マガジンのカバー画像

【詩】

277
心に浮かんだまま書き殴られたものたち。
運営しているクリエイター

2023年3月の記事一覧

【詩】果て無き未来へ

【詩】果て無き未来へ

夢を見た
教え子達に感謝の言葉を貰った
私は来てはいけないと言われた
何故か自転車でそこへ来ていて
何度も何度も転びながら帰った

終点に着いた
足場ドロドロの安定した場所の最果て
乗り継ぎの列車
行先が何処なのかも分からぬまま発車
混沌の未来へと
ドス黒くキラめく目的地へと走り出す

次の最果てへ
珈琲にミルクをたっぷり入れて
まだ眠らないように
行く末をギラギラの目で見据えて

期待通りの未来

もっとみる
【詩】桜歌

【詩】桜歌

二月の置き土産が肌を刺す
太陽は薄雲の先で輝いては
厚雲に隠れ遮光を繰り返す

先を急いで咲いた桜は雨に撃たれ
道端に花びらを落とし次の緑へと

久々に参拝した
神様へお願い事

「見守ってください」

今日も鉄塔の頂は無人
そこに腰掛け葉を紡ぐ

咲き急いだ桜はきっと後悔していない
遅咲きの桜もまた後悔はしないだろう

命の終わりは一度だけ
凛と謳歌してやろうか
桜の花が教えてくれた

背中が暖

もっとみる
【詩】災脳

【詩】災脳

井の中の蛙、大海を知らず。

自分の持つ数少ない武器は
世界へ剥き出しに向けた時
どれ程の威力があるのか?

例えば、言の葉
私の紡ぐ文字言語

「才能あるよ」
言われたところで
その道の達人と比較された訳では無い

例えば、音楽に対する執着
聴く音に対する情熱

「拘りあるね」
言われたところで
その道で生きる者と比例しているとは言い難い

「いつでも死ねる」

この思考こそが最も強力な武器だ

もっとみる
【詩】想い出の白桃

【詩】想い出の白桃

一途にひとりを愛していた
人生の約四分の一をかけて
ひとりの異性を想っていた

嘘は無い。

だけど未だに眠る前に
現れるのは君じゃない
朧な夢枕に浮かぶ横顔

思い返せば想い返すほどに
素敵なひとと出会えていた
こんな木偶の坊に長いこと
一緒にいてくれた優しい人

情けない木偶の坊の話を聞いて
笑ってくれたあなたとは二度と
会うことは叶わないのでしょう

四十八回の入浴に四回訪れる
甘く優しく馨

もっとみる
【詩】曇重

【詩】曇重

重苦しい鉛色の空から
銀色の水が落ちてくる

飲んでも浴びても死にはしないが
心を殺すには十分過ぎる空である

いっそ降る水銀を全身に浴びて
ジョッキに注いで飲み干したい

洗濯機は轟き暴れ
エラーを出して止まってしまった

暗い明
may cry
命、喰らい

コンクリート製の雲が
排泄物をゆっくり注ぐ

何故貴方は幸せなの?
何故私は幸福なんだ?

考えるだけで吐きそうだ

オート・マティック

もっとみる
【詩】咲散

【詩】咲散

華は必ず畢る
散るが故に美しい

不老不死
最も生き物から遠い言葉
最期があるから鼓動は始まる

春風がはじまりを告げて
梅や桜や咲き誇る
やがて皐月の緑が
花弁を追い出し青々と茂る

終の無い存在ほど無粋なものはない
一部始終を見送ってこそ儚き美しき

ひとのまどろっこしいところは
こころというものがあるところ
なにかをかんじてかんがえては
あぁでもない、こうでもないと
思考の廻廊は狂った憐哀の

もっとみる
【詩】恋渦

【詩】恋渦

巷で流行りの愛のうた

「貴方と結ばれ幸せになりました」
「君の運命の人は僕じゃないんだ」
「好きだという気持ちどうしよう」

こんなものばかりだって勝手に思ってる
弄れた独り身の戯言でしかないけれどね

恋心って
火薬を纏った竜巻だと思うんだ

普段は勝手に対岸で渦巻いている
対岸の火事から自分事になる時に
その竜巻に小さな火種が燃え移る

燃え盛る想いの渦は
制御不能自由気まま
心の臓のど真ん

もっとみる
【詩】ライフ・イズ・アート

【詩】ライフ・イズ・アート

美麗眩き水面で呼吸しては
醜悪すら届かぬ深海で眠る




くらやみ

妖艶な死神の愛撫
麗しく香る水中花
家鴨と咲く金木犀

人の道に生を授かったなら
うたを語ろう、奏でようよ
所詮終るまでの暇潰しだよ
ヒトとは芸術を知る生き物

「有終の美を飾る」

三十年だか五十年か百年か
どんなに永らえても必ずや
直面せねばならぬ終の時よ
せめてその瞬間だけでいい

美しく在れ

歩んだ道を誇れ
奏で

もっとみる
【詩】舵

【詩】舵

錨を降ろして計画を練る
どっちの針路へ進もうか
羅針盤はぐるぐるまわる
定まらないまま回る廻る

幾つかの港が受け入れてくれるか検討している

帆の破れたオンボロ船と思われるのか
或いは試し乗りを終えた立派な帆船か
私という船は傍から見たらどうなんだ

レプリカはなく、オリジナルのみだ
奇妙な旗を掲げて停泊中のこの船を
新たな船出に導くのは何処の誰だ?

舵取りは私

一等航海士は

操舵手は

もっとみる
【詩】薄夕センチメンタル

【詩】薄夕センチメンタル

今日もがら空きの玉座
目の前の夕陽は遮られ
虚しく東から風が吹く

この時間帯特有の空模様
蒼天は紫に染まり始めて
紫空はすぐにオレンジ色

この時間帯特有の心調模様
遠くを快速列車が走り去る
羽虫が元気になり出す季節
奥では特急列車がすれ違う

誰に届けたいでもなく
誰と会いたいでもなく
誰か助けてとも言わぬ

鉄の骨組みをよじ登り
春風に吹かれ行く言葉

言の葉をそっとここにおき
紙巻煙草に火

もっとみる
【詩】陽気で妖気な歯車よ

【詩】陽気で妖気な歯車よ

毎日死んでもいいと思って生きている
それは不思議と生きる気力を与えてる
「死」が「生」の歯車を回すとは滑稽滑稽

数奇な運命の出会い
これは偶然か必然か
河童は私に微笑んだ

いと不気味にして小気味良い
死へと接近するチキンレース
その気になればいつでも終る
それが強さの糧となる

今晩は湿気った曇り夜
錠剤の空を捨てるのは
もう飽きてしまったよ

十三日目の決断
階段は何段目?

馬鹿正直は捨て

もっとみる
【詩】New order.

【詩】New order.

新たな世界へ手を伸ばす
霧霞の境地のその先へと

歪曲したレールを見ながらふと思う

この先へ続くレールは何処だろうと

敷かれたまま決められたまま
流されていくのは性に合わぬ

長いものに無心で巻かれていれば
曲線を進むことなど容易いだろう

私欲を捨てて生きるも良いが
それじゃあちょいと退屈だぜ

つまらんのは嫌いだからね

僕には未来が見えません。

暗い部屋に射し込む月灯
夜光がこころを狂

もっとみる
【詩】瞬きの中で見る夢よ

【詩】瞬きの中で見る夢よ

夢は叶えるから夢であり
夢は醒めるから夢である

一度一瞬だけ瞼を閉じる
その最中に何を思い描く
思い浮かんだ何かが夢で
そのものに手を伸ばして
果たして届くのだろうか

幸せをありのまま描いた夢も
絶望を鮮明に突き付ける夢も
何時か必ず醒める時が来るの

夢は叶うからこそ夢であり
夢は醒めるが故に夢である

世界に絶対は無い

だが

世界に絶望は有り

世界に希望も有る

今度見る夢はどんなも

もっとみる
【詩】禁欲絶頂承認欲求娑婆Life.

【詩】禁欲絶頂承認欲求娑婆Life.

孤独に耐えられなくて
絶叫しながら外に出た
オレンジ色の満月明け
南西の風が背中を押す

気が触れて揺らめくネオンライト
時折突風が長丈の上着に風を与え
夜の田舎町に奇天烈な変質者の影

認められたいなぁ
褒められたいなぁ
賞賛が欲しいなぁ

実力も無い癖によく言うぜ
所詮貴様はその程度なんだ

理解してはいる
それでも、さぁ
生きる理由的な
何かが欲しいの

腐れ外道真っ逆様
風通しの良い玉座

もっとみる