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「書く人」で
ずっといようと決めた夜
新月の日に 願いを込めて
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転がる石の上機嫌 #6
◎ モヒート ◎
もうすぐ真夏というわりには暑いけどカラリとしていて、町中のバルでテイクアウトしたモヒートを飲みながら幌の付いた古い車の後部席に座り、流れる景色をぼんやりと眺めていた。
濃くて青い空。
広がる無数の雲。
地平線の向こうには赤い岩肌の山々があり、辺りは平原だけが続いていた。
時折、背の高い見慣れない熱帯植物や野生の動物を遠くに確認したけれど、あっという間に後ろに過ぎ去って行く。
転がる石の上機嫌 #5
◎ 泉 ◎
その森に
足を踏み入れた瞬間
自分の名前も 年齢も
住んでいた場所も
何もかもすっかり
記憶から消え失せた
心から欲していたのは
静寂と 木陰と
渇きを満たしてくれる
澄んだ泉の水だけで
森の奥へ
さらにまた奥へと
ゆっくりと 歩を進める
柔らかな土と
硬い石が入り混じる道を
ひたすらに歩き
木漏れ日がやさしく降り注ぐ
その場所に
ようやく それを見つけた
光を