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ぐみ
2018年11月6日 00:34
夏の大展覧会 小学生の頃母に手をひかれ静かな冷たい暗がりで ダウンライトに照らされた油絵うねりを帯びたあの気圧 私の心に入り込んだ母さん、覚えていますか 一人で過ごす私にどこか連れて行ってやろうと選んだのがあの美術館 何も言わず理解してほしそうな銅像が外に立つ外では蝉が鳴きわめいて 命をもっとと叫ぶ声がする炎のように生きたという 耳のない男の恨めしそうな肖像画漠然とただ過ごして
2018年11月5日 02:08
ずっと好きだったあの娘に彼氏ができた照れながら、らしくないでしょと笑いながら、僕だけに打ち明けてくれた高校の同級生だったあいつとお互い地元で就職したから、しょっちゅう一緒に飲んでいたのとつかの間の帰省と、久々の故郷に、まだ僕自身感覚が戻っていなくて昨日朝まで飲んだ高校時代の奴らの中にあいつはいたっけな二日酔いのぼやけた頭に、君のしゃべる事実だけが氷のようにしみてゆく浦島太郎はきっと
2018年2月12日 23:44
恋の歌が作れなくて 愛の言葉も紡げなくなってだから誰かを励ますような歌を 何もかも知ったように歌ってそうやって 救いようのない自分をごまかしていたの多分、私の中の迷いを 声にすることが恐ろしくなってこのすさんだ社会を批判して 自分ごとのようなそうじゃないようなだからこんな 動揺している私を見せたくなかった一つ一つ慎重に 元に戻らない言葉を吐くアイスティーの溶けきった 氷を探すよう