ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、…

ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、YouTube配信、各種音楽セミナー、指導者向けの講座も行っています。一昨年帰郷、宮城県川崎町在住。音楽ひろば“杜音”、音楽と暦を味わう新月のホームコンサート“Food for Joy”主宰。

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記事一覧

わが町の子どもたち

先日、いつものように車で帰宅すると 家の前の道で6~8歳くらいの少年が数人遊んでいました。 そのうちの一人が、車庫入れしている間じゅう なぜかわたしの顔にじ〜っと視…

うたの国 日本

明治維新後、外国から日本にやってきた西洋人は 日本の子どもが大人たちからとても大切にされ、 幸せそうであることに驚いたようです。 その一人、明治初頭に3度にわたっ…

言の葉は音楽の恋人

歌う 詠う 謡う 唱う 謳う ひとくちに“うたう”といっても 日本語にはこんなにたくさんの言葉があって それぞれ、ニュアンスが少しずつ違います。 一方、和歌は“詩”な…

褒めすぎ危険…?

“褒めて育てる”というフレーズを 頻繁に耳にするようになったのはいつ頃からでしょう。 それは圧倒的に“いいこと”と思われてきましたが 少しずつその認識が変わりつつ…

ベートーヴェンとブルース・リーの意外な共通点とは

「心を空にしろ。形(スタイル)を手放せ。水のように…」 “Don’t think,feel!”の名セリフで知られるブルース・リー。 彼には、ワシントン大学の哲学科に学び 高校で哲学…

熱狂よりも“静かな共感”を求めて

「カンパネラ」や神がかったピアノテクニックで知られる 作曲家フランツ・リストですが 人が自分に求めているのは表面的な華やかさだけで 内面的な人間性や芸術性ではない…

よろこび
かなしみ
いつくしみ

聖母の涙
ひとしずく
#杜音 #杜音の庭 #ゆりの花 #朝露

カフェとクロワッサンの故郷は?

“カフェもクロワッサンも、発祥はフランスじゃない” …という事実は、案外知られていないようです。 カフェの歴史はウィーンの方が古いし、 クロワッサンはそもそもハ…

幽玄!蛍と平家琵琶の夕べ

6月30日は夏越しの大祓。 半年間の穢れを落とし残り半年の息災を祈願する日です。 その前日、わが家の氏神さま坪沼八幡神社で開かれた 『蛍と平家琵琶の夕』に参加してま…

不完全であることの優しさ、豊かさ

歴史の中で声もなく埋もれた人たちの声が無数にある  その声が耳の底に鳴ってくる    歴史小説家の杉本苑子さんの言葉です。 歴史の中で埋もれそうになっている無数…

ベートーヴェンの“魂の糧”になったもの

良い悪い、といったジャッジや 先入観なしにものごとを受けとめることは 知識、知見をもつこと以上に大切なのではと思います。 例えば、初めてその曲を聴いた方は バイア…

名前には“使命”が隠れてる、というけれど…

8時だヨ!全員集合 オレたちひょうきん族 欽ドン        などなど 昭和のお笑い番組を全身に浴びて育った世代です。 お笑い芸人さんもお笑いも、大好きです✨ 大…

山椒の実の下ごしらえって、◯◯◯に似てる…

今日はストロベリームーンの満月🌕 満月になると「次の新月のコンサートまであと2週間!…と 気を引き締める暦感覚になって、一年半が過ぎました。 「毎月毎月、まったく…

庭はみんなのレストラン?

京鹿の子、ピンクの白蝶草… ところどころに紅色の可憐なお花が咲いてはいるものの たっぷりの雨と日光によって 日々、ワイルドになっていく杜音の庭は 毎日たくさんのお…

平家琵琶を追いかけて

ある“語り物”を演誦するためだけにある楽器が  日本にはあります。 しかも…800年も前から! この楽器について知るにつれて 日本人の美的感性、音楽観、宗教観や 日本…

雑草という名の草はない

今年の杜音の庭では、誰も植えてないのに 蛇イチゴがいちめんに繁茂しています。 何か条件が揃ったのでしょう。 シロツメクサとムラサキツメクサも かつてない多さ。 かと…

わが町の子どもたち

わが町の子どもたち

先日、いつものように車で帰宅すると
家の前の道で6~8歳くらいの少年が数人遊んでいました。

そのうちの一人が、車庫入れしている間じゅう
なぜかわたしの顔にじ〜っと視線ロックオン…👀

で、わたしが車から降りるやいなや

「あのー、◯◯くん(彼の友人らしい)ってひとが言ってたんですけど…ゆーちゅーばーなんですか?」

  、なんと!、、、そうきたか!、、

(てっきり「ピアノ弾くひとなんですか?

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うたの国 日本

うたの国 日本

明治維新後、外国から日本にやってきた西洋人は
日本の子どもが大人たちからとても大切にされ、
幸せそうであることに驚いたようです。

その一人、明治初頭に3度にわたって来日した米国人
エドワード・モースの著書『Japan Day by Day』によると

・世界中で日本ほど子供が親切にされ、子どものために深い注意が払われる国はない。
子どもたちは朝から晩までニコニコと幸福そうである。

・外国人の筆

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言の葉は音楽の恋人

言の葉は音楽の恋人

歌う
詠う
謡う
唱う
謳う

ひとくちに“うたう”といっても
日本語にはこんなにたくさんの言葉があって
それぞれ、ニュアンスが少しずつ違います。

一方、和歌は“詩”なのに“歌”というし
詩歌や俳句を節をつけて発声することは
“歌う”ではなく“吟じる”といったりします。

楽器を手に平家物語を語ることは“演誦”、
お坊さんの唱える声楽は“声明”、などなど
語りや祈りを表す言葉も、様々です。

 

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褒めすぎ危険…?

“褒めて育てる”というフレーズを
頻繁に耳にするようになったのはいつ頃からでしょう。

それは圧倒的に“いいこと”と思われてきましたが
少しずつその認識が変わりつつあるようです。

他人からの評価を気にし過ぎるようになったり
褒められるのが当たり前になって
褒められないとやる気がでなくなったり

他人に認めて(褒めて)もらうために頑張る、という
“他人軸”の生き方になったり

褒められない自分を無

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ベートーヴェンとブルース・リーの意外な共通点とは

ベートーヴェンとブルース・リーの意外な共通点とは

「心を空にしろ。形(スタイル)を手放せ。水のように…」

“Don’t think,feel!”の名セリフで知られるブルース・リー。

彼には、ワシントン大学の哲学科に学び
高校で哲学を教えていたという“哲学者”の一面も。

「僕は“形”を信じない。“形”は人々を分け隔てるだけでなく、個々の教養がその人にとっての絶対的真理となってしまう」

「武道とは、動きを通していかに自分を表現するかだと思う」

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熱狂よりも“静かな共感”を求めて

熱狂よりも“静かな共感”を求めて

「カンパネラ」や神がかったピアノテクニックで知られる
作曲家フランツ・リストですが

人が自分に求めているのは表面的な華やかさだけで
内面的な人間性や芸術性ではない…と
思い悩んだ青年時代がありました。

 「僕が欲しいのは、熱狂よりも“静かな共感”なのだ」

モテモテゆえの贅沢な悩みのようにも見えますが
リストにとっては真剣で深刻な気持ちでした。

そんな時代を経て、彼は晩年には僧侶となり
宗教

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カフェとクロワッサンの故郷は?

カフェとクロワッサンの故郷は?

“カフェもクロワッサンも、発祥はフランスじゃない”

…という事実は、案外知られていないようです。

カフェの歴史はウィーンの方が古いし、

クロワッサンはそもそもハプスブルク帝国が
オスマン帝国に勝利したことから広まったものです。

(以前、そんなことをご紹介するトークイベントをしたっけ)

それまでオスマン帝国の支配下にあったオーストリアが
勝利を祝ってオスマントルコのシンボルである
三日月と

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幽玄!蛍と平家琵琶の夕べ

幽玄!蛍と平家琵琶の夕べ

6月30日は夏越しの大祓。
半年間の穢れを落とし残り半年の息災を祈願する日です。

その前日、わが家の氏神さま坪沼八幡神社で開かれた
『蛍と平家琵琶の夕』に参加してまいりました。

  なぜか音響スタッフ?として…w

東日本大震災の年も地域の皆さんの力で行われてきた
大切な催しで、今年で34回目を迎えるとのこと。

申し込み開始後わずか50分で満席、という反響からも
皆さんの関心の高さが伺えます

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不完全であることの優しさ、豊かさ

不完全であることの優しさ、豊かさ

歴史の中で声もなく埋もれた人たちの声が無数にある 
その声が耳の底に鳴ってくる

   歴史小説家の杉本苑子さんの言葉です。

歴史の中で埋もれそうになっている無数の作品がある。
私はその声を求めてピアノに向かい続けている気がします。

、、

アメリカ留学時代、ユージン・プリドノフ先生にシューマンのピアノソナタ第1番をレッスンで聴いていただいた折、

先生が「この曲初めて聴いたよ! 僕はなぜ今ま

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ベートーヴェンの“魂の糧”になったもの

ベートーヴェンの“魂の糧”になったもの

良い悪い、といったジャッジや
先入観なしにものごとを受けとめることは
知識、知見をもつこと以上に大切なのではと思います。

例えば、初めてその曲を聴いた方は
バイアス抜きに直感や感性で受け取ってくださるからか
ドキッとするような感想を伝えてくださることがあります。

初めて聴く曲との出会いは
自身の感覚を呼びさますよい機会になる気がするのです。

   🥀     🥀     🥀

モーツァ

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名前には“使命”が隠れてる、というけれど…

名前には“使命”が隠れてる、というけれど…

8時だヨ!全員集合
オレたちひょうきん族
欽ドン        などなど

昭和のお笑い番組を全身に浴びて育った世代です。
お笑い芸人さんもお笑いも、大好きです✨

大人になって好きになったのは、古典落語でした。

ミニマムな道具で何役も演じきる鮮やかな技芸や
笑わせながらもほろりとさせる粋な話の展開は勿論

  噺家さんが高座にあがるときの出囃子
  噺家さんのお着物の着こなし
  枕のあとスル

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山椒の実の下ごしらえって、◯◯◯に似てる…

山椒の実の下ごしらえって、◯◯◯に似てる…

今日はストロベリームーンの満月🌕

満月になると「次の新月のコンサートまであと2週間!…と
気を引き締める暦感覚になって、一年半が過ぎました。

「毎月毎月、まったく違うプログラムでコンサート…って
練習や準備が大変でしょう?」

…よくそのように労っていただきますが
お稽古も、プログラム構成を練るのも大好きなので
まったく苦にはなりません。

それより皆さんにお会いするのが楽しみで楽しみで

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庭はみんなのレストラン?

庭はみんなのレストラン?

京鹿の子、ピンクの白蝶草…
ところどころに紅色の可憐なお花が咲いてはいるものの

たっぷりの雨と日光によって
日々、ワイルドになっていく杜音の庭は

毎日たくさんのお客さま🐝🐦‍⬛🐛で賑わっています。

きれいなさくらんぼ🍒は
やっばりヒヨドリのおやつになったもよう。

そして、やっと赤くなったイチゴたちは
半分以上、何者かにむしり取られています。
残りも、ほとんどがダンゴムシのデザートに

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平家琵琶を追いかけて

平家琵琶を追いかけて

ある“語り物”を演誦するためだけにある楽器が 
日本にはあります。

しかも…800年も前から!

この楽器について知るにつれて
日本人の美的感性、音楽観、宗教観や
日本における音楽と言葉の関わりについてなど

興味がとまらず、幸せな“沼”にはまりこんでいます。

、、

琵琶、という楽器については少し前まで

・盲目の“琵琶法師”の存在
・“薩摩琵琶”“筑前琵琶”など種類がいくつかある
・ペルシ

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雑草という名の草はない

雑草という名の草はない

今年の杜音の庭では、誰も植えてないのに
蛇イチゴがいちめんに繁茂しています。
何か条件が揃ったのでしょう。

シロツメクサとムラサキツメクサも
かつてない多さ。
かと思うと、昨年あんなに茂っていたカモミールは
ひとつもありません。

  気候も土の状態も、毎年変化しているのですね。

その環境に馴染む、馴染まないがあるのは
人間だけでなく、草花も同じ。

のびのび、どんどん増えるものもあれば
なか

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