ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、…

ピアニスト 鈴木美奈子

ミューズの神託を伝えるピアニスト/音楽の伝道師。演奏活動の他レッスン、コンクール審査、YouTube配信、各種音楽セミナー、指導者向けの講座も行っています。一昨年帰郷、宮城県川崎町在住。音楽ひろば“杜音”、音楽と暦を味わう新月のホームコンサート“Food for Joy”主宰。

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すぐれた作品とは?の明解なこたえ

早朝、窓をあけると、そとは   かすみか雲か ほのぼのと… と、口ずさみそうになるような深い霞に包まれ 幻想的な佇まいでした。 毎日、同じところを同じ場所から眺めても 景色も、空気のにおいや温度・湿度も異なります。 自然の神がかった美を体験する幸せを、感じます。 同時に、畏敬の念も。   🕊️ 🕊️ 🕊️ 先日、生徒さんのレッスンで解釈についてお伝えする際 “すぐれた作品とは、 いつまでも原形を崩さずに保つ表現のことではなくて 活潑に新しく興味あるコピーを生み出

    • ベートーヴェンから届いた驚きのリクエスト

      長い歴史の中で、いろんな文化を混ぜこぜに取り入れ 感性や文化を育ててきたわたしたちは 自国の音楽だけでなく、ロック、ジャズ、ポップス… いろんな音楽の愉しさを知っています。 クラシックにももっと親しみを抱いていただけるよう 30年以上前からトークコンサートを行ってきましたが 何か他に良い方法はないか…と、考えていたある晩、 またも夢にルイジ(ベートーヴェン)が出てきて こんなことをいわれました。 「君が日本語で僕の曲を弾くのを、聴きたいな」 「え?…なんですと…?」

      • オノマトペの国

        花散りてげっくり長くなる日かな 艸山(くさやま)のくりくり晴れし春の山   小林一茶 日が“げっくり”長くなる、とか 山が“くりくり”晴れる、とはどういう感じかを はっきりとは説明できなくても “なんとなく”そのニュアンスがわかるのが オノマトペの楽しいところです。 以前から一茶はオノマトペの天才、と思っていましたが   おんひらおんひら蝶も金毘羅参り哉 という句を知って、彼はオノマトペだけじゃなく ラップの先駆者だった?という気すらしてきました(笑) ♫おンひら

        • おのがじし で生きる

          .   水芭蕉の花が におっている   夢みてにおっている 水のほとり 、、と、2番の歌詩にはありますが『(夏の思い出』) はたして水芭蕉ってどんな香りなのでしょう? 「悪臭だ(←それは外来種らしい)」「無臭だ」など 諸説あってずっと気になっていたので 久しぶりに大好きなひみつの?場所を訪れました。 そこでは、花嫁さんの綿帽子のようなミルク色の苞が ある場所はぽつりぼつりと、ある場所にはグループを成して 水辺にほほえんでいました✨🤍✨ それらはまだ生まれたての様子で

        すぐれた作品とは?の明解なこたえ

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        • 味わい深いことば
          2本
        • “音楽”とは…
          2本
        • めでりすと宣言
          1本
        • 最高の音楽は…
          1本
        • 徒然日誌
          5本

        記事

          山桜花考

          敷島の大和心を人問はば 朝日に匂ふ山桜花(やまざくらばな) …本居宣長が何首も歌に詠んだほど心惹かれていた花は ソメイヨシノではなく、山桜🌸 ソメイヨシノは江戸時代末期に品種改良して流通した 新種の桜なので 本居先生の時代にはなかった樹木ということに。 ソメイヨシノが一斉に咲く姿は圧巻ですが 拙宅の庭の片隅にあるまだ若い山桜は 白っぽいお花と赤い葉っぱが一緒に挨拶してくれて それはそれで愛らしいのです😊 どちらにしても、満開の花々からは 命の力強さと儚さの両方が伝わっ

          ルイジの伝言〜ベートーヴェンチクルス第一回目を終えて〜

          最高のお客さまにめぐまれて 杜音おうちコンサート “ルイジの伝言 vol.1” の ベートーヴェンチクルス第一回を 無事終えることができました。 おひとりおひとりをご紹介したいくらいステキな皆さんと ルイジの音、呼吸、間、、 彼の音楽の世界を共有できたことに 感謝の言葉がありません。 美しく咲いた桜の枝を持ってきてくださったり、 「こんなに楽しいコンサートなら毎月通います!」と お励ましくださるお客さまも…。。 皆さんに支えられて生きてるのだな、 皆さんに音を育てても

          ルイジの伝言〜ベートーヴェンチクルス第一回目を終えて〜

          ベートーヴェン小咄 2

          お散歩が、瞑想&創作のインスピレーションを受け取る 大切な習慣だったベートーヴェン。 彼が散歩した道はウィーン郊外に今も残っています😊 耳が聞こえなくなった彼は 枯れ葉を踏み締める感触を感じながら 揺らぐ木々の梢をながめて 風、葉音、鳥の囀り… さまざまな“音”を旅したのでしょうか。 実は、民謡が彼に与えた影響も少なくなく 有名な交響曲や弦楽四重奏曲には ドイツのみならず、アイルランドやクロアチア ロシアにスコットランド…と さまざまな国の民謡が引かれていて 『蛍の光

          ベートーヴェン小咄 2

          ベートーヴェン小咄 1

          「つまらないものですが…」ということばをそえて 相手になにかを手渡す習慣には いかにも日本らしい“謙遜さ”が感じられますが ベートーヴェンのピアノ曲『エリーゼのために』の もうひとつのタイトルは、まさに “とるにたらないもの、つまらないもの”という意味の バガテル Bagatelle だと、ご存知でしたか?😊 実は彼はこの他にもバガテルを案外たくさん作曲していて それが気合い入りまくりの交響曲やソナタとは対照的な とてもくつろいだ、ある種女性的な性格すら持ってい

          ベートーヴェン小咄 1

          縄文時代とアート探訪 2

          今回の青森への旅は、本日…3月31日で閉館になる 棟方志功記念館を訪れることも、目的のひとつでした。   青森出身の棟方志功さん。 生涯ゴッホに焦がれ、ベートーヴェンの音楽を愛し、 子どものように無垢な心とほとばしり出る創作意欲から 燃えるような、生きているような数々の作品を 生み出しつづけたこの方には 深い深い尊敬と憧れを抱いております💞 奈良美智さんの作品で知られる青森県立美術館にも たくさんの棟方志功作品が収められていて じっくりと鑑賞できたし 棟方志功記念館

          縄文時代とアート探訪 2

          縄文時代とアート探訪 1

            ずっと行きたいと思っていた青森へ! 憧れていた三内丸山遺跡を訪れました。 雪の残る村落跡に点在する竪穴式住居や掘立柱建物を 外から見たり中に入ってみたり、、 静かに、穏やかに流れる空気を呼吸しながら わたしたちのご先祖の足跡を踏み締めていると 自分が生きているこの時間は ほんの一瞬のまたたきのような気がしてきます。 すばらしい散策でした☺️ ミュージアムの展示も充実しているし 併設レストランのメニューも 栗やどんぐりを練り込んだ、もちもちの“縄文うどん”や 栗

          縄文時代とアート探訪 1

          今年のベートーヴェンチクルスのテーマは“ルイジの伝言”

          、、しとしと、、しとしと、、 雨のような雪が降り続いている川崎町の春分の日❄️🌸 新年度来月から始まるおうちコンサートのレジュメを ここ数日ずうっと練っています。   今年の年間テーマは “ルイジの伝言”。 ルイジ、とはルードヴィッヒの愛称です。 ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンの、です。 彼の作品を弾いていると、そこに 今のわたしたちにこそ伝えたいであろう彼の願いが 込められているように感じられてならないのです。 たとえば、、   自分のどまんなかを生きて

          今年のベートーヴェンチクルスのテーマは“ルイジの伝言”

          名硯とクラシック音楽

          製硯師として硯の製作をされている青栁貴史さんが 良い硯(名硯)と良くない硯の違いについて 語っていらっしゃるのを、ラジオで聞きました。 青柳さんの語るその違いとは、意外なものでした。 「大きな違いは、愛されてきた年月です。 名硯は何百年にもわたって伝承されてきたもの。 作り手が硯を作った時間よりもはるかに長い間、 人々に大事にされてきたものの佇まいがあるのです」   良い硯とは、長い時間をかけて   大切にされてきたものの佇まいのあるもの クラシック音楽と同じように感

          名硯とクラシック音楽

          帰郷後、3度目の3.11でした

          川崎町の友人からいただいたヒヤシンスの球根が ホームコンサートに合わせてくれたかのように 下からひとつ、またひとつと咲き始めました。 ブルーから紫色へのグラデーションがなんとも美しく 高貴な香りにも、うっとり、、 その香りにつつまれながらピアノを弾くという贅沢を しみじみとありがたく 味わっています。    🪻    🪻    🪻 昨日は、宮城県に帰郷して3回目の3月11日でした。 ベーゼンドルファーをメンテナンスしていただいたり 音楽ワークでご縁をいただいた友人と

          帰郷後、3度目の3.11でした

          “さとり” は、“差取り”

          一日中小雪が舞っていた昨日とはうってかわって 春の柔らかな陽ざしにつつまれた週明けです☺️ 昨日、無事に今年初めての 杜音 おうちコンサート 【とぶものととんでもないもの】〜いきものの息吹を聴く〜を、 終えることができました。 お忙しいなか、また、遠いところを お出かけくださいました皆さま…   本当にありがとうございました🙏✨ この日は川崎町のすてきな茶房“福ノ葉堂”さんで求めた 宮崎県産のウーロン茶に合わせて 小豆と豆乳のマフィンを焼いて  ティータイムにお出しし

          “さとり” は、“差取り”

          不滅の恋人、そしてミノナの謎

            わたしの天使   わたしのすべて   わたし自身よ … そのあと200年以上も歴史を揺らすことになった ベートーヴェンの書いた恋文の書き出しです。 送り手“不滅の恋人”とは誰かという論争は絶えず そのストーリーは映画にまでなったほどでした。      💐     💐     💐 ちょうど一年前の今日のこと。 夜10時ちかくに、仙台の妹から 父がいよいよ臨終を迎えそうなので すぐ病院に来るようにとの連絡が入りました。 覚悟はしていたはずでしたが 眼鏡がいくら探して

          不滅の恋人、そしてミノナの謎

          ほんとうの愛…㤅とは。

          川崎町は 一晩できれいな雪景色になりました❄️ こんな朝 サッと外に出て撮影したら さぞ美しい写真が撮れるでしょうに 恥ずかしながら わたくし 近所の方の雪かきの音で目が覚める 寝坊助です😅 “恥”といえば、、この漢字、、 なぜ、“心の耳”が“恥”なんでしょう。 心と耳。音楽に大切なふたつがくっついて 恥…とは、これいかに。。 調べてみたら、俗字ではありますが 恥は「耻」とも書かれていたとか。 耳が止まる…自分や人の声に対して耳を閉ざす…のは “恥かしい”というな

          ほんとうの愛…㤅とは。