- 運営しているクリエイター
#読書日記
今日も、読書。 |”色彩”を持つ文章、キャンバスに絵の具を乗せるように
皆さんは、小説を読んでいて、”色”を感じた経験はあるだろうか。
一般的な書籍は、基本的にモノクロである。白地の紙に、黒の活字が印刷されている。
もちろん、小説を読みながら、書かれている情景描写を思い浮かべて、色彩を感じることはある。
どこまでも広がる海の青、鬱蒼と生い茂る植物の緑。脳内に色とりどりの情景が浮かび、美しさを感じることはある。
今回ご紹介するのは、その色彩感覚とは少し異なる種類
今日も、読書。 |命懸けのサバイバルゲームを生き抜く
命の危機を脅かされるような、極限のサバイバルゲーム。
現実世界では、なんとしても御免被りたい。小説世界だからこそ味わえる、最高にスリルのある状況。
2024年1月、偶然にも、立て続けに2冊のサバイバル小説を読んだ。
どちらもすごく面白かったので、今回の「今日も、読書。」は、おすすめサバイバル小説2選というテーマでお届けする。
非日常のエンタメとして楽しむのは勿論、現代社会をサバイブするため
今日も、読書。 |それでも、あなたに読んでほしくて
西加奈子さん初のノンフィクション『くもをさがす』は、カナダ滞在中に乳がんを宣告された著者が、現地で治療を終えるまでに書いた文章をまとめた本だ。
執筆当時は、新型コロナウイルスが最も猛威を振るっていた時期。そんな時期に、日本とは制度も常識も異なるカナダで、様々な障壁にぶつかり、振り回されながら闘病する著者の日々が、真っ直ぐな言葉で語られている。
アメトーーク!の第6回読書芸人で、ヒコロヒーさんが
今日も、読書。 |書籍修繕の世界 〜”もうひとつの物語”を読む〜
今回は、傷んだり壊れたりした本を蘇らせ、後世まで読み継がれるための手助けをする、「書籍修繕」の世界。
「修繕を依頼する本って、どういう本だろう?」と考えたら、それはきっと、その人の人生に密接に関係する、パートナーのような本なのだろう。所有者の人生に深く関わっているからこそ、そこには特別な物語がある。
その本に印刷されている、文字によって紡がれた物語の外側に、その本と所有者との物語が存在する。そ
今日も、読書。 |ラスト3行の感動を味わうために
長い読書の旅の末に辿り着く、ラスト1ページ。そのラスト3行。
その3行を読んだとき、ああ、この本を読むことができて本当に良かったと、幸せな感動に包まれた。
長い時間をかけて読み進め、登場人物との距離を縮めてきたからこそ、ラスト3行を読んだときの感動がひときわ大きくなる。
そんな最後の数行で感動のピークが訪れる小説が、私は好きだ。
今回は、”ラスト3行を読んだときの感動”を皆さんにもシェアし
今日も、読書。 |最初の短編に、すべてを持っていかれて
短編集の、はじまりの一編。
その一編にすべてを持っていかれて、そのまま最後まで、転がり落ちるようにして読んだ作品。
今回は、サラ・ピンスカーさんの『いずれすべては海の中に』をご紹介。
何年も読書をしていると、”慣れ”のためか、並大抵の設定では、驚かなくなってくる。
設定だけを見て、「この作品は気になる……!」と思わず手が伸びてしまうことは、あまりなくなってしまった。
ところで、本作『いず
今日も、読書。 |現実とファンタジーを、”装丁”が結ぶ
本の世界に入って冒険したいと、願っていたあの頃。
幼い頃に本書を読んでいたら、自分の人生の核となる、最も大切な作品になっていただろう。
もちろん、大人になった今読んでも、心を震わす物語だ。
幼い頃に『エルマーのぼうけん』が好きだったあなた。
本の世界を旅するような読書体験をしてみたいあなた。
ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を、ぜひ読んでみていただきたい。
ミヒャエル・エンデ|は
今日も、読書。 |子供も大人も、見ている世界は同じなのだから
ブレイディみかこ|ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
ものすごく有名な作品なので、説明は不要かと思う。2019年のYahoo!ニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞受賞作。新潮社のベストセラーになっている。
著者のブレイディみかこさんは、イギリスのブライトン在住。アイルランド人の夫と、息子の「ぼく」と3人暮らし。現地で保育士として働きながら、ライターとしても活躍されている。
文庫版の
今日も、読書。 |本づくりに携わる全ての人へ、感謝を込めて
何冊も何冊も本を読んでいると、自分の手元に本があることが当たり前のように思えてくるが、この世に存在する本は一冊一冊すべて、本づくりに携わる誰かの手で、1から作られたものなのだ。
その人たちがいないと、私がこれまで出会った本も、今読んでいる本も、これから出会うはずの本も、存在せず読めない。
本を作る人たちのことを書いた本を読みたいと思い、安藤祐介さんの『本のエンドロール』を読んだ。本が好きだけれ
今日も、読書。 |"泣き本"をお探しの方へ
メフィスト賞を受賞し、横浜流星さん主演で映画化もされた、『線は、僕を描く』。
著者の砥上裕將さんは水墨画家でもある。水墨画のディープな世界を掘り下げながら、心に傷を負った青年が成長していく姿を描いた。
私は本作を読み終えたとき、砥上さんが次に書く小説は必ず読もうと決めた。心が掴まれるとはこのことか、と思った。
次はどんな題材を取り上げるのだろうと、ずっと楽しみにしていた。そして、あえて事前情
今日も、読書。 |児童文学、子供の頃の自分と対話する
今回取り上げるのは、Podcast「本の海を泳ぐ」のテーマ本として読んだ、神沢利子さんの『流れのほとり』だ。
大学生になってから本を読み始めた自分にとって、「児童文学」はあまり馴染みがなく、新鮮な気持ちで読んだ。
大人になってから児童文学を読むと、忘れかけていた子供の頃の感性が蘇り、当時の自分と対話するような読書になった。
「たまには児童文学も読んでみると面白い!」今回は、それを言いたいがた
今日も、読書。 |「だれかのための短歌にもなると思います」
2022年の秋頃から、東京の読書会に、月1回参加している。
読書会の魅力のひとつに、「普段自分では手に取らないような本と出会えること」がある。
読書会で紹介される本は、本好きが「他の人にも知ってほしい」という熱量を持って紹介しているだけに、素敵な本ばかりだ。
今回ご紹介するのは、そんな読書会で出会った作品である。
その本を持ってきた人がお話ししている間、あまりに良すぎて、私は終始うずうずし
今日も、読書。 |幼い頃のワクワクした読書を、無意識に探している
幼い頃、読書は今よりももっと新鮮で、キラキラしていた。そんな気がする。
私が本格的に本を読むようになったのは、大学生になってからだ。
しかし、高校までの期間にも、ごくたまに本を読んでは、「読書って楽しい」となんとなく感じていた。
小学生の時には、エミリー・ロッダのファンタジー小説『デルトラ・クエスト』に夢中になった。中学生の時に伊坂幸太郎さんの『ラッシュライフ』に度肝を抜かれ、高校生の時に森
今日も、読書。 |花咲く人情譚 ~「良い短編集」を読みたい人へ
時々無性に、「良い短編集」を読みたくなる。
例えば、サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』や、向田邦子さんの『思い出トランプ』、伊与原新さんの『月まで三キロ』のような。
短い物語の中で、しっかりと心を揺さぶり、感動させてくれる。そんな、完成度の高い短編集を、どうしようもなく読みたくなる。
乙川優三郎|五年の梅
乙川優三郎さんの『五年の梅』は、第14回山本周五郎賞を受賞した短編集。意外にも、