ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、…

ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、YouTube配信、各種音楽セミナー、指導者向けの講座も行っています。一昨年帰郷、宮城県川崎町在住。音楽ひろば“杜音”、音楽と暦を味わう新月のホームコンサート“Food for Joy”主宰。

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よろこび かなしみ いつくしみ 聖母の涙 ひとしずく #杜音 #杜音の庭 #ゆりの花 #朝露

    • カフェとクロワッサンの故郷は?

      “カフェもクロワッサンも、発祥はフランスじゃない” …という事実は、案外知られていないようです。 カフェの歴史はウィーンの方が古いし、 クロワッサンはそもそもハプスブルク帝国が オスマン帝国に勝利したことから広まったものです。 (以前、そんなことをご紹介するトークイベントをしたっけ) それまでオスマン帝国の支配下にあったオーストリアが 勝利を祝ってオスマントルコのシンボルである 三日月と同じ形のパンを作り食べたのが クロワッサンの原型となる「キプフェルン」という

      • 幽玄!蛍と平家琵琶の夕べ

        6月30日は夏越しの大祓。 半年間の穢れを落とし残り半年の息災を祈願する日です。 その前日、わが家の氏神さま坪沼八幡神社で開かれた 『蛍と平家琵琶の夕』に参加してまいりました。   なぜか音響スタッフ?として…w 東日本大震災の年も地域の皆さんの力で行われてきた 大切な催しで、今年で34回目を迎えるとのこと。 申し込み開始後わずか50分で満席、という反響からも 皆さんの関心の高さが伺えます😊 坪沼は蛍のふるさと。 蛍といえば、源氏と平家…ということで 数年前から全

        • 不完全であることの優しさ、豊かさ

          歴史の中で声もなく埋もれた人たちの声が無数にある  その声が耳の底に鳴ってくる    歴史小説家の杉本苑子さんの言葉です。 歴史の中で埋もれそうになっている無数の作品がある。 私はその声を求めてピアノに向かい続けている気がします。 、、 アメリカ留学時代、ユージン・プリドノフ先生にシューマンのピアノソナタ第1番をレッスンで聴いていただいた折、 先生が「この曲初めて聴いたよ! 僕はなぜ今まで、こんな素晴らしい作品に興味がなかったんだ?これはもっとコンサートで取り上げら

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        • 味わい深いことば
          2本
        • “音楽”とは…
          2本
        • めでりすと宣言
          1本
        • 最高の音楽は…
          1本
        • 徒然日誌
          5本

        記事

          ベートーヴェンの“魂の糧”になったもの

          良い悪い、といったジャッジや 先入観なしにものごとを受けとめることは 知識、知見をもつこと以上に大切なのではと思います。 例えば、初めてその曲を聴いた方は バイアス抜きに直感や感性で受け取ってくださるからか ドキッとするような感想を伝えてくださることがあります。 初めて聴く曲との出会いは 自身の感覚を呼びさますよい機会になる気がするのです。    🥀     🥀     🥀 モーツァルトの『レクイエム』を初めて聴いた時の衝撃は 今でもはっきり覚えています。 知ってる

          ベートーヴェンの“魂の糧”になったもの

          名前には“使命”が隠れてる、というけれど…

          8時だヨ!全員集合 オレたちひょうきん族 欽ドン        などなど 昭和のお笑い番組を全身に浴びて育った世代です。 お笑い芸人さんもお笑いも、大好きです✨ 大人になって好きになったのは、古典落語でした。 ミニマムな道具で何役も演じきる鮮やかな技芸や 笑わせながらもほろりとさせる粋な話の展開は勿論   噺家さんが高座にあがるときの出囃子   噺家さんのお着物の着こなし   枕のあとスルリとさりげなく羽織りを脱ぐ仕草 何から何までかっこいい…💕💕 千葉にいた時は

          名前には“使命”が隠れてる、というけれど…

          山椒の実の下ごしらえって、◯◯◯に似てる…

          今日はストロベリームーンの満月🌕 満月になると「次の新月のコンサートまであと2週間!…と 気を引き締める暦感覚になって、一年半が過ぎました。 「毎月毎月、まったく違うプログラムでコンサート…って 練習や準備が大変でしょう?」 …よくそのように労っていただきますが お稽古も、プログラム構成を練るのも大好きなので まったく苦にはなりません。 それより皆さんにお会いするのが楽しみで楽しみで どうしたら喜んでもいただけるかしら どのお土産(お気に入りの曲)を持ち帰っていただ

          山椒の実の下ごしらえって、◯◯◯に似てる…

          庭はみんなのレストラン?

          京鹿の子、ピンクの白蝶草… ところどころに紅色の可憐なお花が咲いてはいるものの たっぷりの雨と日光によって 日々、ワイルドになっていく杜音の庭は 毎日たくさんのお客さま🐝🐦‍⬛🐛で賑わっています。 きれいなさくらんぼ🍒は やっばりヒヨドリのおやつになったもよう。 そして、やっと赤くなったイチゴたちは 半分以上、何者かにむしり取られています。 残りも、ほとんどがダンゴムシのデザートに。。 たまに3センチを越える大玉🍓を見つけて 喜んで手に取ると、だいたい彼らの痕跡や現

          庭はみんなのレストラン?

          平家琵琶を追いかけて

          ある“語り物”を演誦するためだけにある楽器が  日本にはあります。 しかも…800年も前から! この楽器について知るにつれて 日本人の美的感性、音楽観、宗教観や 日本における音楽と言葉の関わりについてなど 興味がとまらず、幸せな“沼”にはまりこんでいます。 、、 琵琶、という楽器については少し前まで ・盲目の“琵琶法師”の存在 ・“薩摩琵琶”“筑前琵琶”など種類がいくつかある ・ペルシア起源で西ではウード、リュート(ル・ウード)、東ではヴィーナ、ピーパ(→びわ)と

          平家琵琶を追いかけて

          雑草という名の草はない

          今年の杜音の庭では、誰も植えてないのに 蛇イチゴがいちめんに繁茂しています。 何か条件が揃ったのでしょう。 シロツメクサとムラサキツメクサも かつてない多さ。 かと思うと、昨年あんなに茂っていたカモミールは ひとつもありません。   気候も土の状態も、毎年変化しているのですね。 その環境に馴染む、馴染まないがあるのは 人間だけでなく、草花も同じ。 のびのび、どんどん増えるものもあれば なかなか馴染めなくて縮こまっちゃう子もいます。    増えすぎる、邪魔だから、と

          雑草という名の草はない

          心のふるさと、産土のような場に…

          寂しがりやのわたしが、故郷を離れて 24年も千葉県の八千代にいられたのは 八千代のひとも、自然が豊かな環境も 大好きだったからこそ。 数年前には、ここに骨をうずめよう、と決心して 完全防音のピアノレッスン室を大胆に解体。 廊下も玄関も、部屋もつぶして再度完全防音工事を施し 作ったatelier anima(アトリエ・アニマ)と名付けたサロンで 毎月のホームコンサートなどの活動を行いはじめた矢先に 世の中がコロナ禍になり、母が倒れ… 腹をくくって宮城県への帰郷を決めたので

          心のふるさと、産土のような場に…

          “さわり”…雑音を愛でる日本の感性

          琴、篳篥や笙のような日本の伝統楽器のルーツは 中国や東南アジアだといわれています。 …が、改良されかた、用いられかたは日本独特です。 たとえば、琵琶は旋律楽器かとおもいきや 雅楽では、旋律を奏でるのではなく 和音や単音でリズムを明確にする役割を担います。 また、能や狂言などで使われる能管は 笛の内側の吹き口の近くに 「のど」という小さな竹の管がはめこまれ あえてオクターブがズレるよう設計されています。 よって、一本一本で同じ穴を押さえても出る音が違うし “ヒシギ”とい

          “さわり”…雑音を愛でる日本の感性

          没後約200年。今なお女性を泣かせる、彼…

          前回のおうちコンサートで ルイジの、ある小さな作品を弾いたところ 思いがけず、複数のゲストが涙されました。 伺うと、聴いていたらふっと昔が思い出されて 胸に想いがこみあげてきた…とのことでした。 他界して200年近くにもなるというのに 今なお女性を泣かせてしまうなんて ほんとうにルイジは罪な男です(笑) なぜ彼の音楽は、時空をこえて そんなにも強烈な存在感を放ち続けているのか。。 …次回の おうちコンサート〜ルイジの伝言〜vol.3苦悩が糧に?ベートーヴェンメンタルの

          没後約200年。今なお女性を泣かせる、彼…

          ベートーヴェン式 “人生V字回復する方法”に迫る!

          次回のおうちコンサート〜ルイジの伝言〜vol.3苦悩が糧に?ベートーヴェンメンタルの秘密 の告知を、InstagramとFacebookにしました。 演奏曲のメインは 当初ベートーヴェンの“不滅の恋人”とされていた ジュリエッタに捧げられた かの有名なピアノソナタ『月光』です。 書き終えてまもなく、彼女との恋も終わり 同時に難聴がひどくなってきたルイジはついに ハイリゲンシュタットで遺書をしたためるのですが 天の声をきいて驚くべき悟りの境地に‼︎ おうちコンサートでは

          ベートーヴェン式 “人生V字回復する方法”に迫る!

          仙台青葉まつりに日本人の“祈り”をみた!

          人混みがあまり得意ではないので このところすっかり都会から足が遠のいているのですが どうしても伺いたい個展があったので 青葉まつりの行われている市内に出かけました。 刺し子作家の谷本孝子先生の素晴らしい作品を拝見して ぜいたくなひと時をゆるりと堪能させていただいたあと 久しぶりにアーケードを歩いて、定禅寺通りへ。 観てるかた、行列に参加するかた、雀踊りの皆さん、 街中はひと、ひと、ひと…で圧巻のにぎわわい。 街中に響きわたる太鼓と笛のおと 人々の歓声、かけ声、、 通

          仙台青葉まつりに日本人の“祈り”をみた!

          美しき日本の“志”

          「教科書の単語の大半を墨で塗り潰させられましてね。今まで学んできたことはいったい何だったのか、と」 以前、当時90歳の生徒さんがしてくださった 終戦直後のお話しが忘れられません。 例えば“志”という字は“夢”にとって代わりました。 「“志”は自分だけというより『周り』のための決意。 “夢”は聞こえは良いけど、『自分』のものですよね」 大学でのご専門は英文学でいらしたのですが、 小学校で日本語の授業が減り、代わりに英語が増えていることを憂いていらっしゃいました。 「日