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熱狂よりも“静かな共感”を求めて

「カンパネラ」や神がかったピアノテクニックで知られる
作曲家フランツ・リストですが

人が自分に求めているのは表面的な華やかさだけで
内面的な人間性や芸術性ではない…と
思い悩んだ青年時代がありました。

 「僕が欲しいのは、熱狂よりも“静かな共感”なのだ」

モテモテゆえの贅沢な悩みのようにも見えますが
リストにとっては真剣で深刻な気持ちでした。


そんな時代を経て、彼は晩年には僧侶となり
宗教的な作品ばかりを書くようになります。

今度の
おうちコンサート 〜ルイジの伝言〜 vol.5 “裏・アマデウス”サリエリに学んだ音楽家     でご紹介する

“小鳥に布教するアッシジの聖フランチェスコ”は
その頃に書かれた作品。

聖フランチェスコは裕福な商人の家に生まれながら
「神の声」を聞いて信仰にめざめ
富も家族も捨てて野に出、清貧のうちに生きた聖人です。

生きとし生けるものすべてを慈しんだ聖フランチェスコ。

森や洞窟に暮らすようになった彼は
動植物、太陽や水…自然そのものと心を通わせるようになります。

彼が野で説教を始めると
鳥たちが舞い降りてきて聞き入った、というエピソードに
心惹かれたリストは、その感動的な場面を音楽にしました。

曲は,彼の求めた“静かな共感”を忍ばせるかのように
柔らかな光のようなピアニッシモで包まれながら
フランチェスコの声や天からの祝福のファンファーレが降りそそぐ

神秘的な情景がみえるかのように書かれています。

あまりに繊細な弱音による表現なので
生演奏でなければ体験しにくい世界観かもしれません。

リストの愛したベーゼンドルファーで奏でられる
“聴く神話”のような作品からのメッセージを
皆さまとご一緒に受け取れたらと願っています。

まだお席ございます。

皆さまのご参加を、心からお待ちしております🙏

(*画像は音楽之友社のWebサイトからお借りしました)

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