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Mimosa

あるひとのことを思いだしていました。
旅芝居のお客さんです。
会ったことはありません。
 
自分で言うのもたいへんにおこがましいのですが、
俗にいう「レポ文化」(え?文化?)や
旅芝居の舞台の感想やまとまった文を
ネット上のブログで発信し始めたのはわたし。
いや、わたしだけじゃない。
けれどわたしと言っていいと珍しく堂々と言う。
何年も前に参加させていただいた某学会というか研究会でもそんな話題になり、紹介をされて、「そんなのなんの自慢にも取りえにも誇りにもならないどころか……」と本気で苦笑いをしました。
今でも苦笑い&それ以上の気持ちで真顔にはなります。
でもそれも含めてわたしは最初だったと思います。
 
旅芝居を観始めた頃、Twitterもスマホもなかったあの頃、
PC上や携帯上には特定の劇団や役者の「公式サイト」「公認サイト」「ファンのページ」というのはありました。
ファンたちが劇場に貼り出されたお外題(芝居のタイトル)やラストショーの告知情報を持ち寄り、送り出し写真を撮り、観劇レポとやらを投稿していました。
なんだかおもちゃみたいなネット上の謎の小部屋たちは管理人と名乗る人たちが運営しており、
皆、ファンやそれ以上の関係をやめたら突然閉鎖してしまったり、
なんだか舞台上と同じく無数の星のようでした。

そこからmixiのコミュ(だっけ?)だったり、
いまだに旅芝居とは親和性の高いアメブロが登場し、移行してゆき、Twitterだのインスタだのなんだのの、今に至ります。

私的には、今この時代においては、悪いとは言えないけれど、いいだけではないよなあ、いいとは言いづらいなあ、とは真剣に思ってもいます。は、さておき。
 
当時、文章やコラム的な感じで書かれたものはほぼなく、
専門誌内にも業界の大先輩・橋本正樹先生のルポくらいしかありませんでした。
写真より文や「切り口」での役者や芝居を読みたい。
そう思っていた学生あがりの物書きは書く勉強を兼ねてそれらのサイトではなく、立ち上げたばかりの自分のブログに書き始めました。

いろんな縁に恵まれました。

楽しい縁、仕事、ありがたいお言葉、
客席からではなく舞台上からのうれしいお言葉もありました。
今もつながっている嬉しい縁もたくさんあります。
「わたし(俺)の方があなたよりもっ」とか
「この文を書いているやつはどんなやつか会ってみてやろう」とかもあらわれたりもしました。
いろんなひとに出会いました。

彼女と知り合ったきっかけは覚えていません。
どこから知って下さったのかも、聞いたけれど、詳しくは忘れてしまいました。
自分でページやブログなどはされていない方でした。
コメントやメッセージをくださるようになり、
旅芝居以外の話題とかでもやりとりをするうちに
話題から随分年上のひとだとわかるようになりました。なのに、とても話が合いました。
 
関東で、
いろんな劇団や役者を観ておられ、
自身では「材木屋」(木(気)が多い。笑)なんて言っておられたけれど、
好きな役者は「このひとっ」という人がおり、ブレなかった。
そんな自分を冷静に見つつも、旅芝居という「距離感の沼」で、もがいてもおられた。
いろんなお客さんとかかわったりしたけれど、
なんか、なんだか、察するに「恋多き人」のもがき方だなあ、と感じました。
狭い劇界にあって、彼女の「推し」(当時はこの言葉もありませんでしたが)は、最もややこしくかつ閉鎖的で面倒な劇団に居て、彼女は劇団の大御所やべったりなファンから睨まれているらしかった。
 
とにかく「何者?」という印象でした。
 
旅芝居のことだけじゃなく、本や、映画、他のいろんな話が楽しかった。

若造なりに深いところやプライベートには触れないでおくのが粋、と思って、あまり聞かないようにはしていました。
けれどいったい、どこからなぜ、
「シンガポールシリングはラッフルズホテルだけど、チェリーブロッサムは横浜のホテル。マティーニは、007のお気に入りね」なんてコメントが、って。
あ、これは、カクテルの本の話の際です。
 
ずっと文を好いて下さり、いろんな叱咤激励も下さいました。
若く、もとい、バカい、
今以上にいろんな生き恥をさらす愚かすぎる……
ということも、わかったようでわかっていない己(いまだに。特にさいきんいろいろとなんだか猛省)に、
「わたしも人のことは言えないけどね(笑)」といろんなことを話してくれました。
 
若い頃、誰もが知る某歌手と付き合っていた、というか、
ここには書けないし書かない人生の話もしてくれました。
旅芝居で最初に「これは芸術じゃなく、生きていくことの舞台」の壁にぶつかったときに、ふと思い出した歌のことを話題にしたら「実はね」って。
嘘やろっ?! と思ったけど、嘘じゃなかった。
制作会社時代のわたしがもがいてギャーギャーやっていたら教えてくれた洋楽は、その歌手がリスペクトする人の曲だと後に知りました。今もたまに聴きます。
 
いつの間にか消えてしまいました。

「やめたら、ぜんぶやめるから。桃さんともお別れ」
 
いろんなこと、中でも「あー、●●君(推しの役者)に会いたい」と言っていたときの声は忘れられません。
 
わたしの中の、男が嫌い、いや、男の性(ナカミ)が嫌い、は、旅芝居を観るうち揉まれるうちにおおきくなったことです。
と、共に、わたしの中のミソジニー、いや、女の性(ナカミ)が嫌い、もまた、旅芝居の客席で揉まれているうちにおおきくなったことです。
と、近年、思います。
でもその両の肯定、肯定できないけれど肯定、いえ、出来ないなりの肯定、のようなものや、自分や他人や皆のことも思ったり、考えたり、したり、しています。
このあたりは、ちょっと、これだけ書くと、いろんな誤解を生みそうだけれど、なんかこういうことも書いておきたい気持ちです。
今大事で魅了されてやまない劇場とステージたち(旅芝居ではない)に、で、いろんなことを考える、考えられる、ようになった(気がする)最近です。
 
昨日、花を買いました。
 
インスタに投稿しながら、
たぶん、「え」とか「なんのアピール」とか「なぜおまえが(らしくない、とか、わかってないだろうくせに、とか?)」なんて(例えば勝手に)思われたりとかもするのかなあ、そう思う人もいるかなあ、かもなあ、とも考えたりもしました。でも。

 
でも、なんだかね、自分で自分に、と、いろんな皆へ、
ああ、また、まだ、言葉たらずですが、真剣に、きっかけだけでも、そうしたいなあとなりました。買いました。のせました。
 
デスク前に飾っています。
 
彼女の名前、本名はもちろん知りません。

でもずっと名乗られていて、わたしもそう呼んでいた名前は、この花の名前でした。



以下は、ちょろっとですがいつもの自己紹介 。
と、苦手なりにもSNSあれこれ紹介、連載などなどの紹介!!も。
よろしければお付き合い下さい🍑✨
ご縁がつながったりしたらとても嬉しい。

大阪の物書き、中村桃子と申します。 
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
普段はラジオ番組の構成や資料やCM書きや、各種文章やキャッチコピーやら雑文業やらやってます。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中です。
舞台、演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。酒場好き。いや、劇場が好き。人間に興味が尽きません。

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簡単な経歴やこれまでの仕事など書いております。パソコンからみていただくと右上に連絡用のメールフォーム✉も設置しました。


現在、関東の出版社・旅と思索社様のウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。

と、あたらしい連載「Home」。
皆の大事な場所についての話。

2023、復活。先日、新作が出ました🆕

以下は、過去のものから、お気に入りを2つ。

旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
あ、小道具の文とかも(笑)やってました。

担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中
(貴重映像ばかりです。私は今回のアップにはかかわってないけど)


あなたとご縁がありますように。今後ともどうぞよろしくお願いします。

皆、無理せず、どうぞどうぞ、元気でね。



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