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ファンタジー小説を書いています。最後はホッと気持ちが温かくなる、そんな世界を書いていき…

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ファンタジー小説を書いています。最後はホッと気持ちが温かくなる、そんな世界を書いていきたい。多摩美日本画卒。好きな作家、森見登美彦 西加奈子 東山彰良 上橋菜穂子の方々。表現する楽しさは無限です!書いている時は無音が一番。心が物語に吸い込まれるその瞬間がどうしようもなく好きです!

記事一覧

【短編小説】ネコとキーコの青い空(最終回)

読み進めてくださってありがとうございます! 最終回、どうぞ最後までお読みください! ずっとそばにいてあげるから  その夜、ふたりはまた同じ家のコンテナで一晩過ご…

miclala
1か月前
90

【短編小説】ネコとキーコの青い空(3/4)

キンモクセイの香りの下で  次の日も雨だった。白い水しぶきがガレージの屋根から滝のように落ちていく。コンクリートをたたく雨音が、ネコの心をいっそう憂鬱にさせてい…

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1か月前
65

【短編小説】ネコとキーコの青い空(2/4)

キミの色は特別だ!  次の朝、水を飲みに出かけるネコの足取りは重く、気分も晴れなかった。 キーコは今日も窓辺にいるのだろうか。たかが人形のはずなのに、もしかして…

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1か月前
60

【短編小説】ネコとキーコの青い空(1/4)

クロネコと不思議な人形の、悲しくて温かいファンタジーです。4つに分けて投稿しました。 まずは初めのお話です。どうぞ読んでみてください。 ネコとキーコの青い空 窓…

miclala
1か月前
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【短編小説】春風のコンビニ

「いらっしゃいませ!」  さわやかな朝の店内に、美沙子の明るい声が響く。    ここは町外れのコンビニ。 美沙子は9ヶ月の大きなお腹を抱え、化粧品の棚に新製品を並べ…

miclala
2か月前
87

【短編小説】春祭り

「ほら!」  詩織の髪にとまった桜の花びらをつまんで、里奈は口元からフウッと吹き飛ばした。道路の端に積もった花びらが、風に誘われてサラサラと流れていく。 「春よ…

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3か月前
56

【短編小説】春の夜 君に会いに

はじまり  それはまったく突然始まった。K市の郊外、山あいの静かな町に、まだ肌寒いある春の夜、星空を渡り高らかに響きわたったのだ。  バス通りから少し入った、閑…

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4か月前
51

【短編小説】湘南ねこ

「いい天気だ」  男は開店の準備を整えると、古い肘掛椅子を店の入り口のわきに置いた。ネコはいつものように椅子に飛び乗ってゴロリと横になる。お決まりのポーズだ。目…

miclala
4か月前
56
【短編小説】ネコとキーコの青い空(最終回)

【短編小説】ネコとキーコの青い空(最終回)

読み進めてくださってありがとうございます!
最終回、どうぞ最後までお読みください!

ずっとそばにいてあげるから

 その夜、ふたりはまた同じ家のコンテナで一晩過ごすことにした。夜明け前、ネコはぐっすり眠っているキーコを残して、そっと出かけていった。
空気が湿っている。雨になるのかもしれない。ネコはこの辺りの猫たちが集まる公園へ急いだ。もう家に戻るだけなので、今さら集会に顔を出すこともないのだが、

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【短編小説】ネコとキーコの青い空(3/4)

【短編小説】ネコとキーコの青い空(3/4)

キンモクセイの香りの下で

 次の日も雨だった。白い水しぶきがガレージの屋根から滝のように落ちていく。コンクリートをたたく雨音が、ネコの心をいっそう憂鬱にさせていた。

(キーコは今頃どうなっているのだろう。まったく哀れなものだ。まあ、なんにしても別におれには関係ない。どうでもいいことだからな)

 ネコは横になり、大きな体を固く丸めると、小さく息を吐いて目をつむった。

 それから雨は数日続き、

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【短編小説】ネコとキーコの青い空(2/4)

【短編小説】ネコとキーコの青い空(2/4)

キミの色は特別だ!

 次の朝、水を飲みに出かけるネコの足取りは重く、気分も晴れなかった。
キーコは今日も窓辺にいるのだろうか。たかが人形のはずなのに、もしかして、まだ昨日のような悲しい顔をしているのではないかと思うと、ネコは出窓を見上げる気がしなかった。
ところがキーコは相変わらずの明るい声で、ネコに話しかけてきたのだ。

「おはよう!」

「ああ、おはよう」

 ホッとして気を抜いた。ネコは「

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【短編小説】ネコとキーコの青い空(1/4)

【短編小説】ネコとキーコの青い空(1/4)


クロネコと不思議な人形の、悲しくて温かいファンタジーです。4つに分けて投稿しました。
まずは初めのお話です。どうぞ読んでみてください。

ネコとキーコの青い空

窓辺の出会い

 その日ネコは山根さんの家の屋根で、のんびり夕方の風にふかれていた。ここから眺める空は見事なものだ。ネコの頭上にはまだ青空が残ってはいたが、ポッコリ浮かぶ雲の端は、向こうにいくにしたがって少しずつオレンジ色に染められて、

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【短編小説】春風のコンビニ

【短編小説】春風のコンビニ

「いらっしゃいませ!」
 さわやかな朝の店内に、美沙子の明るい声が響く。
 
 ここは町外れのコンビニ。
美沙子は9ヶ月の大きなお腹を抱え、化粧品の棚に新製品を並べていた。

「あ!」
 
 腰をかがめた瞬間、美沙子は小さく声をあげた。そしてゆったり微笑むと

「大丈夫! ママ無理しないよ」
 
 そう言って、はちきれそうなお腹の中で元気に動き回る赤ちゃんを、そっと両手で撫でてやった。

(いい天

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【短編小説】春祭り

【短編小説】春祭り

「ほら!」

 詩織の髪にとまった桜の花びらをつまんで、里奈は口元からフウッと吹き飛ばした。道路の端に積もった花びらが、風に誘われてサラサラと流れていく。

「春よねえ!」

 里奈はため息まじりに青空を見上げ、詩織の背中をトンとたたいた。

「なんかあったの? 練習ぜんぜん気合い入ってなかったし。試合近いからさあ、先輩睨んでたよ。今度の2年はたるんでるって」

「別に、なにもないよ。なんか眠くっ

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【短編小説】春の夜 君に会いに

【短編小説】春の夜 君に会いに

はじまり

 それはまったく突然始まった。K市の郊外、山あいの静かな町に、まだ肌寒いある春の夜、星空を渡り高らかに響きわたったのだ。
 バス通りから少し入った、閑静な住宅街に家を構える竹中元治は、妻の加奈子と二階のベランダでその音を聞いていた。
「始まったな」
 夜空を見上げ、元治はゆったりとタバコをくゆらせる。黒々と横たわる山の稜線から空を貫いて渡るそれは、澄んだ美しい旋律で、元治の心に染み入っ

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【短編小説】湘南ねこ

【短編小説】湘南ねこ

「いい天気だ」
 男は開店の準備を整えると、古い肘掛椅子を店の入り口のわきに置いた。ネコはいつものように椅子に飛び乗ってゴロリと横になる。お決まりのポーズだ。目を細め、男はネコの首筋をなぜてやった。
 男の店は2階建ての木造で、水色に塗られた外壁は、塩と風にさらされて、ペンキがところどころはげていた。白抜きで「中華そば」と書かれた赤い暖簾が、ハタハタとたなびいている。  
 風が心地よい。ひとしき

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