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日々雑感

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日々思ったこと、感じたことを特にテーマを決めずに書いています。
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2021年7月の記事一覧

障がい者とは?

障がい者とは?

「障がい者」とはどういう人たちのことを指すのでしょう。

四肢に不自由がある人?
知能に遅れがある人?
精神的に「普通」と違う人?
では、「健常者」とは。
五体満足で知能の遅れがなく、精神的に「普通」の人?
果たしてそうでしょうか?

私が一時期勤務していた福祉作業所では所謂「障がい者」の方々が作業をしています。
例えば、小さなシールを指定された位置に正確に張り付ける。
このような作業を一日中おこ

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しあわせ

しあわせ

まともに働くこともできない体になってしまって、自分は不幸だ。
こんな人生はやめにしたい。
何度そう思ったかしれません。

でも、そのたびに壁に貼ってあるこのスカーフが励ましてくれます。

「しあわせ」とまでは思えない。
でも、もしかしたら、自分の人生はまんざらではないのかもしれない、と。

この病気になったから出会えた人たちがいる。
同じ病を抱えた人たちとのSNSを通しての交流。
病気に限らず、生

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てんびんの詩(うた)

てんびんの詩(うた)

近江商人の商いの心を描いた「てんびんの詩」という映画があります。

近江の商家の男の子が小学校を卒業し、父親から贈られたものは鍋の蓋だった。
それを売ってこいと言う。
それを売れるようになったら店を継がせる、と。

鍋の蓋だけを売るなんてことができる訳はない、と少年は思う。
それでも少年は泣きながらもその蓋を売ろうとする。
しかし、蓋だけを買ってくれる人はいない。
苦労の末に、少年は商人としての心

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土に帰る

土に帰る

まだ7月だというのに暑い日が続いています。

それに伴い外では朝から蝉の合唱が始まっています。
この時期に外を歩いていて、時おり目にするのが道路に横たわる蝉の死骸です。
蝉の成虫の寿命は1週間とも1ヶ月ともいわれています。
いずれにせよ、とても短い命。
私は蝉の死骸がアスファルトの上に転がっているのを見つけると拾い上げて近くの土の上にそっと置くことにしています。
短い寿命をまっとうした蝉が車や人に

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共に喜ぶ

共に喜ぶ

高齢者介護や障がい者支援で大切なことの一つ。

それはできるだけご本人の「残存能力」を活かすことといわれています。

介護者や支援者がなんでもかんでもやってしまっては、せっかく残っている能力が衰えるばかりです。
できることはご自身でやっていただく。

私が働いたことのある障がい者施設にも様々な事情で動作が不自由な方がたくさんいらっしゃいました。
つい「お手伝いを」と思ってしまうこともありますが、敢

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相模原の事件

相模原の事件

2016年7月26日。
この事件は起こりました。

相模原市の知的障がい者施設「やまゆり園」の職員だった植松聖が19人の命を奪った殺傷事件。

とても不幸なことです。許されないことです。

これを機に、この時期、障がい者に目が向けられました。
それまでマスコミは障がい者には目もくれなかった、或いは、毎年夏に年に一度の「お祭り騒ぎ」をしていた程度です。
そのマスコミが障がい者のことを「温かく」報じる

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障がいとは

障がいとは

「障がい」とは何でしょう?

例えば、誰もが歳をとれば老眼になります。
物が見えにくくなります。
或いは、年齢に関係なく、近視の人もいます。

それが「障がい」とされないのは何故でしょう。
誰もがなるものだから?
みんながそうだから?
もし、この世に「眼鏡」というものがなかったらどうでしょう。

今、多くの公的機関には老眼鏡が用意されています。
図書館には数は少ないながらも活字が大きな本があります

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ある職場の風景

ある職場の風景

昨日の投稿でもふれた、私が一時期働いていた福祉施設での風景。

私の向かいで作業をしているAさんが突然笑い出す。

私が笑顔でAさんを見る。

Aさん「あ、笑ってはいけません」

私「いいんですよ、笑っても。何が面白いんですか?」

Aさん「顔が面白いです。」

私「そうですか。でも、仕事中は笑わないほうがいいですね。」

Aさん「仕事中は笑ってはいけません。」

私「Aさん、あそこから箱を持って

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蝶結び

蝶結び

以前、勤務していた福祉作業所でのこと。

ある利用者さんの「蝶結び」の練習のお手伝いをしました。
紐を結ぶときの「蝶結び」です。

その方は知的障がいがあり、車椅子利用者でもあります。
手に変形があり、自由もききません。
電動車いすをジョイスティックで操作して移動します。

その方にとって、蝶結びはいろいろな意味での訓練になります。
指先を動かすことはもちろん、どこにどう紐を通したらよいかを考え、

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障がい者とは

障がい者とは

私は今、障がい者雇用枠で働いています。

これまで、障がいや障がい者関係の書籍を読んできました。
いろいろな方の話を聴いたり、話し合ったりもしました。
そのような中で自分の障がいについて考えたところ、こんなことを思っています。

障がい者を障がい者たらしめているのは障がいそのものだけではなく、障がい者に対する社会の無理解や差別・区別が理由であることもあるのではないだろうかということです。

私の場

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急がない

急がない

論語から。

子曰わく、速やかならんと欲することなかれ。小利を見ることなかれ。速やかならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事成らず。(子路第十三の十七)

私は、
「急いではいけない、目先の利益を追ってはならない。急げばそれを成し遂げることができず、小さな利益に目を奪われれば大きなことを成し遂げられない。」
と解釈しています。

この言葉を思うのは病気の症状が重くて辛いときです。
こじつけ

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時間がない?

時間がない?

私は学生時代から会社勤め時代の病気が発症するまでにいくつかの習いごとや活動をしていました。
和太鼓だったり、ジョギングだったり、落語やお芝居だったり。
躁状態にあったときは、週末はもちろん、仕事の後も毎日何かをしていました。

そのころ、そういう話をすると、特に男性からは、「よくそんな時間があるね。俺なんか忙しくてそんなことをしてる暇ないよ」と言われたものです。
しかし、どうでしょう。
その人は何

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音のしない所作

音のしない所作

私が普段心がけていることの一つ。
「音のしない所作」。

コップや湯飲みをテーブルに置くとき。
両手を添えてスッと置く。
そぉーっとではなく、スッと。

ドアを閉める時にも、後ろ手で閉めたり、ドアが自然に閉まるのに任せて「バタン」という音がしないように両手を添えたりしてスッと閉める。

よく駅の階段を「カツーンカツーン」と甲高い音を立てて歩く人がいますが、ああいうのはもってのほか。
スッスッスッと

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落語「心眼」

落語「心眼」

(ネタバレです)
目が不自由な按摩の梅喜(ばいき)。
ある日、しょんぼりして帰宅する。
妻のお竹が理由(わけ)を聞くと、その日は仕事がみつからなかっただけでなく、目が不自由なために悔しい思いをしたと言う。
近所でも評判の良妻、お竹。
梅喜をなんとかなだめすかし、翌日から眼病に効くという薬師様へ願掛けのために二人で日参する。
そして、満願の日、めでたく梅喜の目が開く。
嬉しくてならない梅喜。
帰りに

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