないか)
 
そのマリー・アントワネットと日記だ。
近年流行りの日記本というやつ。
 
マリー・アントワネットがスマホからぽちぽち打ってる……訳はないねんけど、「あなたにしか話せない」「心の友」として日記帳に「マリア」と名付け、「あなたにだけはほんとのことを話すね」って、
「自分の言葉」で書いていく。
オーストリアからフランスへ嫁いで、
もとい「政略結婚」をさせられて、からの、日々。
その日々からの、つまり、「さいご」までの毎日を。
たまに、いや、めっちゃ更新サボったりするけれど、サボっても、また戻ってきたり、一行だけの殴り書きの日があったり、でも、そうして、そうやって、吐露しながら、悩んだり毒づいたり、吐き出せない気持ちを吐き出しながら綴る。(という設定)
 
「お道化」「あたしはあたし」「あたしらしく」を貫き通しながら。
 
「くっそたりぃ」「オワタ」「ちょww なにマジ顔してんのww」「おまww やめww」
「出た、し、き、た、り!!」な文化や儀式ばかりの中で。
 
素直すぎてサービス精神豊富で空回ったり裏目に出たり、
気が付けばとんでもないことになっていたり、嫌う人、でも、理解してくれる人びともいたり。

「OMG」なことばっかの「ルイ16世のドルオタ」的な日々。

でも、ある人に本気で「!」となりもする日々。
 
からの、日々は流れる。
世界は国民は、フランス王妃を「そう見る」し「そう見ようとしてそうなる」し、だから(?)「そうなってゆく」。
 
「マ?」

「くっそウケるwww」
 
「未来のみんなーっ。見てるーっ? そうですあたしが王妃マリー・アントワネットでーす♪」
 
あの時代も、今も、「変わらないもの・こと」がある。
「変わらなくてはおかしい」のに、なことや、「変わらないからそうなる、そうなってゆく」なもの・ことが。
 
その時代を「あたしらしく」生きて、生きて、生きた、ひとりの女性の「日記」。
皆が知る「ベルばら」にも悲劇の人として登場するあの人が、等身大(って言う言葉嫌いやけど)の、わたしたちの「先輩」の「生の声」(なんて誰も聞いたことないけれど)。
 
とびきりキュートで、いけいけで、切なくて、かわいくて、くるしくて、懸命で、あほで、
そんな「王妃じゃなくてひとりの女性」、いや、でも「あたしは王妃」の日記(という本)が、
一緒に笑って一緒に泣いて、読んで、
ああ、めっちゃ、 素敵やってん、ということを、書いておきたいな、と思いました。
 
国際女性デーである今日に、ね。




タイトルはあの曲から。
あの歌手もあの曲も
わたしはあまり好きじゃなかったというか、
耳にして「しんどいなあ」と思うことは、が、少なくなかった。
のど自慢とかでもめっちゃ歌われるし。
でもつまりはそういうことだ。そういうことなんだ。いいな。いいよね。


昨年の国際女性デー(の次の日)の記事はこちらでした。


文中の世界史の先生はこちらにも登場したりします。


予告していた食べ物と人ネタがずれてしまった。
明日以降になるかもしれません。
2本立てになるかもしれませんならないかもしれません。


◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。
lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

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担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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