![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142834481/rectangle_large_type_2_6b59cdc67de828bc8f68fc975e0eff83.png?width=1200)
詩『つぼみを産む』#創作大賞2024
つぼみ、
しずかに肥えろ、蕾、
あらゆる経験を養分として、打ち上げ花火のように、咲き誇れ、
はな、
色とりどりの、季節の花よ、
太陽の旋律に誘われて、葉が揺れている。朝露を弾いて、輝くみどり。つぼみが美しくひらかれるその時まで、祈るように眠っているいのち。少しずつゆめを蓄えて、膨らんでゆく植物のこどもたち。乳白色の雨やひかりを浴びて、横顔が逞しくなる。だんだんとあたたかくなってゆく晩春に、きみは蕾を宿した。ちいさな、ちいさな、たくらみ。しずかな、しずかな、ささやき。ゆたかな、ゆたかな、ほほえみ。優しく娘の頭を撫でるように、喋らない植物を擦る。柔らかい産毛がちくちく、と肌を刺す。甘酸っぱい痛みをやんわり記憶する。乳房のようなふくらみを結んで、たおやかに太陽の走りを追いかける。すう、光の粒を吸う。すう、舌の上で転がす。朝も、昼も、夜も、揺れて、揺れている、呼吸。手を振って、指先のウェーブ。ゆっくりと瞳を瞬きするように、芳しい開花したはなびらが反射している。
+
さあ、開いて、
ひらいて御覧よ、大輪の花を、
生命の炎を激しく滾らせなさい、
夏に背伸びせよ、向日葵、
太陽を凝縮した花よ、
太陽を追いかけて
太陽と共に廻る
太陽と共に踊る
太陽と共に時を刻む
沿って
沿って
沿って
歩んで
歩んで
歩んで
ちょっとずつ草臥れて
ちょっとずつ枯れ果て
ちょっとずつ草臥れて
やがて朽ちて
朽ちて
朽ちてゆく
(大地に還れ!)
太陽はいつか沈む
そしてまた新しい太陽が昇る
+
きょうはなにいろのはながさく、なにいろのはながかれる、なにいろのつぼみがうまれる、だれもしらないだれもしらないだれもしらない、いのちはうわがきされる、きおくもうわがきされる、きろくはやぶられるためにある、いのちのちぶさをすって、いのちがつぎのいのちをはぐくみつづける、くりかえし、くりかえし、うまれてしんで、しんでうまれて、はなのいのちはみじかい、いのちはめぐる、きおくはめぐる、じかんもめぐる、きょうもあしたもあさっても、はながさいてはかれてゆく、ろうそくのほのおもいつかきえる、いのちもいつかはきえる、それでも、それでも、いきてゆくつぼみをみつめる、蕾
![](https://assets.st-note.com/img/1717399204052-YFBvu4K3iO.jpg?width=1200)
photo:見出し画像(みんなのフォトギャラリーより、Strolling Rickyさん)
photo2:Unsplash
design:未来の味蕾
word&poem:未来の味蕾
サポートを頂けたら、創作、表現活動などの活動資金にしたいです。いつか詩集も出せたらいいなと思います。ありがとうございます!頑張ります!