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ゲームブック 送り雛は瑠璃色の(1990年版)【紙の音も 重ね重ねも 今はなく 読書紹介 聴く人もなし】

ゲームブック。
かつてファミコンRPGが世界制覇する前に、
徒花のように咲いた小説(?)の形式。
そう。その本には、4番に飛べ、とか14番に飛べ、とかパラグラフが書いてあり、ページをすっ飛ばしてその先を読んでいく。
もちろん選択肢によって、その方向性が分かれていく。
果たしてあなたはグッドエンドにたどり着けるのか?
(まだドラクエとか出る前の話ですよ)

まあページをすっ飛ばしているうちに重要なページが視えちゃったりするのが難点ですが。

私はだいぶ買っていました。
自分で買えない分は図書館から借りだしていましたね。

そんなゲームブックも、読むのが面倒くさい、
どう考えてもコンピュータRPGの方がやりやすい。
という上位互換によって市場から姿を消しました。絶滅です。

しかし絶滅後もしばらくの間は、生きた化石が稀に出版されることがありました。
本作「送り雛は瑠璃色の」はそうした生きた化石枠でして、
おそらくゲームブックにおいては最高度にエモい作品となっております。

これまでのゲームブックが、クリアするまでに楽しめればいいだろ、的にまさにゲームとして作られていたのに対して、
これはちゃんと小説としての効果を考えて作られていますね。

例えで言うと、ドラクエ1とガイア幻想記くらいの落差があります。
どっちも知らないって?  ソウデスカ・・・

内容は純和風ホラー形式、
第一章、短い方の話と、
第二章、本編に分かれます。
第三章、短い夢占い的な短編が入っています。

第一の短い話は、記憶を無くした主人公が謎の村をさまよう話です。
どこに行けばいいのか、そういう指示はありません。
とにかく、自分がだれで何をしなければいけないのか。
自分で見つけなくてはいけません。
失敗した場合はバッドエンドに・・・・
成功した場合は、物語の全貌について説明されます。

まあこれはこれで印象深くて、
ゲームとしても簡単です。
戦闘シーンはアドヴェンチャーゲームブックスおなじみのスタイルですね。
分かりにくかったら勝ったことにして飛ばしても大丈夫!

第二が本編である「送り雛は瑠璃色の」になります。
(第三は省略します)
こちらはゲームとして難しくて、私には解けなかったので、パラグラフを全部読んでルートを見つけました。
まあ解けないよりいいよね。

そして、感動というか、小説としてのエモさはこっちの方が大きいです。

高校生の主人公、親友(男女ひとりづつ)、
そしてクラスメートの謎の少女。
そして発生する怪異。

正しいパラグラフを見つけ出せれば、平安の頃より続くバックストーリーの全貌を知ることができます。ちょっと和歌の知識がないと難しいかもしれない。

絶版してるはずだから、書いてもいいかな?

怪異の謎を追いかけていくと、最初は日常の謎、学校の七不思議的なものばかりなんですが。
どうも主人公は霊視的なことができるんですね。
そんで異世界にも行ってしまう。そこには毎度おなじみモンスターが出てきます。
パラメータバトルはなく、どの式神というか術を使うかどうかです。

そして追いかけていくと、どうも気になっていた謎のクラスメートの実態が見えてきました。
ホムンクルスというものがあります。
本当の人間ではなく作り物。
まがい物の人間。
当然ながら死後の世界もありません。生きている人間とは違う。
作中ではこの辺り、きちんとは説明されません。雰囲気と回りくどい間接的な解説によってのみ。それとなく読者が把握するしかありません。

彼女を救うには、正しい和歌を選び、彼女の魂を生きた人間に結び付けなければいけない。
そういう呪い、いや祈りが必要なのです。

そして平安時代から続く、とある龍との因縁。街を救えるかどうかの戦い。
親友たちいずれも主人公前世との強い因縁があるセーラー・・・じゃなくてソウルメイト。
学園パートは70年代の雰囲気なので、今時の人は違和感を感じるかもしれませんが。

しかし、難しすぎてちゃんと解けたことはなんとありません。

いやいや、ゲームとして普通にリメイクしようよ!
これ、今でも行けるって!(難解すぎるけど)
レトルトさーーーん!

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